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【獣医師執筆】目が見えなくなる前に気づこう!犬の「白内障」と「緑内障」について

ホリスティック獣医Sara

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【獣医師執筆】目が見えなくなる前に気づこう!犬の「白内障」と「緑内障」について

みなさんは犬のお世話をしていて、ふとした時に目が白くなってきているなと思ったことはありませんか? 犬の年齢が上がるにつれて気をつけたいことはいくつかあります。その中のひとつが“目”に関する内容。

そこで今回は“白内障”と“緑内障”について、獣医師の濱田真由美先生に解説いただきました!

■白内障ってどんな病気?

遊具で遊ぶ犬の写真
出典:https://www.shutterstock.com/

眼のなかには水晶体(すいしょうたい)と呼ばれる物質があり、カメラでいうレンズのような役割をしています。その水晶体は無色透明で楕円のような形をしていて、ほとんど水とタンパク質からできています。

そして、年齢が上がるにつれて中に含まれている水が減ってきて硬くなったり、タンパクの質が落ちることによってだんだん白っぽく濁ってくるようになったりします。愛犬の目が白く濁っていたら少し要注意です。

■それは白内障ではなく「核硬化症」かも?

自宅の床でくつろぐ白いチワワの写真
出典:https://www.shutterstock.com/

犬の場合、目の水晶体が白く濁っていたらすべて白内障かというと、実はそうではありません。

白内障以外で考えられるのは、“核硬化症(かくこうかしょう)”というもの。水晶体の中心部は水晶体核と呼ばれているのですが、その核の部分が硬くなって色が濁ってくる老化現象です。

こちらの場合、病気ではないため治療の必要はありません。動物病院にある特殊な機械を使って眼を確認することで、違いを見分けることができます。

■白内障はどんな犬に多い?

外で楽しそうに走り回っている靴を履いた茶色のトイプードルの写真
出典:https://www.shutterstock.com/

一例ですが、以下の犬種で多いと言われています(※1・2・3)。

・ミニチュア・プードル

・トイ・プードル

・ボストン・テリア

・ビション・フリーゼ

・アメリカン・コッカー・スパニエル

・ミニチュア・シュナウザー

・ヨークシャー・テリア

・シー・ズー

・スムース・フォックス・テリア

・シルキー・テリア

その他、雌のトイ・プードルやミニチュア・プードル、もしくはヨークシャー・テリアでは特に多いという報告もありますので、飼っている方はぜひチェックしてみてくださいね。

9歳以上になると白内障になりやすくなると言われていますので、やはりシニア犬で要注意です。また糖尿病の犬が代謝の問題から白内障になりやすくなるのは、私たち人に類似しています。

■緑内障にも気をつけた方がいい?

注意喚起するパグの画像
出典:https://www.shutterstock.com/

犬の緑内障は白内障よりも少ないのですが、日本では柴犬、シー・ズーに多いと報告されています(※4・5)。緑内障というのは、目の中の圧力(眼圧)が高くなることなどによって、痛みが出たり目がきちんと見えなくなったりする病気です。

通常どちらか片側の目が問題になって眼圧が上がると目が飛び出して大きくなってくるので、両目のサイズがちぐはぐになります。ゆっくりと進行していく白内障と違って、緑内障は突然発症して進行が速く失明してしまうこともありますので、夜に見つけたとしても朝まで待たない方が賢明です。

何よりも緑内障は本当に痛いので、放置しておくとどんどん元気がなくなってしまいます。

■予防のために心がけるべきこと

外で楽しそうに笑っているチワワの写真
出典:https://www.shutterstock.com/

これからの季節では紫外線がどんどん強くなります。特に、コンクリートの上を歩くときは、紫外線が反射して犬の目に当たりますので、散歩に行くときは紫外線が強くなる時間帯を避けて、できるだけ日陰を歩くようにしましょう。

今回は犬の白内障と緑内障について解説しました。もしも目の異常を見つけたら、早めに動物病院に連れて行ってあげてくださいね!

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※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】

※1 Park SA, Yi NY, et al. Clinical manifestations of cataracts in small breed dogs. Vet Ophthalmol 2009; 12(4): 205-210.

※2 Gelatt, KN, Mackay EO. Prevalence of primary breed-related cataracts in the dog in North America. Vet Ophthalmol 2005; 8(2): 101-111.

※3 Donzel E, Arti L, Chahory S. Epidemiology and clinical presentation of canine cataracts in France: a retrospective study of 404 cases. Vet Ophthalmol 2017; 20(2): 131-139.

※4 Kato K, Sasaki N, et al. Incidence of canine glaucoma with goniodysplasia in Japan: a retrospective study. J Vet Med Sci 2006; 68(8): 853-858.

※5 Nobuyuki K, Kissaou TT, et al. Dogs and humans share a common susceptibility Gene SRBD1 for glaucoma risk. PLos One 2013; 8(9): e74372.

【画像】

※ Victoria Rak, Victoria Rak, Chaay_Tee, hfzimages, Monica Click, MR.WICHAI THONGTAPE / Shutterstock

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