愛犬がごはんを食べているときに近づいたり話しかけたりすると、唸られたり噛まれそうになったりする……そんな経験はありませんか? 実はこれ、意外によく耳にするお悩みなんです。
子犬でもごはんに執着があると現れる食事中の攻撃性。より良い生活を送るためにも、早めに対処してあげることが大切です。
そこで今回は、わんちゃんのごはんに対する心理や噛んでしまう理由、その対処法をご紹介します。
■わんちゃんの食事中の心理
人もそうですが「これだけは譲れない!」というものがありますよね。わんちゃんたちも同様で、「これだけは守りたい!」というものが生活の中に存在しています。
ある子は大好きなおもちゃ、ある子はお気に入りのベッド、そしてある子はごはんなど。ごはんは生きるためにとても大切なものです。食いしん坊のわんちゃんほど、食事に執着が出てしまう傾向が見られます。
「ごはんをとられるから守らなきゃ!」「早く食べなきゃ!」と思わなくてもいいように、リラックスした状態でごはんを楽しんでもらいたいですよね。
■人が手を出したときに噛んだり唸ったりする理由
わんちゃんがごはんを守りたいという理由はさまざまですが、そもそも野生の世界では獲物を毎日食べられるわけではないため、食べられるときはできるだけたくさん食べたいという心理が働きます。
わんちゃんが家畜化されて長い年月が経過していますが、それでもなおわんちゃんの行動のほとんどは、本能に基づいているんです。
(1)生まれもって物欲が強い
犬種特異性として「この犬種は物欲が強い!」という傾向があります。テリア種、日本犬、ウェルシュ・コーギー、ボーダーコリーなど、狩猟犬や作業犬などに多くみられます。
(2)子犬のころに大きな病気をした経験がある
子犬の時期に感染症や異物摂取などにより長期的に動物病院に入院し、食事や水の制限された経験のあるわんちゃんは、食べ物に執着することがあります。
(3)手に対して警戒心がある
子犬のころに経験したしつけより、手に対して嫌悪感を抱いているわんちゃんは、差し出される手に対して警戒し、噛みついたり唸ったりすることがあります。
例えば、マズル(口吻)を握られる、叩かれる、首や体を押さえつけられる、食べているものや遊んでいるものを無理やり奪いとられるなどです。
■噛んだり唸ったりするときの対策
「食べ物はとられるものではなく、人の手から与えられるものだよ」ということをわんちゃんに理解してもらうレッスンを積み重ねることにより、この問題を改善させることができます。おすすめできない方法は感情的または威圧的な方法で対処することです。
以下に具体的な対策を3つお伝えします。
(1)食事をあたえる場所や食器をかえる
食事のときに噛んだり唸ったりするわんちゃんの中には、食事をもらう場所や食器に対して執着がみられることがあります。
その場合は、毎日違う場所で食事をあたえます(リビング、廊下、玄関、寝室など)。使用する食器も新しいものを用意しましょう。
ケージの中や車の中など狭く囲まれた空間はわんちゃんの物欲が本能的に増すので、ケージの外で食事を与えるようにしてみましょう。
(2)食事に対する執着をなくすレッスンをおこなう
食事に対する執着をなくしてあげることも大切です。そのために下記のレッスンを行いましょう。
・レッスンをするときには新しい食器を2つ用意します。1つの食器には1回分のごはんを入れ、もう1つの食器は空にします。
・空の食器を床に置いて、その食器の近くでわんちゃんにお座りさせます。
・食事の入っている食器を手に持ち、そこからごはんを手にとって「どうぞ」という言葉をかけながら、空の食器に手でごはんを入れます。このときに待てをさせず、「どうぞ」という声掛けでわんちゃんが食べてしまってかまいません。これを1回の食事で5回ほど行います。
・「どうぞ」という言葉を聞くとごはんがもらえることをわんちゃんが理解したら、わんちゃんが食事をしている最中に手でごはんを追加します。
これを毎日行っていくと手に対してよい印象が生まれ、噛みついたり唸ったりすることがなくなっていきます。
(3)わんちゃんに与えるおやつを見直す
わんちゃんと生活する中で、“食べ物をとりあげる”という状況をなるべくつくらないようにすることも大切です。
例えば、小さいわんちゃんに大きなガムを与えてしまうと、途中で取り上げなければいけなくなります。定期的に好きな食べ物を取り上げられる経験をすると、手や人に対して警戒心をもってしまうので、食べきれるベストなサイズのおやつを与えましょう。
手に対する信頼が生まれることで、食事中に噛んだり唸ったりすることがなくなります。誤って危ないものを口にしてしまったときに快く口に触れさせてくれることは、わんちゃんの危険回避にもつながります。
ぜひ早いうちに、ごはんに対する悩みを解消してあげましょうね!
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