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【獣医師執筆】地震が起きたらどうするの?愛猫を守る「防災対策&対処法」

佐藤貴紀

The vet 南麻布動物病院 獣医師
佐藤貴紀

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【獣医師執筆】地震が起きたらどうするの?愛猫を守る「防災対策&対処法」

地震などの災害時、みなさんのねこちゃんはどのような状況にいるでしょうか? 人間よりも運動神経に優れ、常に敵からの攻撃に備えているだけに、おそらく俊敏に対応することが予想されます。

しかし、最近では室内環境の安全な空間に慣れているだけに、もしかしたら俊敏さが鈍っているかもしれません。

そこで今回は、ねこちゃんをどのように守るか、地震が起きる前と起きた後に分けてご説明します。

 

■地震が発生する前にできること

出典: https://www.shutterstock.com/

ねこちゃんをどのように安全に守るかは、地震が起こる前に考えておかないと、人と同様に命の危険に晒されます。そして、わんちゃんよりも今の場所に居ついているねこちゃんは、避難所などで体調を壊すことも予想されます。

以下は環境省におけるガイドラインをもとに、医学的観点を交えながらまとめたものになります。ぜひ参考にしてくださいね。

(1)人とねこちゃんの防災対策

大事なことは、飼い主さんである自分が安全であることです。そうでなければ、ねこちゃんも避難ができなくなります。

そのために、人の防災対策、そしてねこちゃんの防災対策を心がけましょう。

ねこちゃんの場合は、基本的には高い場所で寝ることが多いため、物が落ちて来る可能性は低いかもしれませんが、そもそも寝ている場所は安全なのか、下に落ちた場合に、怪我をしないのかなど環境を整えておく必要はあります。

また、狭い場所などを好むため、周りの環境は安全なのかを確かめておきましょう。

(2)非常食や避難装備の用意をしておくこと

ねこちゃんの場合は、ドライフードなど賞味期限が長いフードがあるため、事前に用意しておきましょう。

また、猫缶など缶詰のタイプも用意し、環境の変化によって食欲不振になった場合などに備えておきましょう。

忘れてはいけないものは、持病に対する薬です。処方してもらえる期間も病院によってまちまちですが、できる限り多めに用意をしておきましょう。

また、避難時にはケージの中で過ごす可能性があります。同行避難などができた場合でも、人と同様の場所に居れるとは限りません。

大体はペット用の場所でケージの中で生活をするため、ケージでの生活にも慣れておく必要があります。

また、ねこちゃんの場合は人や動物に対して威嚇しやすく、それがストレスとなり病気を招くことがあります。猫砂など決まった物がない場合も尿の病気になることがありデリケートなため、日ごろから様々な環境に慣れさせることも大事です。

そして、グッズとしては生活で使用している首輪と猫砂が必要です。洗濯ネットも大切なので、しっかりと備蓄しておきましょう。

(3)ねこちゃんの健康状態や予防対策を忘れずに

実際にねこちゃんが集合する場所では、外部寄生中やウィルスなどにより感染症が発生する可能性があります。

特にねこちゃんの場合は感染力が高い病原体が多いため、集団感染を起こりやすいと言えます。ですので、ワクチン、フィラリア、ノミダニなどの予防は完璧にしておきましょう。

また、定期的に健康診断を行い、健康管理を整えておきましょう。ねこちゃんの場合は症状を訴えにくいため、病気が隠れている可能性があります。

(4)ペットが迷子にならないように

マイクロチップ、迷子札など個体認識ができるシステムは、なるべく取り入れましょう。もちろん首輪への名前や、昔ながらの鈴なども良いかもしれません。

(5)避難場所やルートの確認

避難場所によっては、同行避難ができない可能性もあります。自治体によっては様々な違いもあるため、現状を把握しておくことが大事です。

また、災害時のルートをどのようにたどるのかも重要なカギだと思います。

 

■発生直後に行うこと

出典:https://www.shutterstock.com/

地震での精神的なショックから様々な症状や病気を誘発する恐れがあるため注意が必要です。そのため、今できることの最善策を考えておくことが大切です。

(1)ねこちゃんは安全か

もし、一緒にいるのであればケガなどをしていないか安全を確認しましょう。留守番などをしている場合は、遠隔のカメラなどがあれば生存しているかの確認ができますが、実際にはすぐに帰ることしかできないため、できれば放し飼いというよりは安全な場所での管理が重要と言えるでしょう。

外猫の場合は、帰って来ることを待つしかありませんが、いつもいる場所を事前に把握できていると見つけやすいかもしれません。

地震発生時に起こりやすいねこちゃんの症状として、パニックになっている可能性もあるため、食欲不振、トイレの頻度が増える、狭い場所から出てこない、威嚇している、震えるなどが考えられます。

地震発生後数日しても、吐き気や下痢などを起こし、持病などの悪化、病気を誘発するケースもあるため、状況的に動物病院に行けるのであれば受診しましょう。

(2)同行避難

しっかりと首輪を付け、ストレスなどで逃げる可能性もあるため、洗濯ネットやケージに入れてしっかりと管理しましょう。

この場合の持参物としては環境省のHP(※1)を参照すると良いでしょう。

 

一番大事なことは、地震などが起きる想定で家族と話し合い、事前に避難するための一連の流れを考えておくことだと思います。そして、避難グッズをひとまとめにして、準備しておきましょう。

また、近隣ならびに飼い主さんの仲間とのコミュニケーションをとり、災害時に助け会えるシステムを構築することが必要だと言えます。

ねこちゃんは飼い主さんが居ないとどうすることもできないため、しっかりと防災対策を行うことが、とても重要な飼い主さんの責任と言えるでしょう。

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【参考・画像】

※1 災害時におけるペットの救護対策ガイドライン - 環境省

※ andrewpotter4, chrishumphreys, Alexmia / Shutterstock

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