どんな犬でも、人と同じように涙が分泌されています。普段は目の表面の汚れを取ったり、乾燥を防いだりと、非常に重要な役割を持っています。しかしその一方で、目の周りがいつも濡れている場合など、涙の分泌異常によって引き起こされる問題もあります。また、犬種によっては目や涙のトラブルが多く、日々のお手入れが必要な場合もあります。
そこで今回は、犬の目の周りのチェック方法やお手入れ方法についてお伝えします。
■家庭でできる!目元の簡単チェックポイント
特にチワワやシーズー、あるいはパグといった犬種では、顔の大きさに比べて目が大きく、その構造上、普段から目の周りのお手入れが必要になります。また、トイプードルなど涙やけが多く見られる犬種では、やはり目の周りのお手入れは必須です。さらには、犬にもドライアイがあり、涙が少ない犬では目やにが付きやすいため、日々のケアそして目を乾燥させないための目薬が必要になります。
ただし、筆者の経験上、お手入れのしすぎによって、目のトラブルが引き起こされるケースもあります。これは、お手入れの時に目の周りを強くこすりすぎたり、あるいは目を傷つけたりすることによります。また、中には汚れを落とすためにアルコールなど、皮膚や目に刺激のある成分を含んだものでケアしてしまうこともあり、注意が必要です。また、犬によっては目のお手入れをほとんど必要としない場合もあります。
そのため、まずは目や目の周りの状態を日々確認し、異常を認める場合にだけ、お手入れをするようにしましょう。
以下に簡単なチェックポイントを記載しておきます。問題が見つかれば、お手入れの前になるべく早く動物病院を受診するようにしてください。
・常に目の周りが濡れている
・いつも目やにが出ている
・目やにの色が通常と異なる(黄色や緑色など)
・目の周りの毛が抜けている
・目の周りの皮膚に異常がある
・結膜(瞼の裏側や眼球の白目の部分)が充血している
・目や目の周りをこすったりかいたりしている
・目をしょぼしょぼさせている
・目の周り、あるいは顔周りを触ろうとすると嫌がる
・眼球に傷がある、白く濁っているなど、眼球自体に異常がある
■白や茶色の「目やに」も要注意!
目の周りに付く目やにで最も多いのが、「白っぽい」あるいは「茶色っぽい」目やにです。目やには、涙の成分の他にも、目に付いた汚れなども含まれます。また、涙の成分の中でも油脂の性質によっては、目やにが茶色くなったりすることもあります。
このような目やにが付く場合、大抵の動物病院では、他に異常がなければ「日々のお手入れで様子見」になることがほとんどではないでしょうか。その際は、朝晩など最低1日2回以上、ふき取るようにしてください。
ただし、日々のお手入れをしていると目やにの変化に気付きにくくなることがあります。特に、黄色い目やにや緑色の目やに(膿性眼脂)は、細菌感染を疑いますので、そのような場合は、なるべく早く動物病院を受診するようにしてください。細菌感染の中には、数時間でどんどん病状を進行させてしまうタイプもあり、「少し様子を見てから動物病院へ行こう」と考えているうちに、取り返しのつかないことになることもあります。
■皮膚病のリスクも!意外と多い「涙やけ」
目の周りのケアで、目やにの次にポイントになるのが「涙やけ」です。涙やけは、ほとんどの犬では完治せず、そのまま日々のお手入れを行うことが多いのですが、毎日の習慣が続かずに、涙やけをそのままにしてしまうケースがあります。
涙やけは、主に涙の中の油脂成分が酸化することで、毛を変色させます。この油脂成分の酸化によって、色が変わるだけでなく、皮膚炎の引き金になることがあります。したがって、涙やけをそのままにすると、毛の変色だけでなく皮膚がただれてしまうこともあるため注意が必要です。
すでに涙やけがひどくなっている場合は、無理にお手入れしようとすると、痛くなったりすることがあります。その際は、動物病院やトリミングサロンでのケアをお願いするようにしてください。
■普段の目元のお手入れ方法は?
目やにを拭き取ったり、涙やけのケアをするときは、一般的な人間用の清浄綿を使うことをお勧めします。清浄綿はコットンと水分だけですので、目や皮膚を刺激することはなく、犬に負担をかけずにお手入れすることができます。
そしてふき取る時も、優しく触れるようにしてください。頑固な目やにや涙やけだと、ついつい強く擦ってしまいがちになりますが、あまり強く擦ると、それによって皮膚炎になってしまうこともあります。あくまで優しくふき取るようにしてください。
また、ウェットティッシュや使い捨てのお手拭きなどは、アルコールなど目や皮膚に刺激になる成分が含まれていたりすることがあります、さらにはノンアルコールタイプでも、防腐剤など添加物が入っているものもありますので、日々のお手入れにはお勧めしません。
一方、目のお手入れに人間用の目薬を使用している方がいらっしゃいますが、中には犬にとって刺激になるものもありますので、ご自身の判断で使用しないでください。ただし、処方薬の中には、人間用のものを犬に処方することもありますので、目薬の使用を考える際には獣医師に相談した上で使うようにしてください。
犬の目の周りのケアは、まず目や目の周りに異常がないかどうかをチェックするようにしましょう。いざお手入れする際には、清浄綿など刺激物を含まない清潔なもので優しくふき取るようにしてください。目に何か異常を見つけたときは、様子を見ないで、なるべく早く動物病院を受診するようにしてくださいね。
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