ねこちゃん好きにはたまらない、肉球。ぷにぷにとしていて、ついつい触ってしまう肉球ですが、じつは肉球は大事な役割をもっています。今回はねこちゃんの肉球についてお話しします。
肉球の正式名称
私たちが肉球と呼んでいる、ねこちゃんの足裏にあるぷにぷにした場所は、蹠球(しょきゅう)という正式名称があります。蹠球は前足に7つ、後ろ足に5つあり、それぞれの場所によって名前がついています。
指球(しきゅう)
前足の各指にある小さな5つの肉球のこと。
掌球(しょうきゅう)
掌(たなごころ)は手のひらのことを指しますが、猫の足の真ん中の大きな肉球のこと。
手根球(しゅこんきゅう)
前足の付け根部分にだけ存在する肉球。
狼爪(ろうろう)
前足にのみある親指に当たる肉球。
足底球(そくていきゅう)
後ろ足の中心にある大きな肉球。
趾球(しきゅう)
後ろ足の各指にある小さな4つの肉球のこと。
肉球は何でできている?
表皮は角質細胞から、真皮は主にコラーゲンが大部分を占めており、皮下組織は脂肪組織が層構造になって肉球を構成しています。
そして、あのぷにぷにした肉球は実は脂肪です。肉球は脂肪と弾性繊維でできているのでぷにぷにとした感触なのです。肉球の表面は1mmと分厚くできているので摩耗しにくい構造になっています。
肉球の役割
■衝撃を吸収する
ぷにぷにと弾力のある肉球はクッションであり、衝撃を吸収して脚にかかる負担を抑える役割があります。そのため、ケガをせずねこちゃんは高い場所から降りることができます。
■足音を消す
ねこちゃんの移動の際に音を消すのに役立ちます。爪を出し入れできるのもネコ科動物の特徴で、肉球の上に爪を収納する構造があります。爪をしまい、やわらかい肉球だけで歩くので本当に静かに歩くことができます。
ねこちゃんが、音を消して歩くのは気配を消して獲物に気づかれないためです。 肉食動物のねこちゃんは狩りをして生活していたため、歩くときに音を立てると、獲物である小鳥やネズミに自分の存在を知られ逃げられてしまいます。 ねこちゃんが生きるために肉球は大切な役割を担っているのです。
ねこちゃんと暮らすみなさんも、知らない間にねこちゃんがすぐそばにいてびっくり!なんて経験も多いはずです。
■汗を出す
ねこちゃんの肉球には「エクリン腺」と呼ばれる汗線があります。この汗腺は交感神経によりコントロールされているので、緊張したり不安を感じるとたくさんの汗が出ます。他にも、肉球に汗をかいて湿ることで滑り止めの効果を生み出します。
■体温を調節する
ねこちゃんの体で汗腺があり、汗を掻くのは肉球だけです。 肉球だけは汗腺が発達していて体温調節を助けています。猫の体温調節は足裏の狭い範囲と呼吸によって行われています。
他にも自分では舐めてお手入れできない眼や耳周辺の顔まわりは、肉球を舐めて湿らせ、ブラシ代わりにしてお手入れをしたり、肉球を使って物上手に物を掴んだり、しがみついたりといったことが行えます。
肉球の色
ねこちゃんの肉球の色はピンクや黒、小豆色や斑点模様などさまざまな色があります。この肉球の色にはねこちゃんの被毛が関係しているといわれています。
一般的には、白猫や毛色に白の割合が多い子はピンクになりやすく、黒や茶色の割合が多い子は黒い肉球が多いそうです。また、グレーや複数の毛色の猫ちゃんは小豆色や斑点模様になりやすいそうです。
肉球のお手入れ
室内で生活をしているねこちゃんは、肉球がガサガサになることはありませんが、時々気 にして確認してあげましょう。もし乾燥などでガサガサしていたら、肉球クリームを塗って保湿をしてあげたり、傷や炎症が起きているようであれば、病院へ行って獣医さんに相談するようにしましょう。
肉球の乾燥以外にも、長毛猫は足裏の毛も長く伸びやすく、フローリングで滑ってしまう恐れもあるため、伸びた部分をカットしてあげてください。
最後に、ねこちゃんの肉球はかわいいだけでなく、大切な役割をもっています。普段と違う歩き方をしていたり、しきりに肉球を舐めたりといった行動が見られたら、知らない間にケガをしている可能性もあるため、かかりつけの獣医師さんに相談をしてください。
また、肉球を触られるのが苦手なねこちゃんには、普段のスキンシップで少しづつ触って、触られることに慣れる環境を作っておくといいですね。毎日のねこちゃんの観察に肉球もプラスして、愛猫の健康を守ってくださいね。
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