わんちゃんが日ごろ家族に見せるちょっとしたしぐさに、私たちはほっと心が和むことがあります。わんちゃんは大好きな家族にいつもたくさんのメッセージを送っています。実は声を出して伝えるメッセージよりも、体や顔のしぐさで伝えるメッセージの方が多いことを知っていますか?
今回はわんちゃんの体、特に“しっぽ”について、動きや形でどのような気持ちを伝えているか、詳しくお話しします。
■しっぽの役割について
わんちゃんのかわいらしさや犬種の特徴となるしっぽ。くるんと丸まっている巻き尾や、カワウソに似た尻尾のオッターテイル、しっぽがらせん状になっているスクリューテイルなど、種類はさまざまです。
また、生まれて間もなく断尾をしてしまうことで本来の長いしっぽが整形されている犬種もいます。しっぽは水陸でかじ取りの役割や方向転換を素早くするときの体のバランスをとるとき、また保温にも役立ちます。
それ以外にも、わんちゃんの伝えたい気持ちがしっぽの動きや高さに表れてきます。また、日ごろよく動くしっぽがたらんと垂れていて動きがなければ、体調が悪いことを知らせるサインです。
■しっぽの振り方で気持ちが分かる!?
筆者が開催しているパピークラスでは、必ずわんちゃんが体で示すしぐさ、つまり“視覚的コミュニケーション”についてお話をします。体で示すしぐさにどのような意味が込められているかを知ることで、愛犬とのコミュニケーション能力が向上し、また散歩中の危険回避にも役立ちます。
わんちゃんのしぐさはしっぽなど体の一部分だけを見るのではなく、体全体を見て「今どのような気持ちでいるのか?」を探るようにしましょう。
■しっぽが伝えるメッセージとは
(1)しっぽの緊張度を見よう
しっぽを見て気持ちを知る際にいくつかのポイントがあります。まずしっぽの緊張度。しっぽの骨の周りには複数の筋肉が存在しており、体や顔の筋肉が緊張すると同じようにしっぽの筋肉も緊張し、動きに滑らかさが失われます。
しっぽが微動だにせずに堅くなり、かつ下にさがっているときはわんちゃんが怖い気持ちを持っているときです。このとき耳も下がってしまいます。
または「ボクは強いぞ」と積極的な攻撃心理を持っているときは、しっぽは高く上がり尻尾も緊張しています。そんなときは顔の表情も硬くなっており、耳がピンと上がります。
(2)しっぽの高さを見よう
しっぽの高さもわんちゃんの気持ちを知る上で大切な情報です。しっぽがぴん!と高く上がっているときは、わんちゃんがニオイなど何かにフォーカスしていたり、積極的な攻撃心理を抱いていたりするときです。
しっぽが水平よりもやや上にあがっているものの、ゆったりと揺れているときは、親しさや友好性を示しているときです。
しっぽが腰と水平に保たれいるときは気持ちに迷いがあるとき、腰より下に下がっているときは、自信のなさや不安を表しています。ただし下がっていてもゆったりと揺れているときは、わんちゃんがリラックスしているときです。
(3)しっぽの揺れ幅を見よう
しっぽの揺れ幅を見ることも大切です。大きく激しく振るときはとてもうれしいとき。このときは顔にも笑顔が見えて口が開き、優しい目をしています。レトリバーなどは尾を旋回させてよろこびを示す子もいます。
尾が揺れてはいるものの不確かな気持ちを抱いているときは、揺れ幅が小さくなります。尾が股の間に入りこみ、縮こまって揺れないときは怖がっています。緊張していると口もぎゅっと結んだ状態になり、体の重心も後ろぎみになります。また服従心の強い子は、腰を低く丸めながらしっぽを小刻みに揺らします。
(4)しっぽの先端を見よう
しっぽを見るときは先端まで観察してみましょう。しっぽがピンと高く上がっていても先端が体側にカーブしているときは、戦いの準備を始めたり警戒し始めたりとネガティブな感情が湧いてきたときです。
逆にしっぽがピンと高く上がっていても先端が体の外側にカーブしているときは、気持ちに緩みや落ちつきが出てきたときです(※1)。
■しっぽが左右不対象に揺れるときは?
筆者の愛犬はおもちゃで遊ぶのが大好きで、おもちゃを投げて空中でキャッチさせたり、おもちゃを隠して探し当てたりする遊びを子犬の頃から一緒に楽しんでいます。
いつも遊んでいるときは、しっぽが左よりも右に大きく揺れています。なぜだろう?と疑問に思っていましたが、あるイタリアの研究チームがしっぽの振り幅が右側に振り幅が大きいときは、左脳が優位に働きポジティブな感情を抱いており、逆に振り幅が左側に大きいときは右脳が優位に働き、ネガティブな感情を抱いていることを発表していました。
愛犬は筆者と遊んでいるときは、ハッピーな気持ちを持ってくれているのだということが分かりました。このように小さなしっぽの変化にも、大きな意味があるのですね(※2)。
わんちゃんの心理は、周りの状況が変わればその変化がしぐさにも表れてきます。日ごろからわんちゃんの顔の表情、緊張度、耳やしっぽの状態と観察しておくことで、小さい気持ちの変化も読み取れるようになり、双方のコミュニケーションがぐっと上がりますよ。
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【参考】
※1 ヴィベケ・S. リーセ(2011)『ドッグ・-トレーナーに必要な深読み・先読みてテクニック』誠文堂新光社
※2 Seeing left- or right-asymmetric tail wagging produces different emotional responses in dogs.
【画像】
※ JE Jevgenija, Ska_Zka, InBetweentheBlinks, Bell nipon, huesleihoppen / Shutterstock
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みんなのコメント
Rotta
視覚で伝わるコミュニケーションって大事!クルクルシッポはスクリューテイルって言うんだ!🧐
5年前
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