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【獣医師執筆】鼻がカサカサ…そのままで大丈夫?「犬の鼻が乾燥する原因」を解説

白井春佳

獣医師
白井春佳

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【獣医師執筆】鼻がカサカサ…そのままで大丈夫?「犬の鼻が乾燥する原因」を解説

犬の鼻は、飼い主である私たちから観察しやすい場所にあります。そして、病気になっていないか健康管理をする上でも、とても大切な部位になります。

犬の鼻について詳しくなることで、病気を見つけるだけでなく、犬の世界や行動も理解する手助けになります。

そこで今回は、犬の“鼻”について、にいがたペット行動クリニック・行動診療科認定医の筆者がご紹介します!

 

■犬の鼻は「においを集める装置」

鼻がカサカサ…そのままで大丈夫?「犬の鼻が乾燥する原因」を解説
出典: https://www.shutterstock.com

犬の目は、近くのものをはっきり見ることができません。そのため、においで情報を得ることが重要になります。犬は、私たち人間には想像もできない“においの世界”で生きているのです。

そこで重要になるのが“鼻”です。まずは、”においを集める装置”である鼻の4つの能力についてお伝えします。

(1)においを嗅ぎ分ける能力

犬がにおいを嗅ぎ分ける能力は、人の5千~1億倍あると言われています。

(2)においを感じる能力

鼻の中にある鼻腔内の嗅上皮(臭いを感じる細胞)の合計表面積は、人は約5センチ平方メートルですが、犬は18~150センチ平方メートルもあります。

(3)情報を集める能力

犬は大きな鼻平面があり、濡れています。濡れていることで、においやフェロモンの情報を集めやすくなります。

犬同士のコミュニケーションツールや、他者との関係を築くために重要な働きをしています。

(4)熱の放散

体温が上がると鼻から熱放散をさせて、体温調整の1つとして働きます。

 

■犬の鼻の注意したほうがいい症状

鼻がカサカサ…そのままで大丈夫?「犬の鼻が乾燥する原因」を解説
出典: https://www.shutterstock.com

においを集める装置として、重要な役割を担っている犬の鼻。実は、病気をチェックするときにも活躍します。

続いては、”様子を観察してよい状況”と“獣医さんに相談したほうがよい症状”に分けてご紹介します。

・様子を観察してもよい状況

(1)寝起きとその前後の時間

元気な犬でも就寝前、就寝時、寝起きの時間帯に鼻が乾くことがあります。そんなときは慌てずに対応しましょう。

犬が元気に動き回ってからも、乾燥が続いているかどうかをチェックしてみてください。

(2)部屋が暑すぎたり寒すぎたりしたとき

暑すぎたり寒すぎたりすることで、鼻が乾燥することがあります。空調管理を整えて、その後の様子を観察しましょう。

・獣医さんに相談したほうがよい症状

(1)発熱

感染症や熱中症、体の中の炎症などで発熱することがあります。このような場合に鼻が乾燥してくることがあります。

「いつもよりも熱いかな?」と感じたら、早めに動物病院で相談しましょう。

(2)脱水

下痢や嘔吐、元気がない、食欲がないなどの症状と共に、脱水により鼻が乾燥することがあります。首の皮膚を持ち上げて、すぐに元に戻らなければ脱水している可能性があります。

治療が必要になる症状ですので、ご自宅での症状を記録するなどして(嘔吐の回数、下痢の様子など)、動物病院を受診してください。

(3)皮膚疾患

皮膚の角化症などで、鼻が乾燥することがあります。鼻だけでなく皮膚がガサガサしたり、割れたりフケがでたりなどの症状が同時に認められることがあります。

獣医さんに診察してもらい、治療方法を検討することが重要です。

(4)アレルギー

鼻が湿っているのは、鼻涙管という目と鼻から続く管から分泌物が流れているためです。目や鼻の病気でこの管が閉塞すると、鼻が乾燥することがあります。

アレルギー疾患であれば、適切な治療が必要になります。

(5)様子を観察してもよい症状が数日続いた場合

部屋の温度を設定して、就寝以外の時間帯に観察しても鼻の乾燥が続いた場合は、動物病院に相談した方がよいでしょう。

どのような原因で乾燥しているのかチェックしてもらうことをおすすめします。

 

犬の鼻は、人間の目のような存在なのかもしれません。鼻で感じ、認識して、私たちが想像できない世界を楽しんでいるのでしょう。そう考えると、なんだかワクワクする世界ですね!

ぜひ愛犬の鼻に注目していただき、健康状態もチェックしてあげてくださいね。

 

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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※ Scorpp, Jo Cattan Photography, ranimiro / Shutterstock

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