わんちゃんは「ワンワン」と吠えたり「ウー」と唸ったり「クゥーン、クゥーン」と鳴いたりして、コミュニケーションをとっています。
唸ったり吠えたりするのは、声による威嚇や攻撃のシグナルです。姿勢や表情も変化させて、感情表現をしていると言われていますが、わんちゃんが唸る理由はほかにもあることをご存知ですか?
また、わんちゃんが唸るのは当たり前のこととして放置しておくと、対象を攻撃してしまう可能性があるので注意が必要です。
今回は、わんちゃんが唸る理由と改善するためのしつけ方法をご説明します。
■わんちゃんが唸る3つの理由
わんちゃんが唸る理由は主に3つあります。わんちゃんが何を表現しようとしているのか気持ちを理解してあげることが大切です。
(1)防衛的警告として
わんちゃんは嫌なことをされた相手に対して「これ以上続けたら咬みつくぞ!」という威嚇や攻撃のシグナルとして唸ります。体の表現としては尾と耳を立てて、高い姿勢で歯をむき出しにします。
例えば食事中に人が近づくと、フードを取られまいとして唸ることがあります。またチャイムを鳴らして玄関に他人が入ってきたときは、「俺の縄張りに入るな!」とばかりに唸ったり吠えたりします。
(2)恐怖を感じたとき
恐怖を感じたときにも、わんちゃんは唸ることがあります。体を後ろに引き頭を下げ、尾を股間に巻き込み、耳を後ろに向けます。例えばドライヤーや掃除機を使用すると怖がったり、散歩の途中でよそのわんちゃんに唸ったり吠えたりします。
飼い主さんが「しつけのために」とわんちゃんを強く叱ったり叩いたりすると、飼い主さんが恐怖の対象となってしまうこともあります。
(3)遊びで興奮したとき
飼い主さんと引っ張りっこの遊びなどをすると、だんだん興奮が高まり、唸ったりおもちゃを噛んで振り回したりします。前傾姿勢を取って背を弓なりにして、腰を高く上げ尾を大きく振り回します。
■唸る癖を直すために、飼い主さんができる状況別しつけ法
飼い主さんとしては唸る行動を改善させたいですよね。以下に状況別のしつけ法をご紹介します。
(1)安心ごはんタイム
フードを取られまいと威嚇して唸るときは、まず安心して食事ができる環境を作りましょう。フードを何回かに分けて与えたり、食事中にチーズなど好きなものをトッピングしたりします。
それでも唸るときは、ドライフードを数粒ずつ手のひらから与えると、フードを与える人との信頼関係を築くことができます。
(2)「オスワリ」や「マテ」を教えよう
見知らぬ人が縄張りに侵入したら、追い出そうとするのがわんちゃんの本能です。そんなときに宅配便の配送などで用事が済んですぐに帰る人がいると、「自分が追い返した!」と誤解します。
この場合はチャイムの音と同時に「オスワリ」や「マテ」の指示をだしましょう。興奮してしまう時はサークルやクレートに入れます。普段からクレートの中で食事やおやつを与えて、クレートの中では良いことがあると認識させると良いでしょう。
(3)家電の音に慣らそう
わんちゃんにとって、ドライヤーや掃除機は急に大きな音の出る得体の知れない物体のため、恐怖を感じて唸ることがあります。対処法としては、徐々に怖くないものだと教えることが大切です。
まずスイッチを入れずに置き、近くで遊んだりおやつを与えたりします。次にスイッチを入れて音だけ聞かせます。そしてわんちゃんのいない部屋で使用して徐々に近づけていきます。
焦らずにごほうびを与えながら、何日もかけて慣らしましょう。
(4)よそのわんちゃんとすれ違うときは
社会化時期(生後12週齢位まで)の経験不足や、咬まれたことがトラウマとなり、よそのわんちゃんを異常に怖がって唸ることがあります。
その場合は、お散歩ですれ違うとき、わんちゃんの名前を呼んで飼い主さんと目を合わせたら、ごほうびを与えるのがおすすめです。アイコンタクトで良いことがあると教えます。
飼い主さんも落ち着いた態度で、よそのわんちゃんが通り過ぎるのを待ちましょう。
(5)褒めてしつけよう
叱ったり叩いたりするしつけは、逆効果となり恐怖を与えてしまうことが分かってきました。しつけの際は、褒めたりごほうびを与えたりしながら、何をしたらうれしいことがあるのかを学ばせましょう。
犬種の特性や発育環境により思うようにしつけが進まないときは、パピースクールへの参加や専門家に相談することをおすすめします。
(6)遊びは興奮しすぎに注意!
ボール遊びや引っ張りっこは、本来の狩猟本能や作業本能を満たす、わんちゃんが大好きな遊びです。しかし、興奮しすぎると唸る原因にもなるので、5分遊び5分休憩をとるなどしましょう。
遊びを始める、終わりにする、おもちゃの管理をすることは、飼い主さんが主導権を握って行ってください。
わんちゃんが唸る背景にはさまざまな理由がありますが、攻撃行動の前触れであることもあります。放っておかずにしっかり対処することが必要です。
わんちゃんと飼い主さんとの良い関係をつくり、楽しい時間を過ごしましょう。
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【参考・画像】
※ 鹿野正顕・中村広基著(2008)『犬の行動学入門』森裕司監修, IBS出版
※ 森裕司・竹内ゆかり・南佳子著(2012)『動物行動学』interzoo
※ 水越美奈監修(2013)『イヌの心理学』正東社
※ Jobrestful / pixta
※ Balan Sergey / Shutterstock
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