あなたは1度でも猫を飼いたいと考えたことがありますか?
空前の猫ブームを迎えている2018年現在、猫の飼育頭数が犬よりも上回り(※1)、猫と暮らす人の99.7%が猫と暮らすようになって幸福度が高まったと感じている(※2)など、猫の人気が高まっていることを示す報告がたくさん上がってきています。
初めて猫を飼う方でも猫と楽しく暮らせるように、獣医師である筆者が猫を飼う前の心構えや準備・食事についてご紹介します。
■人気の猫種はどれ?
猫も犬と同様にたくさんの猫種がいます。大きさについては一般的な猫の体重は平均して3~5kgですが、種類によっては雄猫で大きなものが6~8kgのなるものもいます。まずは簡単に人気の猫種3種をご説明します。
・スコティシュ・フォールド
他の猫種に比べて人気のある猫がスコティッシュ・フォールドです。耳が小さくまんまるな目が特徴的な猫種で、比較的カラダが小さめの体型が多い傾向にあります。猫の性格については一般論が当てはまらない場合がありますが、スコティッシュ・フォールドの場合、温和でのんびりしている猫が多いと言われています。
・アメリカン・ショートヘア
よく見るグレー×黒の猫といえばアメリカン・ショートヘア。大きな縞模様のクラシックタビーと呼ばれる柄が典型的ですが、模様や色は非常に様々で、細かい種類を含めると80種類以上あるとも言われています。この猫たちは他の猫種に比べると平均よりも少し大きくなる傾向があります。一般的には性格もどっしりと構えて温厚ですが、嫌なことがあると果敢に挑み、最後まで抵抗しようとするタイプの猫もいます。小さいうちから様々なことに慣らすようにしましょう。
・マンチカン
ダックスフンドのような短足な子がいたり、はたまた普通の猫の容姿の子がいたりと、個体によって多彩な容貌を持つ小さめな猫種がマンチカンです。足の短いマンチカンの動きはフェレットのようだと言われることもあり、実際にジャンプするのは他の猫ほど得意ではありません。体重が増えて太ってしまうと関節に負担がかかり問題になることがありますので、その点注意してあげましょう。
ペットショップで飼う猫を選ぶ際の種類以外の一般的なポイントとして、目やに、耳垢、鼻水、肛門の汚れなどがないかどうか確認しておくことがおすすめです。一緒に遊んでみて、まっすぐ歩いたりジャンプがきちんとできるか、足をかばっていないか等といった点がポイント。
ただし、子猫よりも比較的おとなしい成猫や身寄りがない猫と一緒に暮らしたいと考える飼い主さんの場合は保護猫を迎え入れるというのも1つの方法です。
■猫を迎え入れてあげるための準備
猫は人とは全く異なる生き物です。そのため、何も準備しなければ猫にとっては家が居心地の悪い場所になってしまいます。居心地の悪いことが大きなストレスとなり、怒りっぽくなって家具を壊したり人に攻撃するなどのトラブルが発生することは決して珍しいことではありません。そのため、猫を飼うときは猫の習性について正しく理解することが重要となります。
居心地の良い環境を用意するためのヒントをご紹介します。
・安全な場所を確保してあげましょう
”ここなら絶対に誰にも邪魔されない“場所を用意してあげましょう(※3)。例えば、ダンボール箱・キャットタワー・寝床(猫用ベッド)・猫用トンネル・ケージなどが挙げられます。
猫は犬と異なり、本来は単独で狩りをする生き物であるため、独りの時間が必要です。
またテリトリー意識も高いため、安全な場所が家の中にないと情緒不安定になりやすくなってしまいます。
ただ単に場所を用意するだけではなく、そのような場所で寝ていたらそっとしておいてあげましょう。
猫は自分の感情に正直なので、甘えたいときは自分から鳴いて、側にきてくれますので、そのようなときに遊んであげるのがよいでしょう。
なお、安全な場所としてケージに慣らしておくと、災害などがあった際にもその中で過ごさせることが簡単にできます。
・水やトイレについて
飼い主さんが用意した場所を好まないことがあるため、水・フード・トイレ・爪とぎ・遊ぶ場所・休む場所・寝る場所をそれぞれ別の場所に2箇所以上用意しましょう(※4)。例えば、台所にのみ水やフードを置いているご家庭が多いようですが、実は台所は人がよく行き来する場所であるため、猫にとっては落ち着いて食事をとれない場合があります。爪とぎ、寝る場所などについても同じことが言えるため、猫の気持ちに立って考慮した環境づくりを心がけましょう。
その他、多頭飼育の場合、トイレは飼育頭数の数+1つ以上用意する必要があります。
そして爪とぎは立って行えるタイプと、かがんで行えるタイプ2つ以上用意するのがおすすめです。
垂直型爪とぎ
平行型爪とぎ
・毎日の遊び
鳥の羽根でできた猫じゃらし・LEDライト・音が鳴るタイプなど様々なおもちゃを用意してあげましょう。
特に猫は夜になると何かを捕食したいという欲求が高まり、鳴いたり走りまわることがあります。家でそのような欲求を解消させるためには毎日の遊びが必要です。
ただし、おもちゃを誤食してしまい手術が必要となる場合があるので、遊んだ後は毎回片付けるようにしましょう。
そしてお外に出かける猫の場合、誰かが見つけたときに首輪をつけられている猫だと飼い主がいると分かってもらえますので、首輪を考慮すると良いでしょう。
・猫の食事について
猫の食事の好みは大体6ヶ月齢までに決まり(※4,5)、それ以降になると食事の変更を全く受け入れなくなってしまうことがあります。
そのため、子猫を迎えたらできるだけ早い段階で様々なタイプのフードに慣らしましょう。
キャットフードの種類によっても異なりますが、一般的にウェットフードのほうがドライフードよりもタンパク質量や水分が多い傾向があります。本来は完全肉食動物であり、水をあまり飲まない猫の特徴を考慮すると、ウェットフードの方が適していると考える猫専門の獣医師は欧米に多くいます。
そのため、子猫や成猫を迎え入れた場合は、できるだけ早いうちから水分や消化の良いタンパク質が豊富なウェットフードに慣らしてあげることをおすすめします。
そしてフードを購入する際は、栄養バランスを考慮した“総合栄養食”であるかどうか確認しましょう。
“総合栄養食”でない場合、必要な栄養が完全に補えない可能性がありますので、その点注意が必要です。
猫との暮らしをより長く楽しく過ごしていくためには飼い主さんの十分な配慮が必要です。よりよい暮らしが送れるように、ぜひ参考にしてみてくださいね。
【関連記事】
※ 飼い主さんなら知ってほしい「猫がかかりやすい病気」とは?
【参考・画像】
※1 「平成29年(2017年)全国犬猫飼育実態調査結果」(一般社団法人ペットフード協会)
※2 「猫を飼うと、99%幸せになれる!? 猫の生活実態調査「nekokusei調査」、結果公表!」(アニコム損害保険株式会社)
※ Andrey Tairov, ANURAK PONGPATIME, SV_zt / Shutterstock
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