環境省のデータによると平成28年度、猫が処分された数は45,574頭、そのうちの29,654頭は幼齢猫でした(※1)。つまり、約65%は子猫が処分されていることになります。殺処分数が多いことも問題ですが、子猫の殺処分数が非常に多いことに注目すべきです。
どうしてこんなに子猫が処分されなければいけないのか考えるときに、猫の発情期を学ぶことは私たち人間にとってとても重要な課題になるでしょう。猫と人間がより幸せに生きていくためにも、猫の発情期について学び、幸せになれる対処方法を一緒に考えてみましょう!
■猫の発情期とは?
猫のメスはふつう、1年に1~3回、交尾して妊娠できる発情期があります。妊娠期間は約2ヶ月です。冬になる前に赤ちゃんが生まれるように、春から夏にかけて発情期がやってきます。“交尾排卵動物”といい、交尾をすると排卵するシステムになっています。そのため、妊娠率が非常に高い動物になります。
一度に生まれる数が多いことも特徴です。交尾後24時間以内に発情が終了します。交尾しない場合は、約2週間毎に発情期を繰り返します。
・メス
発情期に、ヒステリックな鳴き声を多く耳にすることがありますが、発情期は“ラブコール”の鳴き声になります。その時期に発せられるフェロモンと、この声を聞くとオスが惹きつけられてきます。3ヶ月半~12ヶ月の間(体重が2.3~2.5kgに達したとき)に発情期が開始します。ペルシャ猫や野良猫では遅く、15~18ヶ月ということもあるそうです(※2)。
・オス
6~7ヶ月齢頃には交尾が可能なまでに成長します。発情期のメス猫がそばにいることで、オス猫同士の喧嘩が増えます。マーキングの一種である“スプレー行動”も増加するため、室内飼育の猫では問題行動になることもあります。
■発情期の対処方法
発情期にはスプレー行動や過剰に鳴くなど、問題行動も多く出現します。また妊娠率も高く、多くの子が生まれる可能性があります。人間社会でより幸せに共生していくためにも、私たちがすぐにできる対処方法を4つご紹介します。
(1)去勢手術・不妊手術
妊娠できなくする手術です。赤ちゃんができることはうれしいことではありますが、責任を持ってすべての猫の世話をすることは難しい場合があります。そのため、殺処分という選択につながることも多いです。
手術を実施することで、性行動に関する行動学的なトラブルも予防できます。家庭で室内飼育されいる猫であれば、相手を探索することもなくなります。猫が感じているストレスから解放してあげることもできます。
(2)猫の放浪を防ぐ
発情期の猫は、相手を探して外に出たがる傾向が強くなります。去勢、不妊手術をしていない猫であれば、自宅から脱走することもあります。脱走により、ケガや事故につながることもあります。特に発情期は脱走できないように細心の注意が必要です。
(3)叱らない
性的欲求により大きな声で鳴き続けたり、マーキング行動が現れたりします。このような行動を叱りつけてしまうと、人に対しての嫌悪学習をしてしまうこともあります。性的欲求から発現する行動なので、制御することが難しいということを理解してください。
(4)本当に発情期の行動か確認する
発情期の行動だと思い込んでいたけれど、実は身体的疾患である可能性もあります。いつもと違う行動パターンを示している場合は、獣医師に相談してみることをおすすめします。発情期と似た様な行動で、いろいろな身体的疾患があるので注意してください。
猫は非常に繁殖能力が高い動物であり、出産数も多い動物です。また発情期の各種行動は、家庭生活における“問題行動”として、人も猫も多くのストレスを抱えてしまうことがあります。
人間社会で猫と幸せに生きていくためには、猫の発情メカニズムを理解した上で、飼育方法を検討することが大切です。ぜひみなさんも、できることから始めてみてくださいね!
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【参考】
※1 環境省_統計資料 「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」 [動物の愛護と適切な管理]
※2 内田佳子「小動物の行動学 酪農学園大学獣医学部授業ノート」
【画像】
※ Aaron Amat, Lapina / Shutterstock
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