わんにゃの健康と病気

【獣医師執筆】乾燥していたらキケン!? 知っておきたい「猫の鼻」の基本と病気

佐藤貴紀

The vet 南麻布動物病院 獣医師
佐藤貴紀

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【獣医師執筆】乾燥していたらキケン!? 知っておきたい「猫の鼻」の基本と病気

普段、何気なく見ている愛猫の“鼻”。よく見ると、ちょっと湿っているような気がしますよね。そんな鼻の異変に、いち早く気づくことができますか? もしかしたら、重大な病気が隠れているかもしれません……!

そこで今回は、猫の鼻について、獣医師の佐藤貴紀先生に解説いただきました!

■常に濡れているか確認しよう!

乾燥していたらキケン!? 知っておきたい「猫の鼻」の基本と病気
出典:https://www.shutterstock.com/

猫の鼻は常に濡れていることが正常です。ただ、年齢や環境などによっても変化が生じることがあり、そして病気によっても乾燥してしまうことがあります。

濡れていて見える部分を専門用語で“鼻鏡”と言いますが、鼻鏡が濡れていることにも理由があります。鼻鏡は腺細胞により濡れています。鼻の中(鼻腔)は腺細胞と涙腺から流れてくる涙によって、鼻の内部を濡らしているということになります。

■どんなときに猫の鼻が乾くの?

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(1)就寝時や寝起き(生理的な状態)

通常、腺細胞から分泌される液体は、神経により調整されています。自律神経の中に交感神経と副交感神経があります。興奮したり運動したりすると交感神経が優位になります。交感神経が優位になると、腺細胞から分泌が促され鼻が濡れていることになります。

逆に、リラックスモード(朝方もしくは寝起きの状態)だったり、寝ていたりするなどの場合には、副交感神経が優位になります。副交感神経が優位になるということは、腺細胞が抑えられ鼻が乾燥すると考えることができるでしょう。

(2)高齢の場合

年齢を重ねていくことによって、猫の鼻鏡は固くなります。凹凸が大きくなり、色が黒から茶色などに変化することもあります。この場合は、内側は濡れているけど、外側が乾燥しているように見えることもあります。実際には判断しづらい場合もあります。

(3)脱水など病的な場合

脱水と言っても、基本的に病気が隠れていることが多いです。例えば、腎臓病やガンなどがあることで食欲が減退し、1日に必要なカロリーを摂取できない場合や、心臓病の利尿剤など、薬剤を使用して脱水している場合は、鼻鏡が乾燥することがあります。

■鼻が乾燥していたらキケン!?

乾燥していたらキケン!? 知っておきたい「猫の鼻」の基本と病気
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前出の様な状況において、鼻鏡が乾燥しているときは病気の可能性があると言えます。そのため、病院でしっかりと診断をする必要があります。筆者が診断を行う際は、常日頃濡れているはずの鼻鏡が濡れていなければ、病気が隠れている可能性を疑います。

そもそも、猫は水をたくさん飲む動物ではありません。脱水を改善するには水を飲むことだけが重要というわけではありませんが、腎臓病の予防にもなります。そこで、愛猫に水を飲んでもらうために、下記の工夫をしてみるのはいかがでしょうか。

・常に新鮮な水にする

・水のタイプを変える(水道水や白湯など)

・水にニオイをつける

・流水にしてみる

・器をいくつも用意してみる

・器の素材を変えてみる

・ウェットフードにしてみる

猫は病気などの症状が出るのに時間がかかる場合があります。そして、飼い主さんが気づかない可能性もあるので、見えるサインが出た場合には、すぐに病院で診察してくださいね。

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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