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【獣医師執筆】食べ物と病気に要注意!犬が「便秘」になる原因と対処法~前編~

西原克明

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西原克明

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【獣医師執筆】食べ物と病気に要注意!犬が「便秘」になる原因と対処法~前編~

みなさんは愛犬の“うんち”をチェックしていますか? 「最近ウンチの出が悪いな……」そう思うのなら、“便秘”の可能性があるかもしれません。

だけど、犬の便秘って具体的にはどんな症状なのか分からないことも多いですよね。そこで今回は獣医師の西原克明先生に、犬の便秘について解説していただきました!

■便秘の原因は?

食べ物と病気に要注意!犬が「便秘」になる原因と対処法~前編~
出典:https://www.shutterstock.com/

犬も人間と同じように“便秘”をします。便秘は同じ消化器症状でも、下痢に比べるとその発生はそんなに多くはないように思いますが、便秘のほとんどは治療が厄介なものが多く、その管理に非常に苦労します。

犬が便秘をする原因として、大きく分けて“食べ物による便秘”と“病気による便秘”があります。

■食べ物による便秘

食べ物と病気に要注意!犬が「便秘」になる原因と対処法~前編~
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(1)食事内容による便秘

筆者の経験上、一般的なドッグフードから、消化性が高く食物繊維の少ない食事に切り替えたとき、便秘を起こすことがあります。特に、非常に消化が良い療法食に切り替えたときや、ドライフードからフリーズドライのドッグフードに切り替えたとき、切り替え当初に便秘が見られることがあります。

さらには、以前の食事に比べて極端に食物繊維が減ってしまった場合にも、便秘になることが多いように感じます。特に、体重ケア用のドッグフードなど、食物繊維の量がとても多いドッグフードから、動物性タンパク質豊富でその分食物繊維を含む植物性原材料が少ないドッグフードに切り替えた時に、便秘が多く見られています。

(2)異物摂取による胃腸の閉塞

犬が誤って異物を飲み込んでしまうと、中には胃の出口や腸の途中でその異物が詰まってしまい、消化管の閉塞を起こすことがあります。その結果、腸の中のウンチも詰まってしまい、便秘のような症状を引き起こしてしまいます。

個人的な経験ですが、おもちゃやタオルはもちろん、桃の種などでも詰まらせてしまうことが多いように感じています。

■病気による便秘

食べ物と病気に要注意!犬が「便秘」になる原因と対処法~前編~
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(1)会陰ヘルニア

会陰ヘルニアとは、会陰部、犬ではちょうど肛門の傍の部分で、そこのスペースに腸や膀胱がはまり込んでしまい、その結果としてうんちが詰まり便秘になってしまいます。

会陰ヘルニアは、去勢していない高齢の雄犬で多く見かけます。去勢していない高齢の雄犬では、いわゆる男性ホルモンの栄養によって、どんどん筋肉の量が減っていきます。そして、たくさんの骨盤や太ももの筋肉で会陰部でも同じように筋肉量が減ってしまい、筋肉があったスペースに腸がはみ出るようになります。

会陰ヘルニアの犬では、肉眼的にも会陰部、つまり肛門の脇がぷっくらと膨れたように見えます。左右どちらか片側だけが発症する場合もあれば、左右両方とも発症する場合もあります。

(2)前立腺の巨大化

前立腺が、何らかの原因で大きくなってしまった場合、その前立腺が腸を圧迫し、その結果便秘になってしまうことがあります。

前立腺が大きくなる原因には、ホルモンバランスの崩れによる“前立腺肥大”、前立腺が感染することによる“前立腺膿瘍”、さらには“前立腺ガン”があり、いずれも去勢していない高齢の雄犬に多く見られます。

(3)胃腸の腫瘍(ガン)

胃や腸にガンができると、そのガンが物理的に胃や腸の中の食べ物の通り道を塞いでしまいます。その結果、異物を摂取したときと同じような腸管の閉塞を起こし、便秘症状を起こすことがあります。

犬の消化器系のガンは、発生初期はほとんど症状がありません。そのため早期発見のためには、内視鏡検査が重要なのですが、犬の内視鏡検査は全身麻酔が必要であり、そのため人間の医療ほど多くは検査されておらず、実際の胃腸のガンは見つけにくく、遅れて発見されがちになります。

(4)下半身麻痺

椎間板ヘルニアをはじめとした、排便を司る神経が障害を受けやすい病気では、神経が回復しないこともあります。

うんちをするとき、犬はまず便意を感じるのですが、下半身麻痺の犬の中には便意を感じないケースがあります。また、便意を感じても、腸管を運動させる神経が麻痺している場合はうんちを排泄できず、便秘になってしまうことがあります。

食べ物と病気に要注意!犬が「便秘」になる原因と対処法~前編~
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今回は考えうる便秘の原因について、食べ物と病気の側面から解説しました。次回の記事では、具体的な対策について解説します。愛犬の健康維持のために、ぜひご覧になってくださいね。

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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