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大切なのは体重管理!「肥満によってリスクが上がる」猫の病気について

吉本翔

獣医師
吉本翔

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大切なのは体重管理!「肥満によってリスクが上がる」猫の病気について

みなさんは、スタイルのいい猫とぽっちゃりとした猫、どちらが好きですか? ぽっちゃりとしたおデブな猫が好きな人も少なくないと思います。しかし、おデブな猫は可愛いものの、健康状態としてはあまりよいとは言えないかも……。

今回は獣医師の吉本翔先生に、2017年にアメリカやイギリスの研究グループが報告した論文を参考に、“猫の肥満と病気の関連性”について解説いただきました!

■肥満の定義と猫の肥満の指標について

大切なのは体重管理!「肥満によってリスクが上がる」猫の病気について
出典:https://www.shutterstock.com/

肥満は、体脂肪が過剰に蓄積した状態と定義されています。人では、BMIが肥満の指標として一般的に使用されており、BMIは体重と身長から計算することができます。BMIは、体重(kg)を身長(m)の二乗で割った値とされ、25以上だと肥満、30以上だと重度の肥満と判定されます。

一方、猫では体重と体高(もしくは体長)などを用いて肥満度を測定することは一般的ではありません。猫は、肋骨(および全身の骨格)の触診と、上と横からの腹部や腰部の視診から判断するボディコンディションスコア(BCSBody Condition Score)から肥満度を評価します。

BCS1~55段階のものと1~99段階のものがありますが、値が小さくなるにつれて痩せていると判断し、値が大きくなると太っていると判断します。

■糖尿病と肥満の関連性について

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糖尿病は人だけでなく、猫でもしばしば問題となる病気です。糖尿病は、持続的な高血糖(血液中のグルコース濃度が高値を示している状態)によって代謝異常が生じ、様々な臓器を障害する病気です。糖尿病はⅠ型とⅡ型の2つの型に分かれていますが、人のⅡ型糖尿病は肥満と関連していることが分かっています。

猫の糖尿病の多くはⅡ型糖尿病であるとされています。人と同様に、猫においても肥満と糖尿病の関連性が報告されており、肥満の猫は、普通の体重の猫に比べてⅡ型糖尿病の発症リスクが上がると言われています。さらに肥満は、Ⅱ型糖尿病の発症リスクを上げるだけでなく、糖尿病の病態を悪化させてしまいます。

■がんと肥満の関連性について

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がんは、国内における人の死因の第一位であり、飼育猫においても、がんは死因のトップ3に入っています。人医療では、肥満とがんの関連性についての研究が盛んであり、肥満が食道がんや胃がんを含む、多くのがんのリスクを上げると報告されています。また、犬においても、膀胱がんでは肥満と関連性が示唆されています。

一方、猫においては、肥満とがんの関連性についての研究はほとんどなく、明らかになっておりません。人医学研究と比べ、獣医学研究(特に猫の研究)は、大規模な研究を行うのが難しく、今後も肥満との関連性を明らかにすることは難しいかもしれません。

しかし、人と犬と猫のがんは類似している点が多々あります。人医学の知見をふまえると、猫の肥満もがんの発症リスクを上げる可能性は十分にあると考えられます。

 

■肥満になりやすい猫、飼い主が気を付けるべきことは?

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いくつかの研究で肥満になりやすい猫について報告されています。遺伝的には、マンクスという品種や短毛種が肥満になりやすいことが知られています。また、中齢の去勢猫は肥満になりやすいと言われています。去勢をすると、身体が必要なエネルギー量が減り、かつ食欲が亢進するからだと考えられています。

太った猫は可愛いものの、肥満は健康的な状態にあるとは言えません。猫の飼い主のみなさんは、愛猫の体重管理をしっかりとする必要があります。体重管理といってもそこまで難しく考える必要はありません。基本的には、1日の摂取エネルギー(食事)が消費エネルギー(運動など)を上回れば体重が増加し、下回れば体重が減少します。愛猫が肥満気味だなと感じた場合には、食事を少し減らし、運動量を増やしてあげるとよいでしょう。

ただし、食事量や運動量がほとんど変化していないのに、体重が急激に増えていく、減っていくといった場合には、何らかの病気が隠れている場合があります。その場合は、動物病院に行って異常がないかを診てもらうことを推奨します。

今回は、猫の肥満と病気の関連性についてご紹介しました。糖尿病では肥満が発症リスクの増加や病態の悪化につながることが報告されています。

猫の肥満と病気の関連性については、まだ明らかになっていない点は多いですが、他の病気においても肥満が悪さをする可能性は十分に考えられます。適切な食事管理と運動管理を徹底し、愛猫の健康長寿のためにも頑張っていきましょうね!

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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獣医師特集

【参考】

'Obesity and Associated Comorbidities in People and Companion Animals A One Health

【画像】

※ Dennis van de Water, Sharnikau Uladzimir, Bilanol, Siriwadee maplook jeab, Susan Schmitz / Shutterstock

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