犬にとっても過ごしやすい季節を迎えました。秋になり涼しくなると、消耗した体力を回復して活動的になります。また食欲が増し、被毛も冬毛に換わり、体が寒い冬を迎えるための準備を始めます。
しかし油断大敵! 長引く夏バテや食べすぎ、換毛期のブラッシングなど、今の時期だからこそ注意したいポイントがあります。そこで今回は、“季節の変わり目に注意すること”をお伝えします。
■夏バテかもと思ったら…
元気がないのは“夏バテのせい”と決めつけず、隠れた病気を見逃さないように注意しましょう。食欲もあり、喜んで散歩に出かけたり、何時ものように飼い主さんと遊んだりするようなら、心配ないでしょう。
<対策>
食欲がない、動きたがらない、疲れやすいなどの状態が続くようであれば、動物病院に連れていきましょう。
■食欲の秋!食べ過ぎは注意
冬に向かって食欲が増し、防寒のために体に脂肪をためようとするのは、犬にとって自然なことです。しかし、食べ過ぎには注意! 特に室内犬の場合、暖房の効いた部屋で生活していれば、体の脂肪を増やす必要はありません。
また、寒くなると散歩時間も少なくなりがちです。消費するエネルギーも減るので、油断すると太ってしまいます。
<対策>
フードは犬の年齢や健康状態にあったものを選び、指示された量を守って与えましょう。お腹が空いて困る場合は、フードの1日量を変えずに与える回数を増やしてください。おやつも食べ過ぎないようにしましょう。
■秋にも換毛期?
換毛は日照時間や温度変化に刺激を受けた、神経やホルモンの作用で起こります。成犬は通常、1年に2回換毛します。春になると冬毛が抜け落ちて、通風性のある夏毛となります。秋は夏毛から密生した冬毛に換わり、寒さから体を守ります。
室内で生活している犬は、寒暖の刺激が少ないので換毛期が目立たず、1年中少しずつ生え換わっていることもあります。
またシングルコートの犬は、ダブルコートの犬に比較して換毛が目立ちません。
<対策>
この時期にはブラッシングをすることで抜け毛や汚れを取り、皮膚が刺激されると血行が良くなり、いらなくなった夏毛から冬毛に生え換わることを促進します。
犬種に合ったブラシでまめにブラッシングをしましょう。
<被毛の種類について>
犬の被毛は大きく分けると、シングルコートとダブルコートがあります。シングルコートの被毛は、硬くて長い毛のみです。
例・・・パピヨン、ミニチュアピンシャー、トイプードル、マルチーズ、ヨークシャーテリア、グレーハウンドなど
ダブルコートは硬くて長い毛と、その下にアンダーコートと呼ばれる短い毛があります。
例・・・チワワ、ポメラニアン、ダックスフンド、柴犬、キャバリア、フレンチブルドッグ、ウェルシュコーギー、シベリアンハスキー、ラブラドールレトリーバー、秋田犬など
■ノミ・ダニ・フィラリア症の予防はいつまで必要?
ノミやダニは、気温が下がってくると活動が鈍くなります。マダニは草むらに生息していますが、種類によっては冬でも活動します。近年、ダニから人へのウイルス感染により、”重症熱性血小板減少症候群”を発症することが問題となっています。
ノミは冬でも暖房のきいた室内で繁殖することがありますので、室内犬は特に注意が必要です。フィラリア症は蚊が媒介します。おうちの周りやお散歩コースに、いつまで蚊が飛んでいるか気をつけましょう。
<対策>
様々な病気を運ぶ、ノミ、ダニの予防薬はいろいろな種類があります。犬の生活スタイルや環境、その年の気温によって予防期間を決める必要があります。ノミについては、掃除機や粘着テープ式クリーナーを使用して、お部屋のお掃除もしっかりしましょう。
1ヶ月に1回投与するフィラリア症の予防薬は、蚊がいなくなって1ヶ月後に最終の投薬をすることが重要です。忘れないようにしましょう。
いずれの予防薬も、予防期間は主治医の指示に従うことをおすすめします。
過ごしやすい秋ですが、急な寒暖の差には注意が必要です。子犬や高齢犬、病気をもつ犬たちは、温度管理にも気をつけながら、一緒に秋を楽しみましょう!
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【参考】
※ 佐伯英治(1998)『マダニの生物学 動薬研究』57,p.13-21
【画像】
※ Aneta Jungerova, Mladen Mitrinovic / Shutterstock
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