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猫の「去勢(避妊)」で性格が変わるってほんと?獣医師が詳しく解説

牧口香絵

獣医師
牧口香絵

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猫の「去勢(避妊)」で性格が変わるってほんと?獣医師が詳しく解説

ねこちゃんが生後6カ月齢を過ぎた頃から、避妊・去勢手術を受けさせることが一般のご家庭の中でも大切なことであることを理解してくださる方が増えてきました。

以前避妊、去勢をしていないスコティッシュフォールド2頭(メスとオス)のねこちゃんと暮しているご家庭で、カウンセリングをさせていただいたことがありますが、発情期になると2頭とも興奮、苛立ち、過剰な鳴き、マーキングが起こり、家の中がたいへんなことになっていました。

「自然なままがいいのでは?」と思ってしまうかもしれませんが、人と共存して暮しているねこちゃんたちの生活は、もはや自然ではなくなっていることを理解してあげることが大切です。

■なぜ手術をするの?

猫の「去勢(避妊)」で性格が変わるってほんと?獣医師が詳しく解説
出典:https://www.shutterstock.com/

わんちゃんは避妊、去勢をさせなくても人と一緒に暮らしていくことが可能です。ねこちゃんはどうでしょうか? ねこちゃんに去勢(避妊)をさせるメリットは何でしょうか?

(1)オスは行動範囲が広い

オスのねこちゃんは成長して性成熟を迎えると、行動範囲がぐっと広くなります。屋外で生活をすることにより、交通事故にあい怪我をする可能性もあります。大切な命を守るためにも去勢をすることで、刺激を求めて屋外に放浪することを防げます。

(2)ケンカを防ごう

特に去勢をしていないオスのねこちゃん同士は、縄張りやメスの確保でケンカをすることがあります。去勢をすることで喧嘩によるウイルス、細菌感染になり病気になることを防ぐことができます。

(3)特有の行動にも注意

去勢(避妊)をすることで、ねこちゃん特有の行動が軽減されます。マーキング、マウンティング、発情期に見られる過剰な鳴きなどが例として挙げられます。

(4)生殖器系の病気にも有効

交尾の刺激で排卵するメスのねこちゃんが発情を繰り返すことで、生殖器系の病気になることがあります。避妊をすることで病気を防ぐことができます。

■去勢(避妊)で性格が変わってしまう?

猫の「去勢(避妊)」で性格が変わるってほんと?獣医師が詳しく解説
出典:https://www.shutterstock.com/

上記の(3)で手術をすることで行動が変わると書きましたが、「手術で性格もが変わってしまったら……」と、不安になる方もいらっしゃるのではないかと思います。

それでは、性格は手術を受けることでどのように変化するでしょうか?

(1)変化は数日だけ

術後数日は痛みがあり元気がないように見える、または神経質になっているねこちゃんも見られますが、その後は目立った性格の変化がないことが多いです。

(2)マーキングがなくなる

オスのねこちゃんの場合は、発情期に見られるマーキング(壁に垂直におしっこをかける行動)がなくなり、性格が穏やかになります。ただし、なんらかのストレスがありそれが原因でマーキングをしている場合は、去勢をしてもマーキングの頻度は変わらないので注意が必要です。

(3)縄張り意識の軽減

縄張り意識も軽減されるため、外に野良猫が来たときにも苛立つことが減ります。

(4)過剰な鳴き声も減る

メスのねこちゃんは、発情期に見られる過剰な鳴きがなくなり、日々穏やかに暮らすことができるようになります。避妊のメリットは大きいと思います。

ねこちゃんの場合は去勢(避妊)をしないと、なかなか室内で穏やかに人と暮すことができないと感じます。家の周りで発情をしているメスのねこちゃんがいれば、その存在をニオイや鳴き声で気づき、反応します。

穏やかに生活をしてもらうためにも、ぜひ適切な月齢で手術をしてあげてください。また手術をすることで、万が一脱走してしまった場合も遠くに逃げたりしない、他の去勢していないオスのねこちゃんからケンカを売られないメリットもありますよ。

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※ Konstantin Aksenov, Tobyanna, PhotoSunny / Shutterstock

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