※2020年10月20日情報更新
ペットショップへ行ったりオンラインショッピングのページを見ると、さまざまな種類のキャットフードがありますよね。なかなか選択が難しく、どれが良いのか迷ってしまいませんか? 特に初めてねこちゃんを飼う場合はなおさらかもしれませんね。
今回はそれぞれのねこちゃんに合ったフード選びができるように、獣医師である筆者がさまざまなフードについてご紹介します。
■形状別ドライフードの選び方
一言でドライフードと言っても、さまざまな形状があります。まずは形状別にキャットフードを見ていきましょう。
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ドライフード
水分含有量が約10%以下のフードです(※1)。13%以上の水分を含むと、カビが生えやすくなると言われているため、衛生管理の観点から水分を少なくして長く保存できる状態になっています。
最近は、これまでのドライフードのほかに栄養価の損失をできる限り抑えたエアドライ製法やフリーズドライ製法によるドライフードなど、新しいタイプのドライフードの人気も高まってきています。
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セミモイストフード
水分含有量が約25-35%のフードです(※1)。水分が多いため、多くの商品では防カビ剤や水分を保持するための潤滑調整剤などの添加物が使用されています。
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ウェットフード
水分含有量が約75%程度のフードです(※1)。一般的には、殺菌処理をして密閉容器(缶詰やレトルトパウチなど)に充填することで保存性を高めています。
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粉状フード(キャットミルク・猫用栄養補助食品など)
粉のため、水分含有量は非常に低いです。キャットミルクの場合、規定量を水で溶かしてから子猫にスポイトや哺乳瓶などで与えます。その他、ほとんどのサプリメントは粉のままフードに添加して与えられます。
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液状フード(猫用流動食・スープなど)
一般的には、病気のためにフードを上手く食べることができないねこちゃんのために、栄養補給を目的として利用されています。
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その他(スティック状・ビスケット状など)
主食としてではなく、おやつとして与えるためのキャットフードとなります。
■目的に応じたキャットフードの選び方
次に、目的に合わせてキャットフードを選んでみましょう。
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主食
主食としてのフードを選ぶときは総合栄養食がおすすめです。すでにサプリメントが添加されており、そのフードと水だけですべての栄養がまかなえるよう調整されたキャットフードです。主食としてのフードを選ぶ際には、パッケージに『総合栄養食』と表記されているかどうか確認するようにしましょう。
商品によっては『AAFCO(米国飼料検査官協会)の栄養基準を満たしています』との記載がありますので、栄養バランスが気になる飼い主さんはそちらを目安にしていただくのが良いでしょう。
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間食
おやつ・スナックとして与えるためのフードです。おやつの与え過ぎは栄養バランスを崩したり、体重が増えて肥満になりやすくなったりするので、与える場合には1日全体量の10%以下に抑えることを筆者はおすすめしています。
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治療
療養食は、特定の病気にかかったねこちゃんへの治療を目的とし、獣医師の指導の下で与えられるように栄養バランスが調整された特殊なキャットフードです。一部の療法食は健康なねこちゃんには適さないため、与える際はかかりつけの先生に確認するようにしましょう。
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その他の目的食(一般食・栄養補完食・副食など)
上記以外で、カロリーや特定の栄養補給や嗜好性を高めるために調整されたキャットフードです。
■ライフステージを考慮したキャットフードの選び方
基本的に売っている製品には対象のライフステージが記載されていることが多いです。そこでライフステージごとにどうして適しているのかを簡単にご紹介します。
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授乳・離乳期
授乳期である生後1ヶ月齢まではキャットミルクを主食とし、その後の離乳期である生後2ヶ月齢までは、消化機能がまだ不十分な子猫の栄養を考慮した離乳食を与えるのが良いでしょう。子猫用のフードをお湯でふやかしてキャットミルクと混ぜることでも、離乳食として代用はできます。
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成長期(生後4ヶ月齢~12ヶ月齢まで)
この時期では、子猫用のフードを与えるのが一般的です。一般的に言われている成猫用フードとの大きな違いは、タンパク質や脂質の含有量が多いことです。これらは、成長期の猫にとって非常に重要な栄養素になります。
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成猫期(1歳~7歳まで)
成長期とは異なり、タンパク質量や脂質、繊維の量などは多すぎず少なすぎず、健康な成猫に適用できるよう栄養バランスが調整されています。
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高齢期(7歳以上)
7歳を超えるとさまざまな慢性病にかかるリスクが増えると言われています。そのため、多くの高齢期用キャットフードでは老化を防ぐと言われているビタミン・ミネラル、抗酸化物質を多めに添加するなどの工夫がされています。
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老齢期(12歳以上)
10歳を超えた猫の10%以上は慢性腎不全にかかっていて、13歳を過ぎると多くの猫でさらに進行していることがイギリスの研究で報告されています(※2)。
そのため、多くの老齢期用のキャットフードでは、一般的に腎臓病の進行につながると言われているリンの含有量を制限したり、オメガ3脂肪酸や抗酸化物質など老齢期のための成分が多く添加されています。
最近はねこちゃんの品種別のかかりやすい病気の違いや身体の大きさを考慮した猫種別キャットフードが開発されています。まずはねこちゃんのタイプによってこのようなフードを試していただくのが良いかもしれません。
最も大切なのはそれぞれのねこちゃん個体の特徴や好みに合わせたフードを選ぶことです。まず最初は1番小さなサイズを購入して少量だけ与えてみて、ねこちゃんが調子を崩さないかどうか1週間以上様子を見てから、本格的に決めることをおすすめします。
キャットフードの種類はさまざまですが、それぞれの分類や特徴を知ることで購入する際の目安となります。ぜひ参考にしてみてくださいね。
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【参考文献・画像】
※ GooDween, OllegN, とりがらし, Anurak / pixta
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