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【獣医師執筆】病院に行けない犬猫のために…「往診治療」のメリット・デメリット

立石絵美

獣医師
立石絵美

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【獣医師執筆】病院に行けない犬猫のために…「往診治療」のメリット・デメリット

2020114日情報更新

私たち人間同様に、わんちゃん・ねこちゃんたちも高齢化が進んでいます。

医療の発達や、スマートフォンの普及による日常のケアが行き届くようになったことなどが主な要因ではないかと考えられます。高齢犬が増えることで、介護やターミナルケアと呼ばれる末期医療を考える飼い主さんも増えてきました。

しかし、認知症や寝たきりなどの問題を抱えるわんちゃん、ねこちゃんにとって、動物病院へ頻繁に行くことは難しく、移動だけでも体力を消耗する可能性があります。また、日常の介護の状況が適切かどうかを相談したいと願う飼い主さんが多いのに対し、動物病院では充分なカウンセリングの時間が取れないこともあります。

そんなお悩みを抱える高齢犬の飼い主さんや、これからシニア期を迎えるわんちゃん・ねこちゃんの飼い主さんにぜひ知っておいてほしいのが“往診動物病院”。今回は、実際に往診治療を行う筆者が、そのメリット・デメリットを踏まえ往診治療でできることをご紹介します。

 

■往診治療とは?

往診とは、病院に動物を連れていくのではなく、獣医に自宅へ来てもらい診察を受けることです。もし、かかりつけの獣医が往診に来てくれるのであれば、これほど心強いことはありません。今までの病歴などもカルテに情報がありますし、入院や手術が必要と判断された場合も病院へ搬送してもらえるので安心です。

しかし、獣医さんが一人しかいない病院では、外来時間中に病院を空けることができず、断られるケースもあります。往診を希望する場合、まずはかかりつけ病院へ相談してみましょう。

かかりつけ病院に往診を断られてしまっても、近年では、往診専門で開業している獣医さんも増えてきたので、お住まいのエリアに対応してくれる獣医さんを探してみましょう。

インターネット検索が可能なら、「往診 動物病院(または犬・猫など動物の種類)お住まいの地域」で検索してみると、いくつかヒットすると思います。検索結果の中に気になるキーワードを見つけたら詳細を確認し、料金や対応エリアなど、不明点があれば電話をしてみましょう。

 

■往診治療のメリットとデメリット

わんちゃん・ねこちゃんが移動できない状況や、飼い主さんが病院へ行くことが難しい状況では、往診での診察は多くのメリットがあります。リラックスした環境で診察を受けられ、待合室での待ち時間もありません。動物だけでなく、人間側のストレスも軽減されます。

また、獣医さんにとっても飼育環境や与えているフード、家族構成など多くの情報が入ってくるため、診察の計画や提案を考えやすいというメリットが考えられます。

出典:動物往診+在宅ケアサービス にくきゅう

しかし、動物病院内での診察に比べると、不便なことや不可能なこともいくつかあります。麻酔をかけて行う処置や手術、レントゲン検査などはほとんどの場合、往診では行いません。血液検査や超音波検査は、設備が無い場合はその場で検査結果を得ることができません。

また、獣医さん一人で診察する場合、保定(動物をおさえること)は飼い主さんが行うことになりますので、診察や検査がスムーズにいかないことも考えられます。

その時の動物の状況により、通院と往診のどちらが適切か変わってきますので、まずは状況を電話で相談し、獣医さんの判断を仰ぐことが必要です。特に緊急を要するようなケースでは、往診医を探すより病院へ駆け込んだ方が早く処置が行えますので、どんな状況と様子なのかを手短に話せるようにしておくことも大切です。

また、慢性疾患や老齢性疾患などの緊急性は低いけれど、心配な病気の場合、丁寧に身体を診たり問診を重ねたりすることが必要です。いつも混雑している病院では難しくても、往診なら気兼ねない質問や相談がしやすい場合があります。

 

■往診治療でできること

往診では動物の状態だけでなく、看護環境が適切かをチェックして改善点をアドバイスすることができます。

また、飼い主さんも気軽に質問することができます。特に寝たきりの老犬や、認知障害を疑う症状が出ている場合、実際の状況を見ることで飼い主さんが本当に相談したいことを聞き出すことができます。

床ずれ予防やケアの方法、寝たままで身体を清潔に保つためのアドバイス、食事補助のコツや役立つグッズの紹介など、現場で実践することができるので、飼い主さんの理解も深まります。

出典:動物往診+在宅ケアサービス にくきゅう

慢性腎不全や心臓病、腫瘍性疾患など、治療よりも進行を抑えることを重視する病気の場合、飼い主さんが望むことは、最先端の治療よりも穏やかに余生を過ごすことだったりもします。このようなケースでも往診では丁寧に話を聞き、検査や治療のプランをオーダーメイドで提案することができます。

出典:動物往診+在宅ケアサービス にくきゅう

筆者は現在、往診専門医ですが、病院勤務時には限られた時間の中でしか飼い主さんの話を聞くことができず、病院のシステムと飼い主さんの要望の間にギャップを感じることも多く経験してきました。飼い主さんが本当に望むことは何か。完治が望めない状況でもその望みに近づけてあげることで、より良い看取りを経験することができたら、ペットロスによる深刻な心の病も減らすことができるのではないかと考えています。

 

動物医療に求めるものは、人によって違って当然です。その一つ一つの願いに応えるには、飼い主さんと獣医さんの対話が必要不可欠です。もし、あなたが動物病院に対してモヤモヤを感じているとしたら、“往診”という選択肢も考えてみてください。もちろん獣医さんとの相性もありますから、病院の先生でもしっかり相談に乗ってくれる方を探してみてください。

大切なのは、獣医さんと話をすることで、あなたの心が軽くなるか、前向きになれるか、そして安心して任せられるかだと思います。

ご自身と、家族であるわんちゃん・ねこちゃんに寄り添ってくれる獣医さんが見つかることを心から願っています。

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※ 動物往診+在宅ケアサービス にくきゅう

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