わんにゃの健康と病気

【獣医師執筆】危険!冬に増えてくる「尿路感染症」について

佐藤貴紀

The vet 南麻布動物病院 獣医師
佐藤貴紀

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【獣医師執筆】危険!冬に増えてくる「尿路感染症」について

寒さの厳しい冬は、体調を崩しやすい季節です。それは犬にとっても同じで、ペットの体にも負担がかかりやすくなります。今回は、冬に増えてくる「尿路感染症」について症状や治療方法をお伝えします。

尿路感染症とは

犬がおしっこを漏らした写真
出典:https://www.shutterstock.com/

尿路感染症とは、おしっこの出口から細菌が侵入して、尿道もしくは膀胱内に細菌が増殖することで起きます。尿道に炎症が起きた場合は尿道炎、膀胱内に炎症が起きた場合は膀胱炎といわれます。特に、犬の場合はメスで起こりやすいことがわかっており、尿道が短いため細菌が侵入し、増殖しやすいためです。

冬に多いといわれる理由は、寒くなることで水分量が減り膀胱内に蓄積される尿が長時間滞在することで、細菌が増殖しやすい状況になるためです。尿路感染症を招くと、膀胱結石などの原因になるほか、ストレスにより体調不良になることも考えられます。

尿路感染症の症状

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出典:https://www.shutterstock.com/

下記の症状が認められると、尿路感染症の可能性があります。いつもとトイレの様子が違うと感じたら、なるべく早く動物病院を受診しましょう。

・トイレに頻繁に行く

・室内や散歩でトイレを何度もする

・尿の臭いがきつい

・尿の色が赤い

・トイレでずっと尿を催す格好をしている

・尿をした時にキャンと鳴く

・陰部を気にしている

動物病院で主に行われる検査は、下記の通りです。

・尿検査:pHや比重、細菌がいるかどうかを確認します。   

・超音波検査:膀胱内及び腎臓など尿路に結石がないかを画像診断を行います。

・レントゲン検査:造影検査などを行いながら結石の有無を調べます。

・血液検査:排尿困難により、急性腎不全などになっていないかどうかを探ります。そのほか、別の疾患がないかもチェックします。

このような検査を組み合わせ、尿路感染症やそのほかの二次的な疾患がないかどうかを確認します。

治療方法

ヨークシャーテリアが動物病院を受診している写真
出典:https://www.shutterstock.com/

細菌が原因であるため、抗生剤を使用します。抗生剤でほとんどのケースが治癒しますが、種類によっては治りにくいこともあります。血尿の場合には止血剤などを使用し、痛みや炎症が強い場合は、痛み止めなどを使用し治療します。

予防方法

ウエットフード
出典:https://www.shutterstock.com/

水分量をしっかり確保しましょう。目安としては、1日に必要なカロリーが200kcalの場合は、食事と合わせて200ml飲むことが望ましいといわれています。ドライフードは10%水分含有、ウェットフード(フレッシュフード)は70-80%含有のため、水だけ飲ませるのは難しいことを考えると、ウェットフードなどの水分含有が多い食事を選ぶことが予防に繋がります。水分が多い食材として、きゅうりや大根などを摂取することも予防になります。

また、犬が排尿した後に、自分の陰部を舐めることで細菌が感染しやすくなるため、常に綺麗に保つことを心がけることも必要です。

犬の尿路感染症は、珍しい病気ではありません。日頃から愛犬の排尿のチェックを行い、早期発見を心がけましょう。いつもと違うことがあれば、すぐに動物病院を受診するようにしてください。

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