長年、国内の犬の飼育頭数は猫の飼育頭数に勝っていましたが、近年ついに猫の飼育頭数が犬の飼育頭数を上回りました(※)。ますます多くの人々が、猫に対して強い魅力を感じ始めているのでしょうか。
猫好きのみなさんは、猫を見ているときや触れ合っているとき、どのような気持ちになりますか? とても癒された気分になるのではないでしょうか。近年、動物と触れ合うことによって人間の健康によい効果をもたらすことが分かってきています。
そこで今回は近年報告された論文をもとに、猫との関わりによる人への健康効果についてお話します。
■循環器疾患に対する効果
国内における人の死因として、循環器疾患は大きな割合を占めています。循環器疾患の代表例には虚血性心疾患や脳血管疾患があり、これらは加齢ともに罹患率が上がります。また高血圧の方は、心筋梗塞などの虚血性心疾患や、脳出血・脳梗塞などの脳血管疾患を発症するリスクが上がるとされています。
猫をはじめ動物とのふれあいは、循環器疾患にとってよいとされています。ある研究では、ペットの飼い主は飼っていない人に比べて高血圧の人が少ない傾向にあるとされ、ペットを飼うことで循環器疾患の発症リスクを下げるということを示唆しています(※)。
猫と触れ合っているときは、緊張がほぐれリラックスできますよね。きっとそのリラックスも、血圧の低下につながる一因だと筆者は思います。みなさんが猫と触れ合っているときに感じる「ホッ」とした気持ちは、身体にとってもいいことなのです。
■うつ病に対する効果
仕事や人間関係など様々なストレスに曝されながら生きていく現代人にとって、うつ病は大きな問題となっています。ストレスの原因そのものを取り除くことができればよいですが、そう簡単ではありません。また、日常的にストレスを発散するのも大変なことです。
うつ病に対する治療のひとつとして、アニマルセラピーがあります。アニマルセラピーは、正式には動物介在療法と言いますが、動物と触れ合わせることで精神的な健康を取り戻す治療法になります。アニマルセラピーはストレスを軽減させ、うつ病患者の症状を和らげるとされています(※)。
特に猫の飼育は、ストレスの軽減にとって非常によいでしょう。犬と比べて毎日の散歩などがなく、距離感も近すぎず遠すぎず、といった特徴があります。感じ方は人それぞれですが、犬の飼育は猫の飼育と比較して大変な傾向にありますので、飼育すること自体にストレスを感じてしまうことも少なくありません。
特に多忙な人は、犬よりも猫を飼うことを好む傾向にあるように感じますが、これには、猫の飼いやすさといったことが挙げられると思います。
■孤独感の軽減や生活の質の向上
現代社会は、若者も高齢者も一人で生活することが多くなってきました。そのため、孤独感を感じる方は少なくありません。しかし、猫を始め動物の飼い主は孤独感を感じづらい傾向にあると報告されています(※)。
特に、子どもが家を出て行ってしまった高齢者にとっては、動物を飼うことにより孤独感を大幅に軽減できることもあるようです。猫を飼うことは、生活の質の向上につながりますし、猫を飼えない状態であっても猫カフェなどで猫と触れ合うことにより、生活の満足度を上げることができるといえるでしょう。
今回は、猫と関わることによる人間への健康効果について解説しました。猫と触れ合って感じる安心感や幸福感は、みなさんに精神的な健康をもたらしてくれます。また、猫は人間との距離感が近すぎず遠すぎず、程よいですよね。近年、猫の人気が高まっている理由は、こういった様々な魅力に気づき始めたからではないでしょうか。
動物を飼うことによる人間への健康効果が証明され始めていることは、大変よいことだと思います。今後、人間と動物のふれあいによってもたらされる健康への影響について、ますます明らかになってくるでしょう。
【関連記事】
※ 生活感満載から脱出!100均アイテムで作る「おしゃれ犬用グッズ」アイデア3つ
※ 愛犬が「お母さん」になるには?行動の変化や適切なケアについて
※ 100均商品で簡単DIY!犬猫「あったかハウス」の作り方
※ 防災にも役立つ!秋の行楽に準備しておきたい「犬のお役立ちグッズ」3選
【参考】
※ 平成30年(2018年)全国犬猫飼育実態調査 結果 - 一般社団法人ペットフード協会
※ Frontiers | Human–Animal Interaction and Older Adults: An Overview | Psychology
【画像】
※ Carlos G. Lopez, Alena Ozerova, Nailia Schwarz, Lapina / Shutterstock
戻る
みんなのコメント