※2022年12月6日情報更新
「犬って寒くないのかなぁ」多くの飼い主さんは、このような疑問を持ったことがあるのではないでしょうか?「毛で覆われているから寒くないだろう」「人と違って服を着ていないから、きっと寒いのでは?」など、いろいろな意見があるでしょう。
そこで今回は、犬の体温の基本や寒さの感じ方、寒い時の犬の様子や寒さ対策など、盛りだくさんの内容をご紹介します。
■犬の体温とその調節について(※)
一般的に犬の体温は、肛門に体温計を挿入して直腸温を測りますが、犬の直腸温の平均は38度台であるといわれています。人間の平均体温は36度台ですので、初めて犬の体温を知った方にとっては、少し驚きだったのではないでしょうか。犬の場合、40度を超えてくると高熱、逆に37度を下回ると低体温と判断されることが一般的です。
犬をはじめ、哺乳類は恒温動物に分類され、体温の変動する範囲がとても狭いです。恒温動物は、体温が一定の範囲に維持されることで、全身の臓器の機能をしっかりと維持することができます。
それでは、どのように体温をその狭い範囲に維持しているのでしょうか。実は、哺乳類には体温を調節するために身体のあちこちに「温度のセンサー」を持つことが分かっており、このセンサーが体温の調節に重要な役割を持っています。このセンサーは体温の変動を素早く感知し、熱を産生したり、熱を逃がしたりすることで体温を一定に維持しているのです。
■犬種によって寒さに対する強さはちがうの?
犬は、体重が1kg程度の小型犬から40kgを超える大型犬まで、様々な犬種がいます。それでは、犬種によって寒さに対する強さは違うのでしょうか?その答えは「イエス」です。
世界中には様々な犬種が存在します。寒い地域でずっと暮らしてきた犬種や、逆に暑い地域でずっと暮らしてきた犬種もいます。それぞれの犬種は、その地域の環境に適応できるように、少しずつ形質(生物がもつ性質や特徴のこと)を獲得していきます。ですので、一般的に寒い地域が原産地の犬では寒さに強いです。
極寒の地で犬ぞりをしてきたシベリアンハスキーは、寒さに強い犬種として知られています。シベリアンハスキーのような寒さに強い犬種は、「ダブルコート」と呼ばれる被毛を持っています。その名の通り、表面にある太くて頑丈な毛と、深部にある細くて密になった毛の二重構造をとっています。寒い外気によって身体の熱が奪われないように、この被毛が活躍しているのです。
■犬が寒いかどうかはどうやって判断するの?(※)
周囲の温度が下がり寒さを感じると、犬は毛を立てるようになります。毛を立てることによって、断熱することができ、体温が低下することを防ぎます。また、身体の中心から遠い血管を収縮することによって、熱を保存しようとします。
確認しづらいかもしれませんが、前足や後足の末端が冷たいときには、寒さを感じている可能性があります。また人も同様ですが、寒い時には犬もふるえます。これはふるえ産熱といって、ふるえることで熱を産生して、身体を温めているのです。
基本的に、恒温動物は前述のように身体が対応することで体温が下がることを防ぎます。しかし、犬が幼弱あるいは高齢である場合、また病弱である場合、著しく寒い場合には、体温の低下を防ぎきれない場合があります。低体温となると免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなります。そのため、低体温にならないように対応しなければなりません。
寒さへの対策としては、暖房などで室温を上げること、毛布などで包んであげることなどが挙げられます。また、冷たい水やご飯は体温を奪いますので、少し温めて常温から少し温かいくらいにしてあげると良いでしょう。
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【参考】
※ ジェームズ・G・カニンガム著、高橋迪雄監訳(2000)『獣医生理学 第2版』文永堂出版
【画像】
※ Kalamurzing, Soloviova Liudmyla, Sbolotova, Gladskikh Tatiana / Shutterstock
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