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【獣医師執筆】冬は猫の受診が増加!? 「冬」に気をつけたい猫の病気とは

西原克明

獣医師
西原克明

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【獣医師執筆】冬は猫の受診が増加!? 「冬」に気をつけたい猫の病気とは

実は冬の動物病院では、猫の受診率が増加します。それは冬に特有の猫の行動に起因するところがあるのですが、日頃からの対策で予防することは可能です。そこで今回は、そんな猫の冬の対策について、獣医師の西原先生にお伺いいたしました。

■寒いと猫も動かなくなります…

冬は猫の受診が増加!? 「冬」に気をつけたい猫の病気とは
出典:https://www.shutterstock.com/

当然個体差や種類によって異なりますが、全般的に猫は寒さが苦手な動物なので、冬になると暖かい場所でじっとして過ごしがちになるのではないでしょうか。もともと猫は、人と比べて睡眠時間が長く活動時間が短いため、冬は寒さの結果としてさらに活動時間が短くなり、結果として運動不足になってしまうことがあります。

運動不足になると、食欲は変わらないのでカロリーオーバーとなり、太りやすくなります。さらには、寒さで動きたがらないので、トイレも我慢しがちになる傾向があると思います。また、寒さとトイレの我慢から、水を飲む量も少なくなりがちではないでしょうか。

お家で暮らす猫のほとんどは、ドライフードを主食にしているので、ただでさえ水分の少ない食事に加えて、食事以外でのお水もあまり飲まないとなると、全体的な水分摂取量が非常に少なくなってしまう傾向にあると思われます。

■冬の運動不足は特に肥満に注意!

冬は猫の受診が増加!? 「冬」に気をつけたい猫の病気とは
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冬場の運動不足は、肥満の大きな要因となります。猫でも一般的には、肥満が関節や心臓、皮膚の病気のリスクになると考えられています。

特に関節に関しては、12歳以上の高齢の猫では、約90%の猫で、関節炎など関節の異常が認められているという報告もあります(※)。そのため、特に高齢の猫では、関節に負担をかけないためにも、冬場の体重管理に十分な注意が必要です。

また私の経験からは「なんとなくおとなしくなったなあ」とか「動きがお年寄りになってきたね」と感じた時点では、すでに関節に問題を抱えている場合が多いので、“見た目元気=健康”と考えるのではなく、若いうちから定期的な健康診断などで、早期発見できるようにしてあげてください。

■尿石症や膀胱炎など「泌尿器」のトラブルにも注意!

冬は猫の受診が増加!? 「冬」に気をつけたい猫の病気とは
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また、肥満と同じように、冬に注意していただきたい病気に“泌尿器系の病気”があります。その中でも“下部尿路疾患”と呼ばれる、膀胱や尿道のトラブルが頻発します。

私の経験では、冬になると猫はトイレを我慢したり、お水を飲む量が減ったりする気がします。その結果、膀胱に尿が溜まったままとなり、膀胱に負担がかかりますし、また細菌が侵入していると増殖しやすくなります。その結果、膀胱炎のリスクが高くなると考えられます。

さらには、水を飲む量が減ると、それだけ尿が濃縮されます。もし猫が膀胱結石などの原因となる尿石を持っている場合、結石や尿路閉塞などのトラブルが起こりやすくなってしまいます。

これらの病気の中には短時間で重症化してしまうものもあります。「何度もトイレを出たり入ったりしている」「トイレでずっとふんばっているけど、ちょっとしか尿が出ない」などの様子が見られたときには、なるべく早く動物病院を受診するようにしてください。

■冬を元気に乗り切るための工夫とは?

冬は猫の受診が増加!? 「冬」に気をつけたい猫の病気とは
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このように、冬は猫の肥満と泌尿器系の病気に注意が必要です。少しでもトラブルを避けるために、私は普段、日ごろの生活の中で、以下の3つのことを工夫するようにおすすめしています。

(1)肥満に配慮したキャットフードを取り入れる。

(3)遊び時間を増やして運動量を確保する。

(3)お水の飲み場所を増やしたり、ウェットフードを取り入れたりするなど、水分摂取量を増やす。

また、すでに関節や泌尿器に問題がある猫は、逆に体に負担になることもありますので、まずは動物病院を受診し、その子にあった日常生活の工夫を取り入れるようにしてください。

特に肥満をケアするキャットフードについては、猫に食べさせる量も重要なので、きちんと専門家に給与量を設計してもらった上で与えるようにしましょう。

猫は冬の季節には、肥満と膀胱炎や尿石症など泌尿器のトラブルが多くなります。トラブルを防ぐためにも、日頃からの食事や運動管理、水をこまめに飲めるような工夫をしてあげるようにしましょう。

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】

高齢の犬や猫で増加する変形性関節症(OA)

【画像】

※ Alena Ozerova, Dalibor Valek, Dora Zett, GrashAlex / Shutterstock

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