※2020年11月22日情報更新
群れで行動する犬とは違い、猫は基本的に自分だけの縄張りを作って単独で狩りをする動物です。現在は、飼い主さんから十分な食事を与えられるようになり、狩りの必要がなくなりました。その結果、他の猫とも室内で一緒に生活できるようになりました。
しかし、人に飼われることによって起こるストレスもあります。そこで今回は、ストレスによって起こる症状と原因別の対策について説明します。
■ストレスによって起こる症状
(1)猫は不安を感じると、自分で毛づくろいをして落ち着こうとする習性があります。ストレスが続くと同じ場所を過剰に舐めて、毛が抜けてしまいます。脇腹や腹部全体がはげてしまうこともあります。更に舐めたり噛んだりすると皮膚炎を起こします。
(2)嘔吐、下痢、便秘などの消化器症状を起こすこともあります。
(3)トイレ以外の場所で排泄をすることがあります。特発性膀胱炎の原因としてストレスが関与することもわかってきました。
いずれの場合も原因がストレス以外の病気かもしれません。早めに動物病院へ連れて行きましょう。
■ストレスの原因と対策
(1)縄張りを荒らされるのはイヤ!
家に新しく犬や猫がやってきたときや、飼い主さんに赤ちゃんが生まれたときなど。
<対策>
一番重要なことは、猫が安心できる隠れ場所を作ることです。高さがあれば、犬や小さな子どもから逃げることができます。身を隠して、ゆっくり寝ることができる場所を作ってあげましょう。
2頭以上の猫が同居している場合は、トイレの数は“頭数+1”が望ましい数です。食事のときは、お互いの姿が見えない位置で、離れて食べさせましょう。
(2)環境が変わるのはイヤ!
引越しをしたり飼い主さんが変わったりしたときなど。
<対策>
新しい環境に連れて行く場合は、自分のにおいのついたトイレ、食器、マット、おもちゃなどの他、飼い主さんのにおいのついたシャツなども持って行きましょう。これは、猫が安心できるようにするためです。
(3)閉じ込められるのはイヤ!
ケージに入れられて動物病院などに運ばれるときなど。
<対策>
キャリーバッグは普段から扉を開けて出しておきましょう。中でおやつを食べさせたり、おもちゃを投げ込んで遊ばせたりすると、猫が安心できる場所になります。動物病院に連れて行くときのストレスも減らすことができます。災害避難時にも利用できますよ。
(4)ひどく怒られるのはイヤ!
飼い主さんを困らせる行動をして、叩かれたり怒鳴られたりするときなど。
<対策>
猫のしつけのために強く怒るのは控えましょう。例えば、家具で爪とぎをしようとしたら、「だめ!」と言って本来の爪とぎに連れて行き、前足を持って爪とぎを誘いましょう。時間はかかりますが繰り返し教えれば覚えてくれます。爪とぎが傷んできたら新しいものと交換してくださいね。
(5)生活リズムが変わるのはイヤ!
飼い主さんの都合でいつもの生活リズムが変わってしまうときや、飼い主さんが気分次第で態度を変えるときなど。
<対策>
猫は一定の生活リズムを好みます。飼い主さんの都合で急に留守番が増えたときなど、神経質な猫はストレス症状を起こすこともあります。帰宅したらできるだけ遊ぶ時間を作りましょう。
動物が人間と共に暮らすのは、多かれ少なかれストレスが生じます。特に猫は性格にもよりますが、ストレスを感じやすい動物です。
猫の習性を理解して、少しでもストレスを減らしてあげましょう。そして、魅力的な猫との生活を、少しでも長く楽しんでくださいね。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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【参考】
※ ヒトと動物の関係学会編(1996)『犬と猫の行動学 : 問題行動の理論と実際』(武部正美・工亜紀訳)学窓社
【画像】
※ Silk-stocking, Okssi, Alewtincka / Shutterstock
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みんなのコメント
はな
ずっと元気でいて欲しいので対策しようと思います!
5年前
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