新しく家族の一員として子猫を迎えるというのは心躍るものです。野良猫を保護したり、知り合いやペットショップから迎え入れたり。
ただ、今後の幸せな生活を送るためにも、病気にならないための予防の知識を身につけることはとっても大切です。
そこで今回はワクチンについて、いつ、何を、どのように接種すればいいのかを解説していきます。
■ワクチンはどうして必要?
猫の伝染病には命に関わるものもあります。そのような病気から守ってくれるのがワクチンです。
また、ワクチンは接種された猫を病気から守るだけでなく、周りに病気を蔓延させないためにも大切なものです。
■ワクチンの種類
すべての猫に接種することが推奨されている“コアワクチン”と、生活環境やライフスタイルによって感染のリスクが生じる猫にのみ接種する“ノンコアワクチン”に分類されます。
コアワクチンが対象とするのは、猫汎白血球減少症ウイルス、猫カリシウイルス、猫ヘルペスウイルスⅠ型(猫ウイルス性鼻気管炎ウイルス)です。
ノンコアワクチンが対象とするのは、猫白血病ウイルス、クラミジア、猫免疫不全ウイルスとなります。
■混合ワクチン接種のタイミングは?
ワクチネーションガイドラインでは、コアワクチンに関しては、まず初回6~8週齢で接種し、その後2~4週齢毎に接種を繰り返します。最終接種が16週齢またはそれ以降になるようにします。そして26~52週齢で追加接種します。
それ以降に関しては、コアワクチンの中でも猫ヘルペスウイルスⅠ型、猫カリシウイルスに対する感染リスクが低い猫については、3年に1回のワクチン再接種が推奨され、感染リスクの高い猫については年1回の再接種が推奨されています(※)。
感染リスクの低い猫とは、室内で1頭飼いされており、ペットホテルやトリミングサロンを利用しない猫です。対して感染リスクの高い猫とは、定期的にペットホテルやトリミングサロンを利用したり、多頭飼育で室内と屋外を行き来したりする猫のことをいいます。
また、猫ヘルペスウイルスⅠ型や猫カリシウイルスに対するワクチンの免疫効果は3ヵ月以内にもっとも強固となるため、ペットホテルに預ける直前にワクチン接種を行うのが最良とされています(※)。
ノンコアワクチンに関しては、猫白血病ウイルスの予防は8週齢で初回接種し3~4週間後に2回目の接種を行います。その後は最終接種の1年後に1回接種し、感染のリスクが継続している場合には2~3年以上の間隔をあけて接種します。
クラミジアの予防は9週齢で初回接種し2~4週間後に2回目の接種を行います。その後は感染のリスクがある猫には年1回の接種が推奨されています。猫免疫不全ウイルスの予防は8週齢で初回接種をし、2~3週間隔であと2回接種します。その後最終接種の1年後に接種して、感染のリスクが継続する場合には年1回の接種が推奨されています(※)。
■なぜ初年度は何回もワクチンを接種するの?
子猫は母猫から初乳を介して免疫(移行抗体)をもらいます。これは、子猫を病気から守るために必要なものなのですが、移行抗体があることでワクチンを接種しても免疫が上がらないことがあります。
移行抗体は時間とともに減少していきますが、その持続期間は個体によって様々です。8週齢で弱まる猫もいれば、12週齢でも免疫が持続している猫もいます。そのため、初年度は複数回ワクチンを接種することにより免疫をしっかり上げ、感染のリスクを減らすようにします。
■ワクチン接種時の注意
感染症を予防するためにワクチンは重要な役割を果たしますが、注意しなければならないこともあります。それは、健康な状態で接種すること。
ワクチン接種によって体調を崩したり顔が腫れてしまったり、嘔吐、下痢症状がでたり、時にはショック症状のような重篤な副作用で命を落とすこともあります。また、ワクチン接種部位に腫瘍ができてしまうこともあります。
体調に不安がある場合にはワクチン接種を延期する必要があるため、注意しましょう。
ワクチンは猫を感染症から守るために必要なものです。しかし、使い方によっては害になることもあります。正しい知識を持ち、その子に必要なワクチンをしっかりしたプログラムに従って接種することが大切です。
かかりつけの先生とワクチンの種類や接種方法を相談して、その子に適したプログラムを組み、猫ちゃんとの楽しい生活を送りましょう。
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【参考・画像】
※ bloomcloud, ANURAK PONGPATIMET, Stefano Garau / Shutterstock
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