【獣医師執筆】春に多いアレルギー性皮膚炎の症状や治療方法は？

アレルギーとは、免疫反応に基づく生体に対する全身的または局所的な障害であると厚生労働省では定義されています。要は、ウィルスや細菌などから体を守る仕組みである『免疫』の働きが、環境やライフスタイルの変化によって異常をきたし、ダニやスギ花粉、食物などに対して免疫が過剰に反応して、体に症状が引き起こされることを「アレルギー反応」といいます。

アレルギーの詳細

それではアレルギーの詳細を説明していきましょう

アレルギーにはⅠ〜Ⅳ型のアレルギーまで存在します。一般的に食物アレルギーや花粉症はⅠ型アレルギーに分類され、アレルゲンが体内に入ってから2時間以内に症状が現れるため、即時型アレルギーとも呼ばれています。この即時型アレルギーはIgE抗体という免疫物質が関与しております。このIgE抗体は血液や皮膚、腸などに存在する肥満細胞（マスト細胞）という細胞に結合し、ヒスタミンやロイコトリエンというアレルギーを引き起こす物質を放出します。放出されることで、皮膚に蕁麻疹などのアレルギー症状が起こることになります。

ただ、Ⅳ型アレルギーはIgE抗体を関与せず、リンパ球という細胞が関与していると言われています。

アレルギー性皮膚炎には、家ダニや花粉などの環境中のアレルゲン（抗原）に対する過剰な免疫反応によっておこるアトピー性皮膚炎、牛肉や鶏肉などのタンパク質が主なアレルゲンとなる食物アレルギー、ノミに噛まれることで起こるノミアレルギーなどがあります。

アレルギー皮膚炎の症状

・手や足を舐める

・体をかく

・手や足をかむ

・体をこすりつける

・毛が抜ける

・皮膚に赤みがある

・フケが出る

アレルギー皮膚炎の検査

１．除去食試験：アレルゲンとなりやすい原料を一切含まない食事を２ヶ月くらい行い症状をみます。決められたご飯しか食べれませんのでおやつなどは厳禁です。

２．IgE抗体、リンパ球検査：血液検査よりアレルゲンである原料の特定を行います。ただ、食物に関しては検出されにくいことと、費用が高価です。

３．皮膚検査：ニキビダニやヒゼンダニ、シラミなどの検出。またカビや細菌の除外を行います

４．血球検査：血液検査において好酸球が高く出ることがあり、アレルギーや寄生虫感染で高くでます。

５．甲状腺検査：皮膚のバリアが弱まることで皮膚炎などの症状を引き起こすため、甲状腺機能低下症の有無を検査します。

アレルギー皮膚炎の治療

まずはアレルギー性皮膚炎の原因が何かによって変わってきます。

アトピー性皮膚炎の場合は、原因の特定が難しいため、基本的にはステロイドや痒み止めの薬剤、スキンケアを行います。スキンケアは、シャンプーやコンディショナーなどで皮膚を綺麗にし、保湿剤で皮膚のバリア強化を行います。

 食物アレルギーの場合は、アレルギー症状が出る場合にはアレルゲンとなる特定された食材は摂取しないこと。あとは薬剤を使う場合もあります。また、症状として嘔吐や下痢などの消化器症状が出る場合は、整腸剤などを使用します。

 ノミアレルギーの場合は、ノミを駆除することでアレルゲンがいなくなるため改善傾向に向かいます。

最後に

アレルギー症状は、皮膚だけでなくくしゃみや咳などの呼吸器症状や、嘔吐や下痢などの消化器症状まであるため、しっかりと原因特定を行うためにも、症状がある場合は早期に動物病院へいきましょう。

最近では、腸内細菌の改善によりアトピー性皮膚炎などが改善されているケースもあるため、原因を特定しながらかかりつけ医と相談して治療を進めましょう。