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全国に約1,370頭!事件現場で活躍する「警察犬」の現状とは

マルヤマミエコ

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マルヤマミエコ

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全国に約1,370頭!事件現場で活躍する「警察犬」の現状とは

テレビのニュースや特集番組を見ていると、事件や行方不明者の捜索などをしている警察犬の姿を見ることがあります。しかし、彼らが働いている姿は見たことがあっても、警察犬について知らないことも多いはず。そこで今回は、警察犬の仕組みや訓練内容についてご紹介します。

 

■警察犬は民間の「嘱託警察犬」が支えている

全国に約1,370頭!事件現場で活躍する「警察犬」の現状とは
出典:公益社団法人日本警察犬協会

警察犬には、“直轄(ちょっかつ)警察犬”と“嘱託(しょくたく)警察犬”の2種類がいます。

直轄警察犬は、各都道府県の警察署に所属。警察本部の直轄警察犬訓練所で、鑑識課の警察犬担当者によって飼育や訓練が行われています。それに対して嘱託警察犬は、各道府県警察が毎年行なっている嘱託警察犬審査会に応募、受験して選考された民間の犬で、認定期間は1年間です。

警察犬は全国に約1,370頭(※1)いますが、そのうちの約1,200頭が“嘱託警察犬”です。

警察犬の採用に関しては、愛媛県警のように直轄警察犬と嘱託警察犬の両方を採用しているところもあれば、警視庁のように直轄警察犬のみ、栃木県警のように嘱託警察犬のみを採用している場合もあります(※2)。

直轄警察犬は各都道府県警察本部所属なので、警察職員である鑑識課の訓練士に、お給料が支払われています。しかし、嘱託警察犬の場合は、各道府県警察本部よりの出動要請には、出動報酬が支払われることになっています。

 

■警察指定犬種以外の犬にも警察犬のチャンスあり!

全国に約1,370頭!事件現場で活躍する「警察犬」の現状とは
出典:公益社団法人日本警察犬協会

“直轄警察犬“に採用されている犬種は、事件や行方不明捜査に必要な能力が高い犬種で、『公益社団法人日本警察犬協会』登録の警察犬指定犬種(エアデール・テリア、シェパード、ドーベルマン、ボクサー、コリー、ラブラドール・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバー)です(※3)。なかでも、シェパードは足跡追及、レトリーバー種は臭気選別が得意とされています。

全国に約1,370頭!事件現場で活躍する「警察犬」の現状とは
出典:https://www.shutterstock.com

直轄警察犬は警察指定犬種のみと決まっていますが、“嘱託警察犬”は審査会を開催する各道府県警察本部によって資格条件が違うので、犬種を問わない場合もあります。これまでには、トイ・プードル、チワワ、ミニチュア・シュナウザー、柴犬などが嘱託警察犬に認定されたことがあります。

 

■日頃の訓練の積み重ねが事件解決につながる

警察犬は事件や行方不明者の捜査出動に備えて、普段から訓練を行っています。訓練内容は主に、“服従・足跡追及・臭気選別・警戒”です。

全国に約1,370頭!事件現場で活躍する「警察犬」の現状とは
出典:公益社団法人日本警察犬協会

(1)服従

指導手の命令に従うことができるか、犬の忠誠心を養う訓練です。犬を指導手の足下につけさせる、犬と指導手が一緒に決められた道を歩く、犬を止まらせて呼び戻す、障害物を飛び越させる、投げた物品を指導手の元に持ってこさせる、犬を数分間伏せさせるなどです。

(2)足跡追及

設定されたコース上の数カ所に犯人役が遺留品を置き、臭いを頼りに犬にそれを発見させながら、正確に足跡のコースを所定時間内で追及させます。これにより、犯人の足跡追及、行方不明者の捜索が行われています。

全国に約1,370頭!事件現場で活躍する「警察犬」の現状とは
出典:公益社団法人日本警察犬協会

(3)臭気選別

容疑者役の臭いのついた布片を犬に嗅がせ、スタート位置から10メートル先に設けた選別台に、容疑者役と同じ臭いと違う臭いをつけた布片を置きます。そこから、容疑者役の臭いの布片を持ってきたら正解。さらに高度な選別能力が必要な、犬に嗅がせた臭いを着けたものが選別台に無い“ゼロ回答選別”も行います。

(4)警戒

指導手の命令により、指導手と共に走ったり、トンネルくぐりや高さ1メートルの障害物の飛び越し、投げたダンベルを持って来させたり、仮想の犯人が潜んでいるのを見つけさせたりします。また、指導手の命令で吠えさせたり、襲撃させたりすることもあります。

全国に約1,370頭!事件現場で活躍する「警察犬」の現状とは
出典:公益社団法人日本警察犬協会

各都道府県警察本部では、警察犬の能力に合わせた出動命令が行われています。近年では、高齢者の行方不明捜索の出動要請が増えているのだとか。これからますます、警察犬の働きが重要視される時代がやってくることが予想されます。

しかし、嘱託警察犬指導手の高齢化に伴う若手指導手の育成、捜査出動時の報酬など、警察犬には整えなくてはならない課題もありそうです。

 

『公益社団法人日本警察犬協会』では、嘱託警察犬のみが出場する訓練競技大会を開催しています。競技会スケジュールは、協会のホームページで確認してくださいね。

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【取材協力】

公益社団法人日本警察犬協会

【参考】

※1 平成29年12月現在、直轄警察犬は157頭、嘱託警察犬は約1,214頭です。

※2 本情報は、平成30年8月現在のものです。

※3 警察犬種

【画像】

※ 公益社団法人日本警察犬協会

※ steved_np3, Kankaitom / Shutterstock

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