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「猫はこたつで丸くなる」の不思議に迫る!体温の基本知識&調節メカニズム

獣医師
吉本翔

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「猫はこたつで丸くなる」の不思議に迫る!体温の基本知識&調節メカニズム

冬の寒さが厳しくなってきましたね。こたつを出している方も多いのではないでしょうか。みなさんにとって、“こたつ”と言えば何を思い浮かべますか? みかん、鍋、お昼寝……いろいろあると思いますが、“猫”と答える方もきっと多いはず。特に猫の飼い主さんは、真っ先に自分の可愛い愛猫の顔が浮かんだと思います。

日本の童話『雪(ゆき)』の歌詞中でも“犬は庭駈(か)け回り、猫は炬燵(こたつ)で丸くなる”とありますよね。自分の愛猫がこの歌詞通り、こたつで丸くなっている姿を見かけることが増えてくることでしょう。

そこで今回は、猫の体温の基本知識、体温調節メカニズム、そして寒さ対策など、盛りだくさんの内容をご紹介します。

■猫の体温の正常範囲について(※1)

「猫はこたつで丸くなる」の不思議に迫る!体温の基本知識&調節メカニズム
出典:https://pixta.jp/

一般的に、猫の体温は肛門に体温計を挿入して直腸温を測ります。健常な成猫200頭を対象に行われた研究によると、健常な成猫の直腸温の範囲は36.7℃から38.9℃であると報告されています。

私たち人間にとっては、38℃台は高熱と判断されることが多いですので、少し驚いた方もいるかもしれません。猫の場合、36℃を下回ると低体温、39℃後半から40℃台になってくると高体温と判断されることが一般的です。

猫が高体温となる原因には、感染症、炎症、がんなどがあります。また、激しい運動をした後やひどく緊張している場合などにも、体温が上昇するといわれています。

一方、猫が低体温となる原因には、循環器(心臓等)の病気、敗血症性ショック、寒い環境にさらされたときなどがあります。高体温や低体温は何らかの異常があることを示唆することが多いので、動物病院では基本的な身体検査の中で体温を測定します。

■猫の体温調節メカニズムについて(※2)

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猫をはじめ、哺乳類は恒温動物に分類されます。恒温動物は、体温の変動する範囲が狭く、体温が一定の範囲に維持されていることが特徴です。全身の細胞や臓器を正常に働かせるためには、体温が一定の範囲に維持されていなければなりません。

逆に、体温が低すぎる場合や高すぎる場合には、全身の細胞や臓器の機能の低下や機能障害が生じる場合があります。

それでは、暑い夏から寒い冬まで様々な気温がある中、どのように体温を一定の範囲に維持しているのでしょうか。実は、哺乳類には体温を調節するために、身体のあちこちに“温度のセンサー”を持つことが分かっています。

このセンサーは、外気温の変化や体温の変動を感知します。体温が下がりそうな状況であれば、身体は熱を産生し、体温が上がりそうな状況であれば、身体から熱を逃がすことで体温を一定に保っています。

■猫は寒い時にどのように対応しているの?(※2)

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哺乳類は外気温が下がり寒さを感じると、身体の中心から遠くにある血管が収縮します。寒い時には、四肢の温度が下がりますが、こうすることで熱が外に逃げにくくなるのです。

猫は身体が柔らかいので、身体をコンパクトに丸めることができます。身体を丸めることで、外気と接触する身体の表面積が小さくでき、熱の放出を防ぎます。

また、当たり前ですが寒さを感じると猫は温かい場所を好むようになります。“猫はこたつで丸くなる”は、体温の低下を防ぐために有効な行動だと言えるでしょう。

一般的に毛がある動物は、寒さを感じると毛が立つ(立毛)ようになります。立毛は、外気と身体の間に断熱をするための壁をつくり、熱の放出を抑えることができます。

また、人間も同様ですが、寒くなると猫もふるえます。これは“ふるえ産熱”と言われ、ふるえることで熱を産生し、身体を温めているのです。

■寒さ対策として気をつけること

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人間と同じ生活環境で過ごしている健常な成猫であれば、自分自身で体温調節がある程度できるため、そこまで心配する必要はありません。

しかし、猫が幼弱である場合、高齢である場合、また病弱である場合には、体温調節がしっかりとできない場合があります。さらに健常な成猫であっても、極度の寒さにさらされると体温が低下してしまう場合があります。

繰り返しになりますが、猫は身体の体温が一定に維持されることで、全身の細胞や臓器がしっかりと働きます。体温が著しく低下すると、細胞や臓器の機能に異常をきたします。

低体温は、免疫力の低下にもつながりますので、感染症にもかかりやすくなります。以上の理由から、愛猫への寒さへの対策も考慮するようにしましょう。

こたつも寒さ対策の一つの手段ではありますが、逆に猫にとって暑すぎてしまう場合もあります。こたつだけに頼らず、暖房などで室温をある程度一定に保ってください。こたつに入るかどうかは、愛猫の判断に任せてあげましょうね。

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】

※1 Reference interval for rectal temperature in healthy confined adults cat.

※2 ジェームズ・G・カニンガム(2000)『獣医生理学 第2版』(高橋迪雄監訳)文永堂出版.

【画像】

※ Masahiko, Keishi, vvvita, ふうび, infinityyy / PIXTA(ピクスタ)

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