わんちゃんが好きな方なら、一度は“大型犬”との暮らしを夢見たことがあるのではないでしょうか。しかし、大型犬と一緒に生活するということは、わんちゃんの大きさゆえに、飼い主さんには負担がかかることもあります。
また、大型犬も子犬のときは小さいですが、成犬になると想像以上に大きくなり、様々な問題を抱えるケースが見受けられます。飼育放棄という悲しい結果をまねかないためにも、今回は大型犬と生活する上での注意点について説明します。
■そもそも大型犬って?
そもそも大型犬とは、成犬になると体重が30kg前後から50kg以上になるわんちゃんのことです。大型犬の多くは狩猟犬、牧畜犬、使役犬として改良された犬種です。野外で鳥や獣を追って走り回ったり、ソリを引いて人間の仕事を手伝ったりと、その歴史から運動要求量が高いわんちゃんです。
ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、スタンダード・プードル 、アイリッシュ・セッター、アフガン・ハウンド、ボルゾイ、コリー、ドーベルマン、グレート・ピレニーズ、バーニーズ・マウンテン・ドッグなど、多くの犬種が知られていますね。
■生活上の注意点
(1)住居
大型犬が自由に動き回れるスペースがあり、1日に2回以上十分な運動に連れて行くことができれば、特別に広い家でなくても大丈夫です。
しかし集合住宅の場合は、大型犬の鳴き声だけでなく足音で階下の住人から苦情が出たケースもあるので、音についても考慮しなければなりません。
(2)経済
大型犬は体が大きい分、小・中型犬よりも費用がかかります。フード・おやつ代、健康管理・医療費、美容費、ペットホテル代などの経済的負担が必要です。
(3)健康
大型犬に発症の多い病気として、胃捻転や遺伝性疾患である股関節形成不全などが挙げられます。胃捻転は胃内に溜まったガス・液体・食物が通過障害を起こし、胃が捻れてしまう病気です。
急に腹部が膨れ、空嘔吐、努力性呼吸からショック状態となることがあります。数時間で死亡してしまうこともあるので、症状が見られたら早急に受診してください。
食後に運動をさせないこと、運動した直後に食事を与えないことで予防ができます。
(4)運動
1回30分~1時間くらいの散歩を、1日に2回以上行いましょう。ボール遊びやフリスビーなどを取り入れて一緒に楽しむのもおすすめです。運動量が十分であれば、室内で落ち着いて穏やかな日常生活を送る大型犬も多く見られます。
(5)しつけ
人間と共に生活するために、すべてのわんちゃんにしつけは必要です。小・中型犬では些細なトラブルでも、大型犬は力が強いので問題が大きくなることがあります。
(6)介護
大型犬の平均寿命は小・中型犬よりも短く、10~12年ほどです。老犬になって介護が必要になることもあります。
体が大きいので抱きかかえたりするのは、飼い主さんに大きな負担がかかります。大型犬を飼い始めるときは、10年先の飼い主さんの年齢と体力も考慮しましょう。
■大型犬には魅力いっぱい!
大型犬は、何と言っても存在感の大きさが特徴です。飼い主さんとの信頼関係を築くことができれば、よい生活のパートナーとなるでしょう。ドッグスポーツやアウトドアを一緒に楽しむこともできます。
また、寄り添ったときの体の温もりに、飼い主さんもわんちゃんもお互いに癒やされることでしょう。
大型犬を飼いたいという強い気持ちがあり、環境条件が許すのであれば、家族全員で話し合い、大型犬との暮らしを実現してみるのもよいでしょう。そして、その魅力を十分に味わってくださいね。
筆者も子どものころに、テレビドラマ『名犬ラッシー』を見て、賢いコリーに憧れました。ぜひみなさんも、大型犬との素敵な生活を送ってくださいね。
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【参考】
※ 長谷川篤彦(1997)『犬の診療最前線』インターズー.
※ 水越美奈(2003)『わが家の子犬選びベストカタログ―必ず出会える!』高橋書店.
※ 環境省_パンフレット「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~」 [動物の愛護と適切な管理]
【画像】
※ Happy monkey, Bankrx, Aneta Jungerova, LightField Studios / Shutterstock
※ 環境省
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