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【獣医師執筆】環境と仕草に要注意!猫の眼を守るために「日常生活で気をつけること」とは

西原克明

獣医師
西原克明

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【獣医師執筆】環境と仕草に要注意!猫の眼を守るために「日常生活で気をつけること」とは

※2020年6月29日情報更新

猫は肉食の動物で、動いているものを捕食する性質があるため、人間よりも視覚がとても発達しています。そのため、猫が元気で長く暮らすためにも、飼い主さんには猫の視覚もケアしていただく必要があります。

そこで今回は、猫の眼を守るために日常生活の中で注意したい点をお伝えします。

■猫の視覚にはどんな特徴があるの?

環境と仕草に要注意!猫の眼を守るために「日常生活で気をつけること」とは
出典:https://www.shutterstock.com/

猫は肉食動物の仲間で、獲物を捉えるために遠くのものでも動きがわかるよう動体視力が発達しています。視野も人間より広くなっています。さらに、暗い空間でも獲物を見つけられるように、夜目が非常に発達しています。

これは、光を感知する細胞が発達していること、そして眼の中に輝板(タペタム)と呼ばれる構造があり、これがわずかな光を増幅させて、より少ない光でもしっかりと目が見えるようになっています。

■白内障に注意!眼を守る生活環境とは

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このように、猫にとって視力は非常に大切な感覚器です。そのため、できるだけ長く視覚が維持できるようにする必要があります。例えば猫の中でもヒマラヤンやシャムなどの品種は、遺伝的に“白内障”にかかりやすいと言われています。

白内障は眼の中のレンズが白く濁る病気ですが、品種の遺伝的な要素はもちろん、日常生活の中で眼に負担をかけることで、白内障のリスクが高くなってしまうことも考えられます。

例えば、室内で暮らす猫は人間と生活を共にするので、夜も蛍光灯など明るい空間で過ごします。前述の通り、猫は少しの光で十分な動物なので、人間が過ごす明るさは猫にとって明るすぎて、眼に負担がかかっている可能性があります。

さらに、蛍光灯が猫の眼により負担をかけている可能性もあります。蛍光灯は1秒間に50~60回の点滅を繰り返しています。人間は1秒間に30回程度の点滅しか認識できないので、蛍光灯は常に光っているように見えます。しかし、動体視力が発達した猫は蛍光灯の点滅も認識できるので、常にチカチカした状態で過ごすことになり、視覚に大きな負担がかかっていると考えられます。

■外に出る猫は危険がいっぱい!

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また、生活の中で絶対に注意していただきたいのが“外に出る”ことです。日本にはまだまだ外で暮らす地域猫や野良猫が多くいます。そしてそれらの猫の多くは、猫伝染性鼻気管炎ウイルスやクラミジアなど、猫に結膜炎など眼の病気を引き起こす伝染病を持っており、それらが感染してしまうリスクが高いからです。

さらに、猫同士の喧嘩で眼に怪我を負ってしまう可能性もあります。もちろん、眼の病気以外にも猫エイズウイルスなど重大な病気に感染するリスクがあるので、基本的にお家で暮らす猫は、外に出さないようにすることをおすすめします。

■こんな仕草は要注意!猫の眼の異常に早く気づく方法

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涙が多い、目やにが多い、目やにの色が黄色や緑色など膿のような色をしている、顔を手で擦る、顔を床や家具などに擦り付ける、などの症状が見られるときは、眼に異常を抱えている可能性があります。特に、手で顔を擦ったり物に擦りつけたりする仕草は、さらに眼の症状を悪化させる危険があるので、なるべく早い段階で動物病院を受診するようにしましょう。

猫は犬と違って、人間と暮らす歴史はそれほど長くはありません。そのため、まだまだ人間の生活様式に合わせられないところもあります。眼に関しても、猫の性質に合わせた工夫をすることで、より元気に長く過ごせるのではないでしょうか。

また、猫は様々な症状を隠します。眼についても“気づいたときには重症”とならないよう、日常生活の中でのちょっと仕草にも注意してあげましょうね。

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】

※ Alex Gough「Breed Predispositions to Disease in Dogs and Cats」(Blackwell Publishing)

【画像】

※ DerrickHanni, Maksim Shmeljov, Evdoha_spb, Alan.P,elwynn / Shutterstock

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