【獣医師執筆】犬も「アレルギー」にかかる!? 主な症状と対策を徹底解説｜記事｜わんにゃ365

人と同様に、近ごろわんちゃんのアレルギーも増えてきました。みなさんのわんちゃんは大丈夫ですか？　体が痒そうな仕草をしていたり、体に炎症を起こしていたりすると、アレルギーが原因かもしれません。

そこで今回は、わんちゃんのアレルギーの症状と、おうちでできる対策について獣医師である筆者が説明します。

■アレルギーとは？

体に入った異物（抗原またはアレルゲン）を排除するために、体内では免疫物質（抗体）が作られます。

しかし、コントロールが上手くいかなくなってしまうと、自分を守るはずの免疫反応が、攻撃する必要がない食物、花粉、ダニ、カビなどに対しても過剰反応を起こして、様々な症状を引き起こしてしまうのです。

（1）アレルギー性皮膚炎

一番多くみられる症状に、“食物アレルギー”と“アトピー性皮膚炎”があります。食物アレルギーは、牛肉、鶏肉、豚肉、卵、大豆、小麦などで起きやすく、主に動物性たんぱく質がアレルゲンになります。

3歳未満で発症する、口や目の周囲、背中に皮膚炎を起こして痒がる、ときには下痢嘔吐がみられる、季節に関係なく発症するなどが特徴です。

アトピー性皮膚炎は、環境アレルゲンと呼ばれる花粉、ダニなどを吸入することで、痒みを伴う皮膚炎を発症します。顔、耳、足先、脇の下、腹、内股などに多発し、呼吸器症状が出ることもあります。

また、アトピー性皮膚炎は遺伝的要因があるとも考えられています。発症しやすい犬種は柴犬、シーズー、ゴールデンレトリーバー、ラブラドールレトリーバー、ヨークシャーテリア、ビーグル、ミニチュアシュナウザーなどです。

（2）ノミアレルギー

ノミの唾液がアレルゲンとなります。尾の付け根から腰背部にかけて、痒みの強い皮膚炎を起こします。

（3）接触性皮膚炎

食器の金属生成分やシャンプーの成分、薬品、植物、プラスチック製品など、特定のものとの接触部位にアレルギー反応を起こします。

腫れたり痒みを伴ったりする皮膚炎がみられるのが特徴ですが、発症は多くはありません。

(4)　アナフィラキシー

強いアレルギー反応を“アナフィラキシー”と呼び、全身症状を伴ってショック状態におちいることがあります。

ワクチン接種後や薬物投与後にも、ごく稀にみられることがありますが、その他が原因の場合もあります。このような症状がみられたら緊急に治療を受けてください。

（1）アレルギーの疑いがある場合

わんちゃんにアレルギーの疑いがあるときは、動物病院に連れていきましょう。痒みなどの症状をおさめ、わんちゃんのストレスを減らしてあげることが大切です。

また、検査でアレルゲンがわかればよいのですが、なかなか特定できないこともあります。

（2）食物アレルギーの場合

食物アレルギーは、アレルゲンとなる食材を含んでいないフードやおやつを選びましょう。専用の療法食が動物病院で購入できます。

また、手作りで添加物のない食事を与えることもよいのですが、栄養バランスが整ったレシピにもとづいて毎日作るのは、相当な努力が必要です。

いずれにしても動物病院に相談して、アレルギー対策を立ててもらいましょう。

（3）アトピー性皮膚炎の場合

アトピー性皮膚炎は完全に治すのが困難です。食物アレルギーと同時に発症する場合もあり、他の皮膚病との併発も多くみられます。

長期間内服を続けて痒みをコントロールすることもありますので、主治医の指示を守って管理しましょう。

まず、こまめに掃除をしてハウスダストを減らしましょう。特に、いつもわんちゃんがいるケージやマットなどを清潔に保ちましょう。

次に、シャンプーをしてわんちゃんの皮膚の汚れを落としましょう。シャンプーの種類や回数も主治医に相談して適切なものを選んでください。

痒みが続くのはつらいことです。アレルギーをもつわんちゃんの食事やおやつ、症状などの日常の変化を記録しておくと、アレルゲンの特定にも役立ちますのでぜひ実施してみてください。動物病院にも記録をもっていきましょう。

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※ Bastiaan Schuit, Soloviova Liudmyla, sattahipbeach / Shutterstock