わんにゃの健康と病気

【獣医師執筆】飼い主に忠実でとってもパワフルな柴犬!獣医師から見た柴犬の魅力

西原克明

獣医師
西原克明

いいね 6

【獣医師執筆】飼い主に忠実でとってもパワフルな柴犬!獣医師から見た柴犬の魅力

日本では、数ある犬種の中でも柴犬の人気は根強く、現在もその人気は続いています。以前、柴犬を含めたいわゆる日本犬は、しつけが難しいという性格的な理由から一緒に暮らすことが難しいとも言われていましたが、現在はどうなのでしょう。

今回はそんな柴犬についてお伝えします。

■日本古来の柴犬…実は天然記念物!

飼い主に忠実でとってもパワフルな柴犬!獣医師から見た柴犬の魅力
出典:https://www.shutterstock.com/

柴犬は、古くから日本に住んでいる「土着犬」の一種です。土着犬には、他にも紀州犬や秋田犬、甲斐犬などがあり、柴犬は日本の土着犬の中で唯一の小型犬です。

しかし、1900年代の前半、狩猟が盛んになるとさまざまな狩猟犬と交配されたため、古来の純粋な柴犬はほとんど見られなくなりました。現在の柴犬は、公益社団法人日本犬保存会が定める基準に基づいて、犬種として保存されていて、しかも1936年には、他の土着犬と同様に天然記念物に指定されています。

天然記念物である柴犬ですが、近年は犬種として非常に人気があり、さまざまな繁殖、改良が行われています。筆者の感覚ですが、特に最近では、小型の柴犬が人気のようです。また、柴犬の顔つきには可愛らしい「たぬき顔」と、スラッとした「キツネ顔」がありますが、今ではもっぱらたぬき顔の柴犬が人気のようです。

また柴犬の特徴の一つである、非常に密な毛が"ふわもこ”っとした感じも人気のポイントになっています。柴犬の毛色には、茶色に白が混ざった「赤」と呼ばれる毛色が主流です。その他には黒色の毛がメインの「黒褐色」、赤黒白が混ざった「胡麻」(赤胡麻、黒胡麻)がありますが、いずれの毛色でも、必ずマズルの両側から顎、首、胸、体のおなか側、足の内側、尾の裏側までが白色の毛になっているのが標準です。

■柴犬の性格は温厚?それとも警戒心が強い?

飼い主に忠実でとってもパワフルな柴犬!獣医師から見た柴犬の魅力
出典:https://www.shutterstock.com/

柴犬の性格は、基本的に日本古来の土着犬に共通して、一緒に暮らす人には非常に忠実ですが、周囲への警戒心が強く、とても神経質な性格を持っていると考えられています。つまり、傾向として一緒に暮らすご家族にはよく懐きますが、他人に対しては臆病になったり、反対に攻撃的になったりすることがあります。

実際に動物病院での診察でも、警戒心の強い柴犬は、なかなか体を触った診察をさせてもらえず苦労することがあります。さらには、柴犬の中には動物病院の前に来ると、暴れたり強く嫌がったりして来院することが難しく、往診を依頼されることもあります。

しかしその一方で、最近では非常に温厚な柴犬も多く見るようになりました。これはブリーダーの方が、温厚な性格の柴犬を重点的に繁殖し、現在の伴侶動物としての適応力を高める努力をしている結果だと言われています。

ところで、犬との暮らしの中で、最も問題となるのは、吠えたり、攻撃的になったりといった「問題行動」です。上述のとおり柴犬の中には警戒心が強い犬が多いことから、犬と暮らす経験が少ない方が柴犬を迎えると、問題行動で悩まされるケースが非常に多くあります。したがって、柴犬に慣れない方は、なるべく温厚な性格の柴犬を迎えたいところです。

しかし、子犬のうちからその柴犬の性格を見抜くことは非常に難しく、子犬の時は大人しくても成長とともに神経質になるケースもあります。それでも柴犬に慣れない方は、たとえば両親の性格もチェックした上で、柴犬を迎えるかどうかを考えても良いかもしれません。

