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【獣医師執筆】愛犬の「よだれ」に注目してみて!考えられる病気と対処法について

船田治子

獣医師
船田治子

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【獣医師執筆】愛犬の「よだれ」に注目してみて!考えられる病気と対処法について

愛犬の“よだれ”について疑問に思うことはありませんか? ごはんを欲しがってよだれを垂らしている……人でも同じようなことがありますよね。

しかし、じつは病気が隠れている可能性も……! そこで今回は、よだれと病気の関係について、獣医師の舩田治子先生に説明いただきました。

■「よだれ」が出る理由

愛犬の「よだれ」に注目してみて!考えられる病気と対処法について
出典:https://www.shutterstock.com/

よだれとは、口から出る唾液のことです。唾液は口腔内の唾液腺から分泌されますが、過剰に分泌されたり、嚥下障害を起こしたりしていると、よだれとして口から出てしまいます。

犬は食事やおやつの前に「まて」と言われると 、よだれを流しながら一生懸命に待っていることがあります。食べ物に対する期待感から出るよだれは、生理的であり心配ありません。しかし、病気の症状としてよだれが出ることもあります。

■考えられる病気

大きく分けると、口腔内の異常、食道の異常、全身性の疾患が原因により、よだれの症状が見られます。それぞれの主な病気について解説します。

愛犬の「よだれ」に注目してみて!考えられる病気と対処法について
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(1)口腔内の異常

・口内炎

口腔内粘膜が傷つくと、痛み、口臭、よだれがみられます。

・歯石・歯周病

歯垢が歯石になり、歯垢中の細菌が歯周病を起こします。多くの場合、全身麻酔下で歯石除去やその他の処置を行います。

・腫瘍

口腔内粘膜や唾液腺、舌などに腫瘍ができることもあります。検査や外科的処置が必要かもしれません。

・口腔内異物

骨片や硬いものをかじったときに、破片が歯間に挟まったり、粘膜に刺さったりすることがあります。前足で口をこするような動作も見られます。異物を取り除くことが必要です。

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(2)食道の異常

・食道炎

嘔吐を繰り返したり、胃液が逆流したりすることによって、食道粘膜に炎症を起こすことがあります。また、熱いものを口にしたり、刺激物(酸、アルカリ)を誤嚥したりすることによって起こることもあります。

・食道梗塞

骨や玩具などを飲み込んで食道で通過障害を起こし、食道が閉塞状態になることがあります。完全閉塞であればよだれも増え、水や食べ物を摂取しても戻してしまいます(吐出)。命に関わることもありますので、緊急に受診しましょう。内視鏡による摘出や手術が必要なこともあります。

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(3)全身性の疾患

・狂犬病

狂犬病ウイルスの感染により発症しますが、日本では1957年以降発生していません。しかし、今後日本に入ってこないとは決して言えません。

狂犬病はすべての哺乳類に感染し,治療法がなく、発症するとほぼ100%が死に至るという恐ろしい病気です。感染犬のよだれの中に多数のウイルスが含まれるので、噛みつかれることで感染します。

・ジステンパー

犬の代表的なウイルス性疾患です。伝染性、死亡率が高く、神経症状を起こすとよだれで口の周囲を汚します。

・てんかん

脳神経系の痙攣発作を伴う疾患です。発作時間は数分位のことが多く、飼い主さんは気付かないことも多いのですが、朝、トイレ以外で失禁のあとがあったり、口の周囲がよだれで濡れていたりすることで分かる場合もあります。

・有機リン・カルバメート中毒

殺虫剤や除草剤を口にすることで中毒を起こします。よだれ、嘔吐、下痢、呼吸困難、縮瞳、痙攣などの急性症状が現れ、命に関わることもあるので、すぐに受診しましょう。

■気をつけること

愛犬の「よだれ」に注目してみて!考えられる病気と対処法について
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(1)口腔内の手入れ

日常的に歯みがきなど口腔の手入れができれば歯石が付きにくくなり、口腔内の異常を早く発見できます。

(2)予防接種

予防注射で防ぐことのできる病気については、なるべく予防接種を受けましょう。狂犬病については狂犬病予防法により予防注射が義務づけられています。

(3)おやつや玩具

おやつや玩具は犬の大きさを考慮して、ひと口で飲み込んで食道梗塞を起こさない大きさのものを与えましょう。

(4)危険薬剤の管理

殺虫剤や除草剤などは、犬の口に入らないようにしっかり管理しましょう。

犬のよだれは飼い主さんが発見しやすいと思います。重篤な病気につながることもあるので、早めの受診をおすすめします。愛犬を毎日観察することが、病気の早期発見には一番の方法ですよ。

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】

※ 其田三夫監修(1983)『主要症状を基礎にした犬の臨床』デーリィマン社.

※ 長谷川篤彦監修(1997)『犬の診療最前線』インターズー.

狂犬病|厚生労働省

【画像】

※ Travis182, Amy Rene, De Jongh Photography, Javid Kheyrabadi, Milos Dordevic, WEI LING CHANG / Shutterstock

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