わんちゃんは、人と暮らしていく中ではなかなか自分で食べる物を選ぶことができません。飼い主さんに与えられたものを食べ続けていくことになります。健やかに生活していくためにも食べ物はとても重要であるため、飼い主さんの責任も重大です。
そこで今回は獣医師の筆者が、子犬を飼い始めた時に知っておきたい食事のキホンのキをご紹介します。
■1:最初に与えるフードは?
子犬は生後3~4週目になると、母乳以外の食べ物に興味をもちだします。離乳食を作る時は、子犬用ドライフードに“犬用ミルク”をかけて軟らかくしたものを1日4~5回に分けて与えます。
わんちゃんは離乳が完成する生後8~9週頃に、新しい家族に引き取られることが多いですよね。新しい環境に慣れるまでに相当なストレスがかかりますので、フードは今まで与えられていたものをしばらく続けましょう。
新しいおうちにやってきた当日は緊張などからフードを食べないこともあります。元気であれば様子を見てください。翌日になっても食べないようなら動物病院に連れていきましょう。
おうちにやってきた時にまだ離乳食を食べているようであれば、ドライフードを少量そのままトッピングして徐々に増やし、最終的にドライフードだけで食べられるようにします。わんちゃんの食欲や便の状態を見ながら切り替えていくようにします。
■2:ドライフード選びで知っておきたいこと
栄養のバランス、手軽さ、種類の豊富さなどから、ドライフードを常食にすることをおすすめします。ラベルをよく見て、そのフードの原材料、保存料、エネルギー量、賞味期限などの情報を確認しましょう。
・ライフステージにあったフードを選ぼう
ドッグフードはわんちゃんの必要なカロリーに応じて、子犬用、成犬用、高齢犬用などがあります。子犬用を選びましょう。
・総合栄養食を選ぼう
日常与えるドッグフードは、必ず“総合栄養食”と書かれているものを選びましょう。総合栄養食は、わんちゃんが必要とする栄養基準を満たし、新鮮な水とともに与えるだけで、健康を維持できるように作られています(※1)。
・複数種類を食べさせよう
ドライフードを数種類試し、わんちゃんの嗜好と便の状態を観察しましょう。一種類だけのフードしか食べない場合、災害時などに困ることもあります。好みのフードを数種類見つけておきましょう。
・手作りフードは?
手作り食を与える場合、栄養のバランスやカロリーをきちんと計算して作られたレシピに基づいて作る必要があります。相当な手間と経済的負担もかかることを理解した上でないとおすすめできません。
■3:フードの量と回数
・量
わんちゃんの週齢、月齢と体重によって与える量が決まります。各フードによって指示されている量を与えましょう。
・回数
子犬の頃は胃袋も小さく消化能力も未発達なので、一度に多くは食べられません。生後4ヶ月くらいまでは1日3~4回、その後は徐々に回数を減らし、6~7ヶ月になったら最終的に1日2回にしましょう。成犬の食事は、1日1回よりも1日2回に分けて与えた方がわんちゃんのストレスが少なく、楽しみが増えます。
■4:食べさせてはいけないものは?
次の食品(※2)は、中毒をおこしたり消化不良を起こしますので、与えないように注意してください。誤食してしまうこともあるので、わんちゃんが届く場所に置かないことも重要です。
・ネギ、玉ネギなどのネギ類
・タコ、イカ、エビなどの魚介類
・ケーキ、チョコレート、せんべいなどのお菓子
・ハム、ベーコン、ちくわなどの加工品
・わさび、からし、コショウなどの香辛料
・鶏や鯛などの硬い骨
・ブドウ(特に干しブドウ) ※3
・キシリトールガムなどキシリトールを含む食品 ※4
子犬の時期の食事は、健全な発育とその後の食生活の習慣を築くためにとても重要です。手はかかるかもしれませんが、食事を与えることは、わんちゃんとコミュニケーションをとる良い機会になるはず!
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【参考・画像】
※2 柴内裕子・柴内晶子・千葉陽子著 『子犬がわが家にやってくる』 高橋書店
※4 公益社団法人日本獣医学会
※ ゆず, Kirisa99, aurora / pixta
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