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【獣医師執筆】忠実だけど警戒心が強い!? 飼う前に知っておきたい「柴犬」の性格や病気

西原克明

獣医師
西原克明

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【獣医師執筆】忠実だけど警戒心が強い!? 飼う前に知っておきたい「柴犬」の性格や病気

2020103日情報更新

柴犬は日本では常に上位にランキングされる人気犬種です。日本犬の中では比較的飼育しやすい犬種ですが、よりよく暮らしていくためには、柴犬の特徴を知っておくことが重要です。

そこで今回は、柴犬の特徴や考えられる病気についてお伝えします。柴犬を迎えたいと思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

■柴犬の由来と現在の血統について

柴犬は元々、日本古来の土着犬で、秋田犬や甲斐犬、四国犬など、その他の土着犬とともに日本の天然記念物に指定されています。そして柴犬は、それら日本犬の中でも最も小型の犬種になります。

日本犬の多くは名前からわかるように、特定の地域に生息していることがほとんどですが、柴犬については、本州に広く分布していたと考えられています。柴犬は歴史的に他の犬種と交配されることも多く、現在の柴犬の多くが他の犬種の血統が混ざっていると言われています。

一方で、いくつかの柴犬の保存会があり、それぞれの保存会が独自に基準を定め、純粋な柴犬の血統を維持するために活動しています。

 

■柴犬の身体の大きさは?毛色はどんな種類があるの?

忠実だけど警戒心が強い!? 飼う前に知っておきたい「柴犬」の性格や病気
出典:https://www.shutterstock.com

柴犬の特徴は、各保存会や一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)がそれぞれに基準を定めていますが、例えばJKCでは、オスの体高が39.5cm±1.5cm、メスの体高が36.5cm±1.5cm、毛色は赤、黒褐色、胡麻、黒胡麻、赤胡麻の5種類ですが、すべて裏白(マズルの両側や顎、頚、胸、体幹部、尾の裏側、さらに足の内側が白っぽいこと)であるとされています。ちなみに毛色の“赤”とは茶色のことを指します。

また、最近では“豆柴”と呼ばれるより小型の柴犬もよく見かけるようになっています。

 

■飼い主さんにとっても忠実!でも警戒心が強いことも…

柴犬の性格的な特徴は、一般的には“飼い主さんに忠実”かつ“警戒心が強い”ことが特徴です。つまり、飼い主さんのもとではトレーニングによく順応しますので、トイレトレーニングなどは比較的容易にしつけることができます。

しかしその一方で他人には慣れず、不安のあまり時に攻撃的になることがあります。不要なトラブルを避けるためにも、上手にトレーニングを行う必要があります。

ただし、どの犬種もそうですが、同じ犬種でも性格は一頭一頭で異なります。筆者の動物病院でも柴犬が来院することが多いのですが、最近では、とてもフレンドリーに接してくれる柴犬も多いです。さらには柴犬の多頭飼育を行っている方で、全頭が動物病院にいても警戒心なく、おとなしく接してくれていますので、性格については、犬種特有のものだけでなく、やはり育て方も非常に重要だと思います。

いずれにしても柴犬のトレーニングに慣れていない場合は、プロのドッグトレーナーの元でしっかりとトレーニングすることをおすすめします。

 

■柴犬は外飼い?室内飼い?

出典:https://www.shutterstock.com

柴犬は一昔前までは、ほとんどが外で飼育されていましたが、近年は室内で暮らすケースも多く見られます。特に最近は柴犬をはじめ、どの犬種も平均寿命が延びています。

その分高齢犬のケアが重要になるのですが、やはり高齢犬では体調管理のためにも、温度環境を一定に保てる室内飼育が必要になります。筆者の病院では若い柴犬でも将来のことを考えて、室内飼育に慣らすようお伝えしています。

 

■柴犬で注意する病気は皮膚病

犬は犬種によってなりやすい病気があります。柴犬は比較的病気が少ない犬種と考えられていますが、皮膚病には注意が必要です。筆者の動物病院でも柴犬の来院理由の多くが皮膚病、特にアレルギー性皮膚炎やアレルギー性外耳炎など、アレルギーが関わる皮膚炎が多いです(※)。

その他、柴犬に特有ではなく、どの犬種でも多くみられる病気として、歯周病や老齢性の白内障があります。また、筆者の経験ではありますが、心臓の病気や呼吸器の病気、さらには関節の病気なども比較的多くみています。

 

柴犬は飼い主さんによく懐き、上手にトレーニングすることで他人ともうまくコミュニケーションを取ることができます。その一方で、皮膚病など多く見かける病気もありますので、柴犬を迎える前には、あらかじめ柴犬の特徴を理解し、トレーニングや飼育環境をしっかりと準備した上で迎えてあげることをおすすめします。

 

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考・画像】

※ Inoue M. Epidemiology Studies of Insured Dog and Cats in Japan. J Dairy Sci. 2017; 21: 8-15.

※ TOM KAROLA, Didkovska Ilona, EkaterinaSid / Shutterstock

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