多くのわんちゃんは毛で覆われているので、一見すると、外界からの刺激に強いような印象を受けます。しかし、わんちゃんの皮膚の角質層は人間と比べて3分の1ほどで、実は刺激に弱いんです。今回は、そんなわんちゃんの皮膚のトラブルについてお話します。
■皮膚トラブルの症状
皮膚のトラブルの症状には、フケ、赤み、脱毛、痒み、臭いといったものがあります。特にわんちゃんはかゆみを我慢できないので、気になる箇所を舐め続けたり、引っ掻いたりすることで、症状が日を追うごとに悪化してしまうケースが多くあります。
そのため、皮膚のトラブルについては、早め早めの治療が大切となります。まずは、代表的な皮膚のトラブルを3つご紹介します。
■アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、ダニや花粉、ハウスダストなどが原因といわれていますが、単純にアレルゲンを除去すれば完治するといったものではありません。
遺伝や犬種などによって、その度合いは大きく異なりますので、他のわんちゃんが治った方法をそのまま試しても、効果が出ないことも十分あり得ます。そのため、“治す”という目線だけではなく、それと同時に“緩和する”という目線を持って、長期的に向き合っていく種類の病気なのではないかと思います。
また、アトピー性皮膚炎がなかなか治らないことに対して、飼い主さんがストレスを溜めてしまわないようにすることも大切です。一人で抱え込まずに信頼できる動物病院の獣医師やスタッフの方に相談をしながら、愛犬をケアしてあげてください。
■マラセチア性皮膚炎
「マラセチア」という真菌(カビの仲間)が原因となって起こる皮膚病です。マラセチアは皮膚に生息している常在菌ですが、何らかの原因で数が増えすぎると、皮膚炎を引き起こしてしまいます。
まずは内服薬や薬用シャンプーなどで治療しますが、場合によっては、甲状腺機能が低下していたり、アレルギー症状を引き起こしている可能性もあります。そのため、頻度が多いようであれば、全身の検査をした方がいい場合もありますので、定期的な健康診断を受けた方が良いでしょう。
■外耳炎
外耳炎は、耳介(じかい)から鼓膜までの領域の皮膚に起こる炎症です。わんちゃんは人間よりも耳の通気性が悪いため、外耳炎になりやすいです。
ミミヒゼンダニ(疥癬)や細菌が原因となることが多いですが、場合によっては異物が入り込んだことにより外耳炎が起こることもあります。特にわんちゃんの耳は耳毛に覆われていたり、垂れ耳だということもあって、発見が遅れることが多くあります。
耳を清潔に保つためにも、定期的に耳掃除をすることが一番の予防となります。ただ、耳掃除を強くやりすぎて傷を付けてしまったりすることもあるため注意が必要です。一度は、正しい耳掃除のやり方を動物病院の獣医師などの専門家から教えてもらうといいかと思います。
■犬のシャンプーについて
定期的なシャンプーをして皮膚を清潔に保つことが大切ですが、皮膚の保護をしている皮脂膜まで奪ってしまわないように月1〜2回のシャンプーに留めておくといいでしょう。
なお、必ず犬専用のシャンプーを使うようにしてください。なぜなら、人間用のシャンプーは人間の弱酸性の肌に合わせて作られているため、中性〜弱アルカリ性の肌を持つ犬からすると、刺激が強すぎて肌が荒れてしまうからです。
そのため、人間用のシャンプーを水で薄めたとしても、その成分自体が変わるわけではないので必ずわんちゃん専用のシャンプーを使用してください。
また、肌の弱いわんちゃんにとっては、乾燥も大敵です。湿度が低い冬季に限らず、夏場についてもクーラーで乾燥しがちになりますので注意が必要です。
状況に応じて、わんちゃん専用の保湿液を塗ってあげたり、加湿器を付けてあげるといいかもしれません。
■皮膚トラブルと食べ物について
フードを変えてあげることで症状が改善することもあり、皮膚の症状によってわんちゃんに適したフードがあるので、皮膚の調子がなかなか改善されない場合は、異なる材料構成のフードを与えてみてもいいかもしれません。
特に、小麦に含まれるグルテンにアレルギー反応を起こしてしまうわんちゃんもいるため、グルテンフリーのフードを与えてみるのもおすすめです。
わんちゃんは毛で覆われているので、肌の状態を確かめるためにも、日々のスキンシップが大切です。それに愛犬も体を触られて嬉しいと思いますし、飼い主さまにとってもストレスが癒やされるのではないでしょうか。まさに一石三鳥です。愛犬との仲を一層深めながら、ぜひ肌のトラブルに留意してみてください。
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