わんちゃんには、男の子と女の子で性格や行動、かかりやすい病気などさまざまな違いがあることをご存知でしょうか?
もちろん、体格や性格的な特徴は、性別だけで決まるわけではありません。犬種や育て方、あるいは栄養など日常生活の習慣によっても大きな影響を受けますし、わんちゃんにも一頭一頭個性があります。
今回はわんちゃんの特性の中でも、男の子と女の子のそれぞれの違いについて獣医師の筆者が解説します。あくまで一般的な目安として考えてくださいね。
目次
■男の子は大きくて活発・女の子は小さめでおっとりしていることが多い
男の子は女の子に比べて、体格が大きい場合が多いです。
特にチワワやトイプードルなどの超小型犬は、テレビに出てくる小さくて可愛いイメージが強いせいか、実際に飼ってみると、飼い主さんの想像よりも大きくなり、そのイメージとのギャップに驚かれる方もいらっしゃいます。
また性格については、女の子よりも活発で、場合によっては攻撃性を持ってしまうこともありますので、しっかりとしたしつけトレーニングが必要になります。
一方、女の子は、男の子よりも小さめのわんちゃんが多く、おっとりめのわんちゃんが多いです。
とはいえ、女の子の場合も正しいトレーニングをしないと、攻撃的になってしまうことがありますので、女の子でもきちんとしつけのトレーニングを受けるようにしてください。
■男の子の行動で特徴的なのが「マーキング」
男の子の行動上の一番の特徴は“マーキング”です。散歩の途中で、片足をあげておしっこをする行動がありますが、中にはお家の中でマーキングしてしまうケースもあります。
マーキングはトイレの意味合いではなく、自分の存在をアピールするための匂いつけですので、病気などではありません。
しかし、あちこちに尿をすることは、人との社会生活上好ましいものではありませんので、場合によっては去勢手術を考えても良いでしょう。
■女の子は年に2回の「発情」がある
女の子の場合は、年に2回の“発情”があり、多くは春と秋にみられます。
発情期には陰部から出血がみられたり、ホルモンの影響で食欲が落ちたりすることがあります。さらには、乳腺から乳汁が出るようになったり、想像妊娠をしてしまったりするケースもあります。
もちろん男の子にも発情はみられます。しかし女の子のように定期的に起きるのではなく、発情した女の子の存在に気づくと、興奮したり、マウンティング行動をしたりするようになります。また、女の子のように出血や乳汁の分泌はみられません。
■男の子と女の子それぞれの特徴的な病気(※1)とは
男の子に特徴的な病気は、前立腺の病気、会陰ヘルニア、肛門周囲腺腫などがあります。いずれもいわゆる男性ホルモンが大きく影響する病気です。
女の子では、子宮蓄膿症、乳腺腫瘍(乳がん)などがあります。やはり女性ホルモンが関係している病気です。
いずれの病気も治療が大変なものばかりですし、中には発見が遅れると命を落としてしまう病気もありますので注意が必要です。
病気の種類や手術の時期にもよりますが、これらの病気は不妊手術(男の子は去勢手術、女の子は避妊手術)を行うことで、発生率を下げたり、再発を予防したりすることができるといわれています。
また、病気の中には、男の子と女の子に同じように見られるものでも、免疫介在性溶血性貧血のように、理由は不明ですが、女の子に多く発生する病気もあるようです。これは不妊手術を行っても、発生を抑えられるわけではないといわれています。
わんちゃんも、人と同じように性別によって、体格や性格、行動が異なり、またそれぞれに特徴的な病気があります。これらの特徴を理解することで、問題行動を防いだり、病気を予防できたりもしますので、ぜひあなたの大切なパートナーとのより豊かな暮らしに役立ててみてくださいね。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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【参考】
※1 Heidi B.Lobprise「小動物臨床のための5分間コンサルタント 犬と猫の診断・治療ガイド 第3版」(Interzoo)
【画像】
※ takumy00, HIME&HINA, parinyabinsuk / pixta
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