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【獣医師執筆】猫も「ニオイ」でコミュニケーションをとる?驚きの実態&気をつけたいこと

西原克明

獣医師
西原克明

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【獣医師執筆】猫も「ニオイ」でコミュニケーションをとる?驚きの実態&気をつけたいこと

わんちゃんの嗅覚が人間よりもはるかに優れているのは、みなさんもご存知だと思います。では、ねこちゃんはどうでしょうか? 確かに、ねこちゃんの嗅覚はわんちゃんほど優れていません。

しかし、ねこちゃんもわんちゃんと同じように、“ニオイ”によるコミュニケーションが大切な動物だと考えられています。

そこで今回は、ねこちゃんの“ニオイに関するコミュニケーション方法”についてお伝えします。

■猫とニオイの関係とは?

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出典:https://www.shutterstock.com/

ねこちゃんとニオイの関係は、まだまだわかっていないこともあります。その中で、ねこちゃんにはニオイを利用するために、いわゆる嗅覚と呼ばれる感覚以外にも、“鋤鼻器(じょびき)”と呼ばれる感覚器があり、嗅覚と鋤鼻器の感覚の2つを使って、ニオイでのコミュニケーションをとっていると考えられています。

鋤鼻器は人間にはない器官ですが、わんちゃんや他の哺乳類には一般的に見られるもので、イメージ的には、鼻と口の間に位置し、おそらく、ニオイをさらに深く分析するための器官なのではないかと考えられています。

ちなみに、ねこちゃんが鋤鼻器を利用するときは、上唇を少し持ち上げ、口を半開きの状態にします。この状態は“フレーメン反応”と呼ばれ、鋤鼻器を利用している時の動作だと考えられています。

そして、ねこちゃんがニオイを利用する目的には、ハンティングとコミュニケーションという、主に2つのポイントに別れます。

■生活の中でニオイをどのように利用する?

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・野生の本能

ねこちゃんは完全な肉食動物なので、獲物を捕まえる本能があります。その際、遠くの獲物を見つけるための動体視力なども優れていますが、獲物のニオイを見つけることで、その場所にいつ居たのかという情報を得ることができます。

また、ニオイは風上から風下に流れるので、ねこちゃんのように獲物を追うものは、必然的に風下に立ちます。獲物には気づかれづらくなるという利点があります。

とはいえ、今の日本では、ねこちゃんが獲物を捕ることはほとんどありません。今では、キャットフードやおやつの判別に利用していると考えられています。

・コミュニケーション手段

一方、コミュニケーションの手段としてのニオイは、今でも生活の中で非常に重要な役割があります。ねこちゃんは、他のねこちゃんや動物との区別を、視覚だけでなくニオイでも行なっています。

前述したフレーメン反応も、ほとんどの場合、ねこちゃんが集まる場所、あるいはねこちゃんの排泄物のニオイを嗅ぐときに見られることが多く、猫同士の個体識別などを行なっていると考えられています。

また、雄猫は雌猫の発情期についても、雌猫のニオイで判別できると考えられています。つまり猫同士のコミュニケーションだけでなく、繁殖に関してもニオイは重要な役割を果たしていると言えます。

さらには、ねこちゃんが発するニオイの中には、ねこちゃんをリラックスさせる効果があるとも考えられています。その習性を利用し、ストレスを軽減させるための商品もありますよ(※)。

■飼い主として気をつけること

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・食欲に影響することも

このように、ねこちゃんにとってニオイは非常に大切な感覚です。逆に、病気などでニオイを嗅げなくなると、キャットフードの判別ができず、食欲が落ちてしまうことがあります。

そのため、鼻炎など鼻腔の病気では、その原因治療だけでなく、なるべく早期に鼻炎を改善させることも重要となります。

・喧嘩になるケースも

猫同士がコミュニケーションをとるとき、ニオイを嗅いだり、フレーメン反応を示したりしますが、中にはそのあとに喧嘩を始めるケースもあるので、猫同士を接触させるときには十分注意しましょう。

また、ねこちゃんとニオイと言えば、マタタビやキャットニップをイメージする方も多いと思います。少量であれば、ねこちゃんがリラックスしたり、多少興奮したりする程度ですが、与えすぎると体調不良を引き起こすことがあります。こちらも注意して使用しましょう。

ねこちゃんにとって、ニオイはわんちゃんと同じように重要なコミュニケーション手段です。さらに、食欲や繁殖などにも関わる重要な役割をもっています。

ぜひ日ごろから、愛猫のニオイに対する行動をチェックしてみてください。いつもと違う動作が見られたときは、健康上の問題がないか、獣医師さんに相談してくださいね。

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】

※ ジョン・ブラッドショーほか(2014)『猫的感覚: 動物行動学が教えるネコの心理』(羽田詩津子訳)早川書房.

※ フェリウェイ®/ 株式会社ビルバックジャパン -Virbac-

【画像】

※ volcanogirl, Vadim V Bell, DavidTB, DavidTB / Shutterstock

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