わんちゃんを飼おうと思った場合、どこから迎えますか?
ペットショップやブリーダーからという人が多いと思いますが、最近では“保護犬”の里親になる人も徐々に増えてきています。
そこで今回は、保護犬の里親になるにはどうすればいいのか、『東京都福祉保健局』にお聞きしました。
■そもそも「保護犬」とは?
東京都では迷子などで東京都動物愛護相談センター等に保護されて、管理期間内(約7日間)に飼い主さんに返還できなかったわんちゃん、または何らかの理由で飼い主さんから引き取られたわんちゃんを“保護犬”と呼んでいます。保護犬たちはその後、可愛がって育ててくれる“里親”の元に行くことになります。
上記の“何らかの理由”とは、飼い主さんが病気で飼育できなくなった、飼い主さんが亡くなった、ペット飼育NGの物件に引っ越すことになった、などのことをいいます。
わんちゃんを飼うときには、「もし飼えなくなったらどうするのか」を考えておくことが大事です。親戚や友人で愛犬のことを理解して可愛がってくれる人に頼める場合は、万が一のときに里親になってもらえるように話をしておきましょう。
■多くが保護犬団体による譲渡
平成29年度に東京都動物愛護相談センター等に保護されたわんちゃんの頭数426頭、譲渡数217頭(※1)です。
東京都は、保護犬や猫の里親になるための譲渡会などの情報を『ワンニャンとうきょう』(※2)で公開しているので、参考にしてください。
里親の窓口は、動物愛護相談センターの本所(世田谷区)、多摩支所(日野市)と、センターに登録している動物愛護団体です(※3)。東京都に登録されている動物愛護団体等には、東京都動物愛護相談センターから譲渡された保護犬と、飼い主さんから団体に直接引き取られた保護犬がいて、どちらも里親を探しています。
また、東京都に登録されている動物愛護団体等では、ケガや病気をしているわんちゃんは治療を行い、しつけができていないわんちゃんはトレーニングをした上で、里親に譲渡しています。
■里親になるには譲渡条件を満たしていることが大事
里親になるには、譲渡を行っているセンターや動物愛護団体等で定めている“譲渡条件”を満たしている必要があります。譲渡条件の内容は各自治体や動物愛護団体等によって違いますが、動物愛護団体等の方が厳しいことがあります。
それでは、東京都動物愛護相談センターにおける譲渡の流れを見てみましょう。
東京都の個人譲渡の条件
(1)原則として都内在住の20歳以上60歳以下の人
(2)犬の飼育が許可されている住居に在住
(3)家族に動物アレルギーの人がいない
(4)飼育を家族全員が賛同している
(5)現在、犬猫を飼っていない
(6)経済的、時間的余裕があり、適正に終生飼養できる
(7)繁殖制限措置(去勢、避妊手術)を必ず行う
譲渡条件を満たしていれば、東京都の保護犬・猫に関するホームページ『ワンニャンとうきょう』で、譲渡候補のわんちゃんをチェックしましょう。飼いたいわんちゃんがいたら、飼う前の心構えを知る譲渡事前説明会(要予約)に参加します。
その後、譲渡会(要予約)に参加し、わんちゃんとマッチングを行います。譲渡が決まった場合は、最期まで飼っていいただくための譲渡講習会も受講します。
保護犬が里親の元に譲渡されるまでの過程は、自治体や団体によって違います。譲渡の要件については、各動物愛護団体のホームページを見るか問い合わせて確認しましょう。
東京都動物愛護相談センターの保護犬の種類は純血種やミックスまでさまざまですが、圧倒的に成犬が多く、仔犬はほとんどいません。
成犬は飼育された経験がある分、世話の負担が軽くなるという特長があります。また、保護期間の様子などから性格がわかるので、その分、里親さんの要望に合うわんちゃんを見つけやすいです。
■里親さんの声
保護犬だったバギーくんと嵐くん。それぞれの里親さんに、わんちゃんとの出会いや現在の暮らしを聞きました。これから里親になろうと考えているみなさん、ぜひ参考にしてくださいね!
(1)保護犬を経て「セラピードッグ」として活躍中!
里親・ヨコさん&バギーくん(推定7歳・オス)
「ペットOKマンションに引っ越したのをきっかけに犬を飼おうと考え、ペットショップを回っていたとき、知り合いから里親という選択肢があることを聞き、“捨てられた犬の助けになりたい”と考えて譲渡会に参加しました。
そこで出会ったのが、飼育放棄で保護されていたバギーでした。劣悪な環境にいたせいか気管虚脱を患っていましたが、治療と生活環境の整備で完治し、現在は元気に毎日を過ごしています。
バギーは現在、アニマルセラピー活動に参加しています。捨てられた経験があるからこそ、どんな人に対しても思いやりを持って、優しく接することができるのかもしれません。これからも、バギーと一緒に、いろいろな風景を見ていきたいです」
(2)体重5キロ増!栄養管理で健康を取り戻した
里親・るちるさん&嵐くん(推定6歳・オス)
「先住犬を亡くして1年半が経過したころ、里親募集のホームページで嵐と出会い、里親になりました。引き取ったときは栄養失調気味で胃腸も弱く、フィラリア症も患っていました。栄養管理と投薬治療の結果、フィラリア症は快方に向かい、引き取ってから体重が5キロ増えました。
保護犬を引き取る際は、心と身体の状態を把握することも大事です。トラウマがあればしつけが難しい可能性がありますし、病気なら治療費が掛かります。すべて納得した上で保護犬を引き取らないと、飼いきれなくなって、新たな里親 を探すことにもなりかねません。
嵐を引き取った時、“もう二度と嵐に悲しい思いをさせない”と家族で話し合いました。嵐は家族に笑顔と癒しをくれる大切な存在です。出会えて良かったと心から思っています」
これからわんちゃんを飼おうとしている人は、“保護犬”を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか? 愛情をもって育ててあげれば、きっとわんちゃんとの絆も深まることでしょう。
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【取材協力】
※ 東京都福祉保健局
【注釈・参考・画像】
※1 譲渡された頭数には、平成28年度以前に動物愛護相談センター等に保護された犬を含む。
※3 東京都に登録された譲渡対象団体一覧 | 東京都動物愛護相談センター ワンニャンとうきょう
※ Inna Astakhova / Shutterstock
※ 東京都福祉保健局
※ わんにゃ365
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