わんにゃの健康と病気

【獣医師執筆】犬も歯は命!犬の歯の基礎的知識を知って「歯垢と歯石」を予防しよう

佐藤貴紀

獣医師
佐藤貴紀

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【獣医師執筆】犬も歯は命!犬の歯の基礎的知識を知って「歯垢と歯石」を予防しよう

通常、犬の歯は白く歯茎はピンク色をしていますが、歯が茶色く汚れていたり、歯茎が赤く腫れていたりする時は、歯のトラブルが起こっている可能性があります。歯にトラブルが起こっていても見逃してしまうことが多いため、愛犬の口臭が気になる、フードを食べづらそうにしている、よだれの量が増えたなど、愛犬に変化がないかしっかり観察してあげることが大切です。今回は、犬の歯垢と歯石についてや歯みがきのポイントなどを獣医師の佐藤が解説します。

歯の種類と本数

犬の歯の解剖図
犬の歯の構造

愛犬の歯を解剖学的に理解することで、どのような役割を担う歯なのかがわかるため、名称や本数を覚えていきましょう。前側から切歯、犬歯、前臼歯、後臼歯となります。歯は子犬の時期の乳歯と、成犬になった時の永久歯に分かれます。

乳歯は合計で28本あり、切歯(上顎6本、下顎6本)が12本、犬歯(上顎2本、下顎2本)が4本、前臼歯(上顎6本、下顎6本)が12本で構成されており、永久歯に比べ細くて尖っている特徴があります。

永久歯は合計で42本あり、切歯(上顎6本、下顎6本)が12本、犬歯(上顎2本、下顎2本)が4本、前臼歯(上顎8本、下顎8本)が16本、後臼歯(上顎4本、下顎6本)が10本となっております。

乳歯が永久歯に生え変わるタイミングは生後3〜4ヶ月で抜け始め、1歳になる前までに抜け替わるのが通常です。平均的には6ヶ月令で生え変わるといわれています。もし、1歳令を過ぎても残ってしまっている場合は、乳歯遺残となります。

歯の役割として、切歯や犬歯は食物(獲物)を掴み、そして鋭い犬歯は獲物をしとめます。のこぎり状の前臼歯は食べ物をすり潰し、丸のみにできる大きさにします。後臼歯で骨や食物を砕く役割があります。

犬のかかりやすい病気とは?

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出典:https://www.shutterstock.com/

口腔内の疾患として人は虫歯が問題になりますが、犬は歯周病が多く3歳までに80%が発症するといわれています。歯周病とは、歯と歯茎の隙間に歯垢(プラーク)が蓄積し、歯肉に炎症を起こす「歯肉炎」など、歯とその周囲の炎症の総称をいいます。

人と犬の口腔内疾患の違いとしては、犬の場合は口内がアルカリ性で虫歯菌が繁殖しにくいこと、 唾液にアミラーゼを含まず、虫歯菌の餌となる糖が口内に溜まりにくいことが挙げられます。歯の構造上、くぼみに虫歯菌が溜まりにくいことなどから、人と比べて虫歯になりにくいのです。症状としては、歯垢や歯石が付き歯肉が赤い、口臭がひどい、歯肉から出血するなどです。

この歯周病が長期的に起こることで、歯と歯槽骨(しそうこつ)の間にある、歯と顎の骨を結合している靱帯のような組織の歯根膜に、歯周病菌が増殖して起こる「歯槽膿漏」や、歯を支えている最も深い歯根に細菌が増殖する「歯根膿瘍」に至ります。この場合、食欲がなくなる、歯がぐらつく、口を触られるのを嫌がる、歯茎から血や膿が出るなどの症状が出ます。

歯垢・歯石とは?その見分け方

犬の歯の検査
出典:https://www.shutterstock.com/

口腔内を観察すると、子犬時に白かったはずの歯が少し黄色く見えることがあります。この状態はすでに歯石が薄くできてしまっていることになります。歯石ができる前段階に歯垢(プラーク)があります。

歯垢とは、食べ物による汚れと口腔内の細菌が混ざって、歯の表面などに付着したものです。歯の表面にペリクルという糖タンパク質でできた被膜に微生物が増殖し、そこに6~24時間で細菌が付着し歯垢になります。そして、歯垢に唾液中のミネラル成分が絡み、3~5日で歯石が形成されるといわれています。歯が黄色や茶色になっている部分には、歯石が付いていることになります。

歯垢と歯石のそれぞれの見分け方を簡単に説明すると、「歯垢」は白色から黄色の歯の表面にねばねばしている物質が付着し、歯みがきで取り除くことができます。「歯石」は黄色から茶色でぎっしりと硬い石のような物質が付き、歯と歯の間や歯と歯茎の間にできやすく、歯みがきで取り除くのは難しくなります。

歯みがきのポイント

ラブラドールの歯をみがく獣医
出典:https://www.shutterstock.com/

まず、こまめに歯みがきをすることが最大のポイントです。そして、歯石になる前段階の歯垢で、いかに歯みがきができるかが重要といえます。歯垢ができるのは、早くて6時間後くらいですので、1日24時間で考えると、1日3回歯を磨くことが効果的でしょう。

歯みがき方法

ペット用歯ブラシを使用し、ペット用の歯みがき粉を付けて歯肉を痛めないように歯を磨きます。歯と歯の間と内側の部分に汚れが溜まりやすいので、念入りに磨いてあげてください。犬用の歯みがき粉は、人用と違い研磨剤も入っておりませんので、うがいをする必要はありません。

歯みがきを念入りに行った後は、ガムを噛ませることをおすすめします。歯周病がひどい場合や歯がぐらついている場合は、ガムを噛むことを嫌がりますが、ガムを長時間噛ませることで唾液がたくさん出るため、細菌なども浄化される作用があります。最後にお水を飲ませることや歯周病ケアのスプレーもお忘れなく。

主にケアした方が良い歯

大きい歯は、歯周病の悪化に伴い歯根膿瘍や二次的疾患に至ります。特に重点的に磨くべき歯は、犬歯や上顎の大きい歯です。大きい歯となると、歯根部が深いだけに問題になることが多く、上顎の場合は、鼻道や眼球に近いこともありくしゃみや鼻水、目やにや眼球下の腫れなどを伴います。ですので、嫌がって歯みがきをやらせてくれない場合は、最低でも大きい歯は綺麗に歯みがきをしてあげましょう。

歯垢や歯石による歯周病は日々の診療においても必ず来院される疾患の一つです。症状が出てからでは、歯を抜かなければいけない状況なども散見されるため、早い段階でケアを心がけることが望ましいといえます。動物病院では、麻酔下で行うスケーリングで綺麗にできるものの、麻酔という最大のリスクがありますので、なるべく毎日のケアで綺麗に保ちましょう。

『歯みがきわんにゃガム』

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