近年、日本各地で毎年のように大きな自然災害が発生しています。私たち人間のことはもちろんですが、大切なわんちゃん・ねこちゃんたちが災害時に困らないように、環境省のガイドラインに沿って日頃の防災準備について説明します。
■知って欲しい「同行避難」の考え方
「同行避難」という言葉をご存知ですか? 災害時に飼い主さんは自らの安全を確保しながら、わんちゃん・ねこちゃんたちとともに避難するという意味です。被災地に置き去りにされることなどないよう、ペットを守るために環境省が推奨している考え方です。
しかし避難所の多くは人とペットの部屋を分けていますので、わんちゃん・ねこちゃんと同室で避難生活を送れるわけではありません。ペットの飼養者と非飼養者で部屋を分け、飼養者達はペット同伴で避難生活を送ることができた地域もあるようですが、それはごくわずかの地域のみです。
■ペットの避難用品リスト
地域の防災拠点に同行避難することを想定しての持ち出し品です。避難拠点には、フードやペット用品の備蓄はないと考えましょう。
(1)フード、水、薬など(最低5~7日分)
自治体などから支援フードが届くにしても、日にちがかかります。また、日常と違うフードの場合、特にねこちゃんは食べない傾向があります。また、療法食は手に入りにくくなるかもしれません。ウェットフードも用意しておくと、水分の補給にも役立つでしょう。また、投薬中の場合は薬も忘れずに!
(2)情報
・わんちゃん、ねこちゃんの情報リスト
最低限、以下の情報を記載した書面を作成し、防災グッズと一緒に保管しましょう。環境省のガイドライン末尾にも様式が掲載されていますので、参考にしてください。
・名前
・飼い主名、連絡先
・外見情報(種類、性別、体重、毛色、写真)
・鑑札番号(わんちゃんのみ)、マイクロチップの挿入があればその番号
・健康情報(病歴、各種予防歴、かかりつけの動物病院)
・その他
わんちゃんの場合、鑑札と狂犬病予防注射済票の装着(首輪や胴輪)が、法律により義務付けられています。
(3)ペット用品
・首輪、リード
・キャリーバッグ、クレートなど
・トイレ、ペットシーツ、ねこちゃんが使い慣れた猫砂など
・食器や好きなオモチャ、使用しているタオルなど自分の臭いのついたもの
・飼い主さんの臭いのついた、タオルやTシャツなど
・ビニール袋(排泄物の処理などに使用)
・洗濯ネット(ねこちゃんを動物病院に連れて行く時などに使用)
■平常時に備えておくことは?
(1)健康管理
・各種の予防接種
・ノミ・ダニの予防・駆除
(2)災害時に役立つしつけ
・クレートトレーニング
クレートやキャリーバッグ、ケージは、わんちゃん・ねこちゃんが自由に出入りできるように扉を開け放して室内に置いておきましょう。中で食事をさせたり、おやつを与えたりして、わんちゃん・ねこちゃんに安心できる場所だと認識させましょう。
・家族以外の人とも触れ合う
なるべく多くの人と接触の機会があった方が、災害時に多くの見知らぬ人と接触する環境に適応しやすくなるでしょう。
・基本的なしつけをしっかり
特にわんちゃんは、無駄吠えの防止や、トイレトレーニング、オスワリ・マテのような基本的なしつけをしておきましょう。避難生活を送る上でも有効です。
(3)マイクロチップ
行方不明になった時に首輪が外れていても、マイクロチップを装着していれば飼い主さんの情報を読み取ることができます。
ペットの防災情報については、環境省でガイドラインを公表しているほか、各自治体でも情報を公開している場合があります。ぜひ一度、お住まいの地域の情報を確認してください。わんちゃん・ねこちゃんの避難も想定し、あらかじめ情報を集め、飼い主さんの災害時の行動を決めておきましょう。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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【参考】
※ 環境省(2018)「災害、あなたとペットは大丈夫? 人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>」
【画像】
※ Sergiy Romanyuk,Cherednychenko Iho,Masarik,Sundays Photography
/ Shutterstock
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