■子犬のうちからしつけトレーニングが必須

飼い主に忠実でとってもパワフルな柴犬!獣医師から見た柴犬の魅力
出典:https://www.shutterstock.com/

また元々の性格以外にも、お家に迎えてからの暮らし方が、柴犬の性格形成に大いに影響を与えます。したがって、お家に迎えた後は、必ずしつけトレーニングを行うようにしてください。個人的には、犬のトレーニング方法は、その犬の性格や飼い主の方の性格、さらにはご家庭の環境によって千差万別だと思いますので、しっかりとしたドッグトレーナーの指導のもと行うことを強くおすすめします。

■柴犬が注意すべき病気は…

飼い主に忠実でとってもパワフルな柴犬!獣医師から見た柴犬の魅力
出典:https://www.shutterstock.com/

土着犬はもともと長く日本で暮らしている犬種ですので、日本の風土にあっており、比較的病気には強いと考えられています。また、あくまで筆者個人の感覚ですが、同じ体格をした他の犬種に比べて、柴犬は寿命が長い印象があります。

しかし、そんな柴犬でも、動物病院で最も多く見かける病気が「皮膚病」です。筆者の動物病院ではアレルギー性皮膚炎を始め、なかなか完治が難しい皮膚病に悩まされている柴犬が多く、さらには他の犬種に比べて治りが悪いケースも多いように思います。その理由は不明ですが、何れにしても柴犬の皮膚病は、お薬だけでなく食事やサプリメントを考慮した栄養管理、シャンプーなどのスキンケアも非常に重要で、多角的、総合的に治療に取り組むことが重要です。

もちろん、病気に強いと言っても一般的な病気にはかかりますので、混合ワクチンやフィラリア予防、ノミマダニ駆除薬の定期投与、定期的な健康診断はしっかりと行うようにしてください。

 

■最近耳にする「豆柴」「小豆柴」って?

飼い主に忠実でとってもパワフルな柴犬!獣医師から見た柴犬の魅力
出典:https://www.shutterstock.com/

最近、柴犬の中でも体が小さい「豆柴」やさらに小さな「小豆柴(あずきしば)」も見られるようになりました。犬種というのは比較的、繁殖のコントロールによって体格を調整しやすいと言われており、豆柴や小豆柴もそのような繁殖管理によって誕生しています。体格が通常の柴犬よりもさらに小さいため、その愛らしさは倍増し、それが人気を博している要因なのですが、性格的にはやはり柴犬ですので、豆柴であってもしっかりとしたしつけトレーニングは必要になります。

また、豆柴や小豆柴は、前述の公益社団法人日本犬保存会では、正式な犬種としては認められていません。

柴犬は日本古来の土着犬の一種で、近年はその生活スタイルに合わせて、姿や性格的な面も考慮した繁殖も行われています。比較的病気に強い犬種と言われていますが、アレルギー性皮膚炎といった皮膚病には注意が必要です。

さらに豆柴や小豆柴といった愛らしい柴犬も多く見られるようになりましたが、どんなに可愛くても柴犬の性質を持っているため、しっかりとしつけトレーニングを行うことが重要です。

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

わんにゃ相談

【関連記事】

※ 柴犬のツンデレがたまらなくかわいい!柴犬の性格とは

※日本犬ってどんな犬?日本猫って1匹だけ?代表的な日本犬・日本猫種を行動傾向と共に紹介

※「放っておいて欲しいワン!」犬のサインを読み取れないとこうなる!問題行動症例を紹介

※赤外線にも注意して!愛犬の目が見えなくなる前に飼い主さんがしておくべきこと


獣医師特集

【画像】

※ Akbudak Rimma,Svetography,Elena Shvetsova,Africa Studio, mannpuku / Shutterstock

FOLLOW ME

twitter   facebook

この記事に付けられているタグ

いいね 6