7月1日は「ファシリティドッグの日」。ファシリティドッグはセラピードッグの一種ですが、まだまだ知名度は高いとはいえません。
そこで今回は、記念日の由来やファシリティドッグの仕事内容についてご紹介します。闘病中の患者さんやその家族、医療スタッフに癒しを与えるファシリティドッグの存在を知り、働く犬の重要性を考えてみませんか?
目次
ファシリティドッグとは?

ファシリティドッグとは、高度かつ専門的なトレーニングを受けたセラピードッグの一種です。一般的なセラピードッグとの違いは働き方にあり、セラピードッグの多くがさまざまな施設を訪れて活動するのに対し、ファシリティドッグは特定の病院に常勤します。
また、ファシリティドッグのハンドラー(指導役)には看護師や臨床心理士として4年以上の臨床経験が必要で、ファシリティドッグとともに勤務地となる病院の近くに住むことが条件とされています。
ファシリティドッグの仕事内容

ファシリティドッグの仕事は入院中の患者さんやその家族と触れ合うことで、安らぎや癒しを与えることです。とくに小児医療において重要な役割を担っており、闘病中の子どもたちの食事を応援したり、手術室へ付き添ったりするなど、元気や勇気を与える存在となっています。
また、ファシリティドッグは一般的なセラピードッグには許されていない治療計画への介入も行います。例えば、痛みや恐怖を伴う採血・点滴や処置をする際に傍らで応援したり、場合によってはケースカンファレンスに出席したりすることもあります。
そんなファシリティドッグが安らぎや癒しを与えるのは、入院中の患者さんだけではありません。ファシリティドッグは大きな不安やストレスを抱える患者さんの家族にとっても、常に緊張状態にある医療スタッフにとっても大切な存在なのです。
7月1日は「ファシリティドッグの日」

特定非営利活動法人シャイン・オン・キッズが制定した記念日で、ファシリティドッグの存在と意義を広めることを目的としています。
シャイン・オン・キッズは小児がんや重い病気と闘う子どもたちとその家族を支援するために活動する団体で、2010年からファシリティドッグプログラムを開始しました。これまでにベイリー・アニー・ヨギ・アイビー・マサ・タイの6頭のファシリティドッグの活動に携わっています。
ファシリティドッグの日の由来
ファシリティドッグの日は、日本で初めてファシリティドッグが導入された日付に由来します。日本初のファシリティドッグは7月1日、静岡県立こども病院で導入されました。
静岡県立こども病院にやってきたファシリティドッグの名前は、ベイリー。オーストラリア生まれのベイリーは、ハワイでトレーニングを受けた後にはるばる日本へ来てくれました。
ベイリーは2018年10月に引退した後、2020年10月1日に虹の橋へと向かいました。そして現在、日本国内ではベイリーからバトンを受け継いだ4頭のファシリティドッグが活動しています。
日本ではまだまだ知名度が低い・・・
日本でファシリティドッグを導入している病院は限られており、活動中のファシリティドッグも現時点で4頭のみ。導入のネックはいくつかありますが、なかでも大きな障壁となっているのが費用の問題です。
ファシリティドッグを導入するには、フード代やハンドラーの人件費を含めて年間約900万円の費用が必要です。なお、初年度は犬の譲渡費用として約300万円の費用が追加されます。ファシリティドッグの活動は寄付で成り立っていますが、それでは賄いきれないため病院側も半分程度を負担しているそうです。
シャイン・オン・キッズは公式ホームページで寄付を募っています。ファシリティドッグの活動に賛同する方は、ぜひシャイン・オン・キッズのホームページもチェックしてみてはいかがでしょうか。
2019年度よりファシリティドッグの国内育成をスタート

2019年度より、ファシリティドッグの国内育成を試行的にスタートさせたシャイン・オン・キッズ。このまま無事に国内育成事業が成功すれば、ファシリティドッグは今よりずっと身近な存在になるかもしれません。
現在、ファシリティドッグの活動は寄付で成り立っていますが、応援の形は寄付だけではありません。SNSで呼びかけたり、家族や友人に伝えたりすることも立派な応援です。
ファシリティドッグは人々の涙を減らし、笑顔を増やすために今日もどこかの病院で働いています。ファシリティドッグの活動に賛同する方は、7月1日のファシリティドッグの日をよい機会とし、働く犬のためにできることを考えてみませんか?
戻る
みんなのコメント