わんにゃの健康と病気

今年は特にこの時期の「マダニ」にはご注意を!!

佐藤貴紀

The vet 南麻布動物病院 獣医師
佐藤貴紀

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今年は特にこの時期の「マダニ」にはご注意を!!

マダニ媒介による人畜共通感染症である重症熱性血小板減少症(SFTS)など、人被害が後を絶たず、深刻な状況になりつつあります。

マダニの生息場所は草むらであり、散歩中にペットに寄生し、家に連れ込む可能性がある。家庭内において被害に遭ってしまっては大問題なため、正しい知識を持ち、予防を行えるように心がけたい。

また、寄生された場合の対処法も重要であり、病気を蔓延させないためにも重要と言えます。

マダニの生態

マダニの生態

マダニには800以上もの種があり、あらゆる環境に適応、生息できます。ペットのみならず、野生動物、人間に対しても健康上の問題を引き起こします。


体長:数ミリ~最大1㎝。(吸血すると大きくなる)
色:黄褐色、茶色、黒褐色

最大限に吸血した状態だと、体重が未吸血の時と比べ100倍以上になることもあります。

■マダニの寄生しやすい部位


特に頭や耳、目の縁やお腹、足の指の間や背中など。被毛の少ない所に寄生することが多いです。

■マダニの口器の構造


マダニの口は、皮膚を突き刺すのに特に適した構造をしています。皮膚を突き刺す口器とよばれる器官は、皮膚と皮下組織を切開する「鋏角」と、その傷に差し込まれるギザギザの歯がついた「口下片」から構成されます。

マダニが動物の皮膚に接触すると、鋏角が動きはじめて皮膚を切開します。鋏角の運動により傷口が開いたままの状態になり、そこに口下片が徐々に差し込まれます。

マダニは接着剤の働きをするセメント様物質を注入し、差し込まれた口下片を傷口に固定するので、これを取り除くのは容易ではありません。マダニはしっかりと宿主に取り付いて数日間は離れません。

マダニによる犬への被害 バベシア症

マダニに注意

マダニは原虫、細菌、リケッチア、ウイルスなど多くの病原体を媒介します。代表的な病気として、≪犬バベシア症≫と、≪重症熱性血小板減少症≫があります。

■ バベシア症


B.gibsoniのベクターとしてフタトゲチマダニ、ヤマトマダニ、クリイロコイタマダニ、ツリガネチマダニが知られていますが、主なベクターのフタトゲチマダニ、ヤマトマダニは全国的な分布でごく普通に犬に付着する種です。

一方B.canisは沖縄にしか見られないのはベクターであるクリイロコイタマダニは海外では広く分布するものの、日本では沖縄での犬の優勢種です。

バベシア症のおもな症状として発熱、貧血、脾腫、黄疸(尿色の変化)などです。元気や食欲の低下は年齢や体力によって異なるので不特定な症状と思われます。発生率の非常に高い兆候はビリルビン尿(92%)、貧血(87%)です。

経験的にはまず尿色の変化が起こります。これは再発する時も体調不良の前にほぼ認められます。

血液検査所見としては血小板減少(98%)貧血(87%)がほぼ全てに見られます。
犬バベシア症は、溶血性貧血、発熱、血色素尿(茶色の尿)、黄疸、元気消失、食欲不振、沈うつ、虚脱など様々な臨床症状が認められる。

バベシアに感染してから2~3週間で症状が現れます。重症の場合は、重度の貧血、黄疸、および多臓器不全が起こり、手当てが遅れて死に至る場合もあります。

治療法
・ジミナゼンと言われる先駆的治療薬
・クリンダマイシンなどの抗生剤の多剤併用
など
・支持療法で輸血なども必要になることが多い



SFTS(重症熱性血小板減少症候群) 

マダニに注意

■ SFTS(重症熱性血小板減少症候群)

複数のマダニ種(フタトゲチマダニ、ヒゲナガチマダニ 、オオトゲチマダニ、キチマダニ、タカサゴキララマダニ)からSFTSウイルスの遺伝子が検出されています。ウイルス保有率は地域や季節によりますが、0~数%です。

2019年6月30日時点で猫150頭、犬9頭で感染報告あり。致命率が高くネコで60-70%, イヌで29%と報告されている。

犬の場合は人と同様の症状を示し、死亡例も出ているが比較的軽くすみ、不顕性感染も多い。

猫では多くの症例が発症から2−3日以内に受診しており、急性疾患である。
症状のピークは約7日で、症状は発熱、活動性低下、食欲低下、廃絶、嘔吐などである。

ちなみに人は初期症状は発熱、筋肉痛、頭痛、消化器症状である。
猫の臨床症状は血小板減少、は血球減少、ビリルビン値の上昇、黄疸である。


それぞれ治療法は?
・支持療法のみ
他に治療法はなし

・駆除方法、予防方法
犬の予防としては薬剤(投薬、外用など)様々なタイプにより、しっかりと予防することをお勧めします。

散歩時にあまり、草むらが多いところなどに行かず、薄手の洋服を着て、体を守る必要があり ます。
飼い主さんはこの時期は十分に、愛犬に気をつけてあげて下さいね。

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