わんちゃんたちも私たち人間と同様に、さまざまなコミュニケーション方法を使っています。“吠える”は通常、問題行動だと言われがちですが、吠えることはわんちゃんたちにとっては大切なコミュニケーションツール。
声色をきちんと聞き分けられるようになれば、鳴き声から発せられるわんちゃんの気持ちを、理解してあげられるようになるかもしれません。そこで今回は、わんちゃんの吠え方や鳴き声についてお話したいと思います。
■声を使ったコミュニケーション
私たち人間は、言語がとても発達しています。共通言語で相手の気持ちをくみ取るだけではなく、声のトーンやリズムが違うと、同じ言葉を発していてもニュアンスが変わってきます。
わんちゃんも吠え方によって伝えたいメッセージが異なります。声を使ったコミュニケーションの特徴は、相手の姿が見えなくても声が届く距離であれば、双方の気持ちを理解できることです。それではどのような声色があるでしょうか?
(1)ワンワン
わんちゃんが家畜化される過程で最も強化された声色です。声のトーンによって若干意味合いが変わってきますが、縄張り意識が高まったとき、防衛したいとき、あいさつをしたいときや気を引きたいとき、興奮したとき、遊びを誘うときなどによく使われます。
ご家族が無意識に強化してしまう声として最も多い声色です。例えば、ケージの中わんちゃんが吠えているときにケージから出してあげたり声をかけてあげたりすると、自分の要求を叶えてもらうために吠えるようになってしまいます。
(2)ウー
うなり声は、生後1か月の子犬同士の遊びのなかでも見られる声色です。相手を威嚇したり、気がたっていることを警告したりするときに使うこと多いです。ひっぱりっこなど遊びがエスカレートし興奮したときにもうなりますが、このうなり声には苛立ちの感情はありません。
(3)クンクン・キュンキュン
鼻をならす音です。寂しさや不満、また甘えたいときにも使います。体に痛みがあったり、自分の身を守るために服従心を示したりするときにも使います。
(4)ワオーン
遠吠えです。自分の仲間を集めたいとき、ひとりになり寂しくなってしまったとき、縄張りの維持を強調したいときに使います。サイレンやピアノの音で遠吠えを始めるわんちゃんがいますが、わんちゃんの遠吠えとそれらの音の周波数が似ているため遠吠えをします。
(5)フゥー
ため息です。満足や安堵感を得た時のため息は就寝前やおいしいものを食べた後、楽しく遊んだあとにみられます。一方、疲労したりあきらめたりしたとき、心地の悪いときなど、ネガティブな感情を抱いときにも行います。どちらのため息なのかは、ため息の前に起こった出来事を見て判断しましょう。
(6)カチカチ
歯ぎしりのような音を立てるときには、わんちゃんがストレスや葛藤を感じているときです。例えば、大好きなおやつを目の前にして「待て」の号令をかけられたとき、苦手な場所に留まらなければいけないときなどです。
歯ぎしりの原因がメンタルではなく肉体的疾患と結びついていることもあるので、歯ぎしりの頻度が高いときには動物病院で診てもらうと安心です(※)。
■犬種による声の特質
鳴き声は犬種の特性が強く表れることもあります。例えば、ビーグルの声はとても響く特徴的な声色を持っており、姿が見えなくても「ビーグルが吠えているのかな?」と分かることもあります。この特徴的な声はビーグルが嗅覚を使って獲物を探すとき、ハンターに自分や獲物の居場所を教える場合に役立つと言われています。
またバセンジーのようにワンワンという声色をほとんどださない犬種も存在します。犬種によりどのような声の特徴を持っているのかな?ということを知ることも興味深いですね。
“吠える”という行動は、私たち人間も理解できるコミュニケーション方法です。まずは愛犬の吠え方のパターンをじっくり観察しましょう。そして、他のわんちゃんの鳴き声にも目を向けることで、わんちゃん同士の会話が理解できるようになるかもしれませんね。
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【参考】
※ Katherine A. Houpt著(1999)『コンパニオンアニマルの行動学の進歩(獣医臨床シリーズ1999年版Vol.1999/No.3)』学窓社
【画像】
※ Sundays Photography, Africa Studio, WPixz / Shutterstock
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