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まずは原因を見極めよう!犬の「結膜炎」と「角膜炎」について

西原克明

獣医師
西原克明

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まずは原因を見極めよう!犬の「結膜炎」と「角膜炎」について

愛犬の「ちょっと目が赤いなあ」とか「少し目がしょぼしょぼしている」という症状、気づいたことはありませんか? ちょっとした症状でも放っておくと、重大な病気に陥ることも……!

そこで今回は獣医師の西原克明先生に、目の病気の中でも犬で多く見られる“結膜炎”と“角膜炎”について解説いただきました。

■結膜炎と角膜炎は症状名!その原因を見極めよう

まずは原因を見極めよう!犬の「結膜炎」と「角膜炎」について
出典:https://www.shutterstock.com/

まず結膜というのは、見た目では2つの場所を指します。ひとつはまぶた(眼瞼:がんけん)の内側、いわゆる“赤目”と言われる場所で、眼瞼結膜とも呼ばれます。そしてもうひとつは“白目”と言う場所で、眼球の白い部分を指し、眼球結膜とも呼ばれています。一方、角膜はいわゆる“瞳”と呼ばれる場所の表面の膜のことを指します。

これらの場所に炎症が起こったものが、それぞれ結膜炎、角膜炎なのですが、あくまでこれらは“症状名”であって診断名ではありません。結膜炎や角膜炎は、炎症を抑える治療、いわゆる対症療法で改善することもありますが、中には対症療法によって逆に悪化してしまうもの、病気が進行してしまうものもありますので、しっかりとした検査を行い、正しい診断(=病名)をつけて、その根本的な原因を治療していくことが重要になります。

■具体的な病気について

まずは原因を見極めよう!犬の「結膜炎」と「角膜炎」について
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(1)結膜炎の原因となる病気

・感染症:細菌やウイルス、真菌(カビ)、寄生虫などの感染

・アレルギーや免疫介在性角結膜炎などの免疫異常

・中毒や化学物質への暴露

・角膜炎から広がったもの

・ドライアイ

・異所性睫毛、睫毛重生(逆さまつげ)

・眼瞼外反症(まぶたが裏返る状態)

・外傷:異物やほこり、過度の乾燥など

(2)角膜炎の原因となる病気

・感染:細菌やウイルス、真菌(カビ)、寄生虫などの感染

・アレルギーや免疫介在性角・結膜炎などの免疫異常

・緑内障

・外傷

・ドライアイ

・異所性睫毛、睫毛重生(逆さまつげ)

・薬剤(ステロイド、サルファ剤など)の長期使用

・眼を支配する神経(三叉神経や顔面神経)の病気

・糖尿病や甲状腺機能低下症

これら病気の中には、結膜炎と角膜炎の両方が起きる病気もあります。しかし、必ず両方起きるとは限らず、同じ病気でも片方だけの炎症だけしか起こらないものもあるため、見た目だけでは診断がつかないことがほとんどです。そのため、結膜炎や角膜炎の診断には、しっかりとした眼科検査が必要になります。

また、全身の病気の一つの症状として結膜炎や角膜炎が見られることもありますので、その場合は眼科検査だけでなく、血液検査やレントゲン検査、超音波検査、CTやMRI検査などの全身的な検査も必要になることがあります。

■主な眼科検査

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・一般身体検査(視診や問診、触診など)

・細菌培養検査

・シルマー試験(流涙量の検査)

・眼圧測定

・隅角検査

・眼科神経学的検査

・細隙灯顕微鏡検査(スリット検査)

・網膜電位図

これらの眼科検査は、特殊な機器が必要なものもあり、実施できる施設が限られるものもあります。しかし、病気の種類によっては、正しい診断がつかないと、曖昧な治療がかえって病気を悪化させてしまうケースもあります。そのため、かかりつけの動物病院によっては、眼科専門の動物病院の受診を勧めることもあります。

結膜炎や角膜炎は、見た目にはちょっとした症状に見えるため、実際の動物病院でも、「何かのついでに聞いてみよう」という感覚で来院される方が多くいらっしゃいます。しかし、目の病気は、ちょっとした異変から重大な病気が始まっていることも多々あり、その診断には上記のような精密な検査が必要になりますので、油断せず、しっかりとした診断をつけるようにしてあげてください。

■治療の多くは目薬ですが、飲み薬や手術が必要なことも

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角膜炎や結膜炎の治療は、対症療法の多くは目薬を使用します。目薬には様々な種類があり、消炎剤や抗生剤、角膜の保護作用があるものなど……。中には開封後の使用期限が短いものや、冷蔵庫など冷暗所での保管が必要なものなど、取り扱いに注意が必要なものもあります。

また、実際に点眼するとき、犬が嫌がってなかなか点眼できないことがあります。慣れてくると、目薬を見ただけで逃げてしまうケースもあります。そのため、目薬を点眼するときは、なるべく犬に気づかれないようにするなどの工夫が必要になります。

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病気の種類によっては、飲み薬を使用する場合もあります。目薬は、基本的には目に刺激が少ないように作られていますので、有効成分の量も少なめになることがあります。そのため、よりしっかりとした治療効果が必要なときには飲み薬を併用します。

これらの目薬や飲み薬は、病気の治り具合によって、薬の種類を使い分けることもあります。そのため見た目で判断せず、指示された使い方、定期検査の間隔などをしっかりと守ることが重要です。

中には以前処方された目薬が余り、それを再度使用する方もいますが、見た目が同じような炎症でも、病気の種類によって必要な点眼薬は異なります。さらには、間違った使用をするとかえって症状を悪化させることがあるので、飼い主の方の自己判断での目薬や飲み薬の使用は、絶対にやめましょう。

犬の結膜炎や角膜炎は様々な原因があり、それによって使用する点眼薬など治療薬の種類が異なります。また、原因によっては間違った治療で症状を悪化させてしまうこともあります。

そのため「ちょっと目が赤い」くらいの症状でも、なるべく動物病院を受診し、場合によってはきちんとした眼科検査でしっかりとした診断を受けることが重要です。

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※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】

※余戸拓也監修(2014)『よくみる眼科疾患58』インターズー

【画像】

※ Aggata, Annette Shaff, matabum, Ermolaev Alexander, Jarva Jar, anetapics / Shutterstock

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