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【獣医師執筆】食欲の秋でも食べ過ぎはNG!猫の「季節の変わり目で注意すること」

船田治子

獣医師
船田治子

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【獣医師執筆】食欲の秋でも食べ過ぎはNG!猫の「季節の変わり目で注意すること」

暑い夏には、猫たちが涼しい場所で体を伸ばしきって寝ている姿をよく見ますよね。猫は高温多湿が苦手ですが、涼しい季節になり、活動的な様子を見せてくれるようになりました。

そして、これから寒い冬に向かいます。そこで今回は、季節の変わり目に注意することをお伝えします。

 

■毛球症(もうきゅうしょう)に注意!

秋の換毛期には、夏毛から寒さ対策の冬毛に生え換わります。多くの猫は柔らかいアンダーコートが密生し、触り心地の良い被毛になります。

猫は自分で毛づくろいを丁寧にする動物なので、体を舐めながら抜けた毛を飲み込んでしまいます。時々毛球を吐いたり、便の中に毛がたくさん入っていたりすることもあります。楽に体の外に出すことができればよいのですが、胃の中で大きな毛球になってしまうと通過障害をおこし、手術が必要になることもあります。

<対策>

毎日ブラッシングやコーミングをして、抜け毛を取り除きましょう。特に長毛の猫は毛玉ができやすいので、ブラッシングはかかせません。春の換毛期ほどではありませんが、部屋や飼い主さんの洋服が毛だらけになるのも防ぐことができます。

しっかり冬毛に生え換わったら猫を撫でてあげましょう。ふわふわの被毛が癒やしになりますよ。

 

■肥満に注意!

秋になると冬の寒さ対策のため、体に脂肪を蓄えようとして食欲が増します。しかし、お家で十分な食事をとり、暖かい室内で生活する猫は、食べ過ぎにより肥満になることがあります。

肥満は糖尿病、心臓病、脂肪肝、関節障害などを起こすこともあるので軽視できません。

<対策>

猫の年齢や健康状態にあったフードを選びましょう。そして重要なのは、フードの指示されている1日量をきちんと守ることです。食欲旺盛な場合は、カロリーの低いフードを利用しましょう。すでに肥満傾向であれば専用の療法食がありますので、動物病院で処方してもらいましょう。

室内で過ごす猫はどうしても運動不足になるので、無理のない範囲で一緒に遊んであげましょう。

 

■ノミ・ダニの予防はいつまで必要?

出典:https://www.shutterstock.com/

ノミやダニも様々な病気を引き起こすので対策が必要です。近年はダニから人へのウイルス感染により、”重症熱性血小板減少症”を引き起こすことが問題となっています。

ノミは冬でも暖房の効いた室内で繁殖することがあります。猫に予防処置をするだけでなく、部屋の掃除も重要です。掃除機や粘着式クリーナーを使用して、こまめに掃除をしましょう。猫の毛やほこりが溜まりやすく掃除をしにくいところが、ノミの繁殖場になることもあります。

ダニは種類によって冬でも草地で活動します。屋外でも過ごす猫は要注意です。

<対策>

ノミ・ダニの予防期間は猫の健康状態、環境、その年の気温によって異なるので、動物病院に相談しましょう。

 

猫は紙を丸めただけのものや、軽いピンポン玉のようなものでもよく遊びます。数ヶ所穴を開けた段ボール箱でも喜んで遊びます。活動的なこの時期に新しい遊びを見つけて、一緒に楽しんでみてくださいね。

また、涼しくなっても元気食欲が回復しない場合は、病気が隠れているかもしれません。早めに動物病院に連れていきましょう。

 

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】
佐伯英治(1998)『マダニの生物学 動薬研究』57,p.13-21

【画像】

※ Grigorita Ko, Lan.Camera, Grisha Bruev / Shutterstock

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