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獣医師が感心した!飼い主さんの「愛犬への気遣い」~第3弾~

牧口香絵

獣医師
牧口香絵

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獣医師が感心した!飼い主さんの「愛犬への気遣い」~第3弾~

現在は獣医医療も専門分野に分かれ、細かく病気を診察できるようになりました。私たち人間と同じように、わんちゃん病気の数も増えてきているので、ひとりの先生がすべての病気を治療することが難しくなっています。

病気の治療には正しい診断と治療方針を立てることがとても大切ですが、それ以上に飼い主さんが愛犬の病気をきちんと把握することも大切だと感じます。

そこで今回は、巨大食道症を抱えているわんちゃんと暮すご家族の気遣いについて、ステキなエピソードをシェアしたいと思います。

前回の記事“獣医師が感心した!飼い主さんの「愛犬への気遣い」~第1弾~”と“獣医師が感心した!飼い主さんの「愛犬への気遣い」~第2弾~”も、ぜひ読んでみてくださいね。

■愛犬のために抱っこ紐をお手製で作った飼い主さん

獣医師が感心した!飼い主さんの「愛犬への気遣い」~第3弾~
出典:https://www.shutterstock.com/

ミニチュア・ダックスフンドのエミリちゃん(仮名)は、ごはんを食べていると、ごはんをそのまま吐きだしてしまうこと(吐出)がよく見られました。

飼い主さんは、はじめは「エミリちゃんが早食いだから?」と思っていたようですが、度重なる吐出が見られ、心配になり来院しました。

調べてみると、エミリちゃんは“巨大食道症”という病気を発症していました。それが原因で吐いてしまっていたのです。

■「巨大食道症」のケアに欠かせないこと

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出典:https://www.shutterstock.com/

巨大食道症とは、食道の運動性が低下し拡張してしまう病気です。食道がだらんと弛緩してしまっているため、食べたものをうまく胃に運ぶことができず、食べたものがそのままの形で吐き出してしまいます。

誤嚥(ごえん)をしてしまい肺炎になってしまったり、食べ物からうまく栄養を摂取できないため痩せてしまったりするわんちゃんもいます。

改善するためには、ごはんがスムーズに胃の中に入っていくように流動的な食事に切り替えたり、食事中と食後はわんちゃんの体を垂直に保たせたりします。

 

■飼い主さんが行った工夫

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エミリちゃんの飼い主さんは、エミリちゃんの病気に悲観的にならずに、できるだけエミリちゃんが楽においしく食事ができるよう工夫をしてあげたいと、病気に対して大きな理解を持ってくれていました。

・食事の量を少なくして頻回に与える

・食事をふやかして流動的なごはんを作る

・高カロリーな食事に切り替える

・食事中にできるだけ食道が垂直になるように段差をつけた場所でごはんを与える

・食後はお手製の抱っこ紐にエミリちゃんを入れる

このように、エミリちゃんが食事中や食後、吐かずにおいしく食べれるようにさまざまな工夫もしてくれました。

■飼い主さんの愛情がこもったお手製の抱っこ紐

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エミリちゃんの飼い主さんは、女の子のエミリちゃんがよりかわいらしく見えるよう、ピンクの生地にパッチワークや刺繍をほどこしたお手製の抱っこ紐にエミリちゃんを入れて、自身の前面でエミリちゃんの食道が垂直になるよう抱っこしてあげてました。こうすることで、食べ物がスムーズに胃の中に入っていき、吐くのを防ぐことができます。

エミリちゃんを抱っこ紐で抱っこしたまま外出をすることもあり「かわいいですね」と言われることも。愛情がたくさんこもった手作りの抱っこ紐のおかげで、かわいいと言われることが増えたそうです。

巨大食道症が先天的な要因で発症した場合は、完治をすることが難しいと言われている病気です。また、闘病が長ければ長いほど、飼い主さんが落ち込んでしまうこともあります。

飼い主さんが愛犬の病気を過度に心配しすぎるのもよくありません。日々の生活の中でくすっと笑えたり、ほほえましく思える出来事があったりすると、闘病生活を楽しく過ごすことができます。

今回のお手製の抱っこ紐のように、ちょっとした工夫が大切だと思います。

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