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原因はひとつじゃない!猫の「嘔吐」に関する基本知識

佐藤貴紀

獣医師
佐藤貴紀

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原因はひとつじゃない!猫の「嘔吐」に関する基本知識

「毛玉を吐く」猫に対してそんなイメージを持っている方もいるのではないでしょうか。しかし、食べたばかりのフードや、吐いたあとも苦しそうにしている場合は、他に原因があるかもしれません。

そこで今回は、猫の“嘔吐”について、基本的な内容から具体的な治療法まで、獣医師の佐藤貴紀先生に解説いただきました!

■そもそも「嘔吐」とは?

原因はひとつじゃない!猫の「嘔吐」に関する基本知識
出典:https://www.shutterstock.com/

嘔吐とは、胃や腸の内容物が食道を経て口から吐き出される状態を言い、通常は吐く前に悪心や吐き気などの前兆が見られます。食後しばらくしてから吐き出すことが多く、吐物の内容は消化された、あるいは部分的に消化された食物や胃液などになります。また、吐出は食事直後に消化されてないフードを吐くことを言います。

■考えられる原因について

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嘔吐について考えられる原因は様々です。下記の内容以外にも、猫風邪による喉の炎症から嘔吐を引き起こすこともあります。

・胃疾患

胃炎、寄生虫、異物、閉塞、潰瘍、腫瘍、拡張/捻転、ヘリコバクター感染、穿孔ヘルニア、運動障害、幽門狭窄、胃前庭部粘膜肥大、胃腸炎など

・小腸疾患

寄生虫、炎症性腸疾患、異物、細菌過増殖/腸炎、出血性胃腸炎、腫瘍、ウィルス性腸炎、腸重積、非腫瘍性浸潤性疾患など

・大腸疾患

大腸炎、便秘、寄生虫など

・食物性

不耐性、アレルギー、膵炎など

・薬物による影響

・消化管外疾患

腹膜炎、肝胆管疾患、腫瘍、尿毒症、糖尿病、甲状腺機能亢進症、肝疾患、敗血症、子宮蓄膿症、酸塩基障害、ガストリノーマ、肥満細胞腫など

・アルコール系物質の影響

・神経疾患

てんかん、髄膜炎、自律神経障害、頭蓋内圧の上昇など

■4つの機序に注目!

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嘔吐は、大きく分けて4つの機序について考えます。最終的に、脳にある嘔吐中枢が刺激されることで起こります。それにより、吐き気を感じて落ち着きがなくなる、口の周りを頻繁になめる、よだれをたらすなどの前兆が見られることがあります。頭を下げて腹部を大きく動かし「ゲッゲッ」と音を立てる、そのあとに吐き出すことが多く見られます。

■どうやって検査するの?

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(1)具体的な検査方法

嘔吐の原因は様々です。原因を探るため、あらゆる検査を行います。

・一般身体検査(問診など)

・レントゲン検査

・血液検査

主に上記の検査を行います。この検査で異常が認められない場合や、検査上はっきりと診断出来ない場合は……

・造影検査

・内視鏡検査

・開腹にて診断

このような検査手法を取ることが一般的です。最近では、CT検査を実施することもあります。

(2)判断材料である4つの機序

これらの検査について、先程述べた4つの機序を元に判断します。

・消化管もしくは他臓器からの直接刺激(末梢)

・乗り物酔いなど前庭機能刺激によるもの(中枢)

・薬物、誘発物質(腫瘍など)もしくは末梢から化学受容器引金帯(CTZ)を介して伝達される刺激(中枢)

・頭蓋内疾患や心理的な要因で大脳皮質からの直接刺激(中枢)

上記の要因によって嘔吐という症状が起こります。それでは具体的な治療法について解説していきます。

■具体的な治療法とは?

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治療法も原因により様々ですが、一般的に多く見られる原因に対して用いられている治療法は、大きく分けて3つに分類することができるのではないでしょうか。

・中毒や閉塞などが無く、胃腸疾患が原因の場合

(1)輸液療法

(2)胃薬、整腸剤などの内服

・中毒がある場合

(1)輸液療法にて、中毒性の薬物等を代謝させるまで入院処置

(2)その間、症状に合わせた対症療法

・消化管閉塞がある場合

(1)すぐに外科手術が必要(原因の除去)

(2)数日入院を行い、対症療法

この他にも、原因により治療法が異なります。詳しくはかかりつけの獣医師さんに聞いてみてくださいね。

嘔吐に関しては、ひとつの原因から複数の原因が絡み合っていることも多く、早期の診断が必要になります。症状が確認できる場合は、すぐに動物病院で確定診断を行いましょうね。

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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