犬と猫はペットとしてとても人気の高い動物です。大きさや形が似ている部分が多いため、行動特性を同じように解釈してしまうこともあるかもしれません。
しかし実際に全く違う行動パターンを示すのが犬と猫。そんな2種類の動物が一緒に暮らすためには、大切なポイントがあります。
今回は、“犬と猫が一緒に暮らす”ために大切なことについて、獣医行動診療科認定医の筆者がご紹介します。
犬と猫の行動と生活スタイルの違いとは、行動も生活スタイルも違う犬と猫ですが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか? 犬と猫の行動と生活スタイルの主な特徴について、解説します。
■犬の行動と生活スタイル
犬はとても社会的な動物で、異種の動物である人間と調和しながら生活しています。仲間と一緒に生活することが得意な犬は、人間とコミュニケーションを上手に取りながら、ともに行動することを好んで生活しています。そのため“相手と仲良く過ごすため”のボディーランゲージが発達しています。
楽しく生活したいと望むことが多い動物です。
■猫の行動と生活スタイル
一方で単独生活が主なスタイルの猫。食物が豊富な環境であれば仲間を作って生活することもありますが、基本的に母猫と子猫以外では、群れて一緒に行動することはありません。
“相手とトラブルにならないように回避する”ためのボディーランゲージは発達していますが、調和するための行動は犬ほど発達していません。静かで安定した環境を好むことが多い動物です。
■一緒に暮らすためにチェックしたいポイント4つ
行動パターンが異なる犬と猫ですが、一緒に暮らすためにチェックしておきたいポイントが4つあるので解説します。
(1)犬種特性について
小動物を追跡したり、仕留めたりすることが得意な犬種(テリア系、ハウンド系など)は、猫と暮らすのに注意が必要です。猫を獲物と認識してしまう可能性があるためです。本能的な行動を抑えることは、とても難しいこと。飼っている犬が、どのような種類、特徴を持つのか犬種図鑑などを参考に確認しましょう。
(2)大きさについて
大きな犬だと、悪気が無くても猫にぶつかったり踏んだりすることで、怪我や恐怖を与える可能性があります。猫よりも大きいというだけで怖がられる可能性もあるでしょう。大きくても、動きが落ち着いているような性質であれば問題ないこともありますが、大きいことで、何かあった時のダメージが強いことは念頭に置いておく必要があるでしょう。
(3)年齢
犬も猫も年齢が低いほうが、お互いを受け入れやすいです。犬は3ヶ月齢位、猫は2ヶ月齢位までが “社会化期”と言われていて、物事を受け入れやすい時期になります。この時期であれば、比較的容易に他種の動物も受け入れやすいでしょう。
(4)性格
極度な怖がりや、色々な刺激に反応しやすいタイプの犬や猫は注意が必要です。多頭飼育が向いていないタイプの子もいますので、しっかり考慮してあげることが大切です。
■どんなしつけが必要?
人間が犬と猫の調和の架け橋になってあげることも重要なカギになります。調和のために必要なしつけを2つご紹介します。
(1)ハウストレーニング
猫がゆっくり休みたいときなどのために、ハウスやクレートに落ち着いて入っていられるように練習しておきましょう。知育玩具や食事を入れて楽しい場所として日頃から教えていくことが大切です。
(2)刺激があっても合図が聞ける
ちょっとした刺激があっても、犬が「おいで」「まて」「見て」「お座り」などの合図で動けることは重要です。そうすることで、猫を追いかけてしまったり、怖がらせてしまったりするような行動を防ぐことができます。
■犬と猫の同居のコツ2つ
犬と猫の違いやチェックポイントについてご紹介してきましたが、犬と猫が同居するためにもコツがあります。
(1)プライベートスペースを作る
お互いが安心して個別に休める場所を作りましょう。猫は高い場所が好きなので、高さのある場所を提供すると安心しやすいです。猫にとっては、静かに邪魔されずにくつろげる空間がとても重要になります。
(2)同居スタートは慎重に!
すぐに同居動物と対面させて遊ばせようとする方もいますが、初対面の印象を悪くしてしまう原因になることがあります。
どちらが先に居住していたとしても、一緒の空間で安心して過ごせるようになるためには時間が大切です。最初は隣同士のお部屋、少しずつ見える場所……というように様子を窺いながら段階を踏みましょう。
犬「引っかいてくる嫌な動物だ!」、猫「吠えてばかりいてうるさくて最低の動物!」とならないように注意しながら、少しずつ家族になるための段階を踏んでください。段階設定の方法が難しい場合は、専門家に相談してみましょう。
生活様式、行動スタイルが異なる犬と猫。「猫(犬)という動物は結構いい動物だな」という良い印象で生活がスタートできるように、人間がプロデュースしてあげましょう。もちろん、多頭飼育が向いていない犬や猫もいます。飼っている犬や猫の性質をしっかり判断して、人間が無理強いをすることなく、お互いがより幸せに生活するために大切なことをしっかり考えてあげてくださいね。
※個体差、犬種差、性質によって、若干異なる部分もあります。あくまでも犬と猫の基本的な考え方に基づいて解説しております。
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