わんにゃの健康と病気

定期的に健康診断を受けよう!猫の「がん」に対して飼い主ができること~第2弾~

獣医師
吉本翔

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定期的に健康診断を受けよう!猫の「がん」に対して飼い主ができること~第2弾~

前回の記事“特徴を知って適切な行動を!猫の「がん」に対して飼い主ができること~第1弾~”では、がんの定義、猫のがんの特徴、猫のがんの種類や徴候など、がんの基本的な事項について解説しました。

今回の記事では、がんの診断法や治療法、飼い主が愛猫のためにできることについて、引き続き獣医師の吉本翔先生に解説いただきました!

■がんの診断法について

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出典:https://www.shutterstock.com/

みなさんがイメージするがん(=悪性腫瘍)といえば、しこりを形成するものだと思います。しかし、しこりを見つけたとしても、必ずしもがんであるとは限らず、単なる炎症や良性腫瘍などの可能性もあります。また、血液がんのように、しこりを形成しないタイプのがんもあります。

がんであるかどうかによって治療法が全く異なりますので、がんであることを確定することはとても重要になります。がんの診断は、患者の情報(品種、年齢など)、臨床徴候、触診、血液検査、画像検査、細胞学的検査及び病理学的検査などから総合的に判断します(必ずしも全ての検査を行うわけではありません)。

■がんの治療法について(※1)

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人の治療において、がんの三大治療は、手術(外科治療)、薬物療法(抗がん剤治療)、放射線治療の3つです。がんの種類、発生部位、進行度に応じて、最適な治療法を選択しますが、複数の治療法を併用する場合もあります。

・手術(外科治療)

現状の獣医療で、がんの根治に最適な治療法は、手術(外科治療)です。しかし、手術で根治が可能となるのは、進行していない初期のがんであること、手術によって全てのがんを取り切れることなどと言われており、いくつかの条件があります。

・薬物療法(抗がん剤治療)

薬物療法は、薬(抗がん剤)によってがん細胞を退治する治療法です。人においては、薬物療法は全身のがんに作用することができるため、がんが全身に転移してしまった(もしくは転移する可能性が高い)患者や血液がん患者に対して、主に使用される治療法になります。

・放射線治療

放射線治療は、放射線を当ててがん細胞を退治する治療法です。手術が難しい部位に発生したがんに対しても、治療を行うことができることが放射線治療の長所です。

■がんの早期発見が大切!

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大切な愛猫が病気にならないため、高品質のペットフードやペットサプリなどを与えている飼い主さんは多いと思います。日々の栄養管理は、健康のためにとても重要なことですし、これからも継続していくべきでしょう。

ただし、どれだけ予防を心がけたとしても、がんの発生を完全になくすことはできないということを理解しなければなりません。

例えば、人医学で紫外線は皮膚がんのリスクを上げると言われていますが、日焼け止め等で紫外線を防いだからといって、皮膚がんの発生を完全に防ぐことはできません。また、皮膚がん以外の種類のがんに対しては、紫外線を防いだとしても基本的に効果はありません。

タバコを吸わなくても肺がんになる可能性はありますし、タバコを止めたからといって、他のがんのリスクを下げることはできません(※2・3)。

このようにどれだけ予防をしたとしても、がんの発生自体を完全になくすことはできません。そのため、予防だけでなく、早期発見できるように心がけることが大切です。

がんは徐々に悪くなっていき、進行したがんに関しては治療が困難になります。がんを早期発見することができれば、手術等により根治できる可能性が高まります。

■がんを早期発見するために心がけること

定期的に健康診断を受けよう!猫の「がん」に対して飼い主ができること~第2弾~
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身体の表面や口の中などにしこりができたがんの場合、触知や目視することができるため、比較的発見しやすいがんであると言えます。定期的に猫の身体全体を触ってあげて、何かしこりがないかどうかを確認してあげてください。また、歯磨き時などにでも口の中を確認してみてください。

一方、体内にできたがんの場合は外から確認することができません。発作や麻痺が起こったり下痢だったりといった徴候であればすぐに異常と確認できると思いますが、体重が少しずつ減ってきた、食いつきが悪くなってきたなどといった徴候についてはあまり変化に気づかないこともあります。日ごろから体重、食欲の変化、飲水量の変化などをチェックしておくことが大事です。

しかしながら、どれだけ飼い主さんが注意していても発見できないこともあります。特に体内にできたがんの場合は、がんに罹患していても全く徴候がない場合もあります。そのため、定期的に動物病院で健康診断をすることを推奨します。

血液検査や画像検査により、徴候が出始める前にがんを発見できるケースがあります。徴候が出始める前に発見したがんの方が、治療により根治できる可能性が高まります。

今回は猫のがんの診断法・治療法と、早期発見するために心がけることについて解説しました。栄養管理などに気をつけて予防することも大切ですが、それ以上に早期発見が重要だと思います。

猫は辛くてもあまり表に出さないため、異変に気づくのは少し難しいかもしれませんが、意識を変えるだけで早期発見できる可能性がその分高まります。今回の記事が、がんの早期発見に役立てば幸いです。

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】

※1 Stephen Withrow, et al. (2012). Withrow and Mac Ewen’s, Small animal clinical oncology 5th edition. Saunders.

※2 Narayanan DL, et al. (2010). Ultraviolet radiation and skin cancer. PubMed.

※3 Schwartz AG, et al. (2016). Epidemiology of Lung Cancer. PMC.

【画像】

※ Tobyanna, didesign021, Stefano Garau, Esin Deniz, Konstantin Aksenov / Shutterstock

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