愛犬のクリックリっとした瞳、可愛いですよね。そんな目に関する病気を、これまで数多く紹介してきましたが、今回は”斜視”に関するお話です。斜視の一般的な発生理由について解説いただいたのは、獣医師の北森隆士先生! ぜひ参考にしてみてくださいね。
■斜視とは?
斜視とは、物を見るときに両方の目の焦点を同一の箇所に合わせることができない状態です。いわゆる黒目の部分が、内側に寄ったり(内斜視・寄り目)、外側に向いたり(外斜視)している状態です。上下に向く斜視もあります。
斜視は、遺伝的なものだけでなく、なかには怖い疾患が原因のものもあります。一般的に遺伝的なものは両目に現れ、治療は対象外となることがほとんどです。後天的に起こるものは片側に発生するケースが多いです。
ある日突然発生した斜視は、原因を注意深く調べ対処する必要があります。
■1:先天的な斜視
(1)毛色を決める遺伝子が原因の内斜視
ある種の毛の色を決める遺伝子は、目の網膜や眼神経の構造にも関わっています。シャム猫の、内斜視は有名です(※1)。例えば、猫ならシャム系の色(耳や足先が黒い)や、ダイリュート(淡色系)、犬ではマール(青灰色)のシェットランド・シープドッグ(※2)に、内斜視が発生します。猫の場合は、生後数ヶ月で確認できるようになったとのことです(※3)。
(2)骨格が原因の外斜視
眼窩(目が治まる場所)が小さく、目が大きい犬種に、しばしば外斜視が発生します。パグやキャバリアが有名です。
■2:後天的な斜視
(1)腫瘍によるもの
眼球の尾側にできた腫瘍が原因で、しばしば斜視が発生します。目の突出を伴うような場合は、直ちに病院へ行きましょう。
(2)水頭症
頭に水が溜まる水頭症で、外斜視が発生することがあります。なかでも、チワワが好発犬種と言われています。発生頻度は不明ですが、人の場合は、水頭症の患者の60~75%で発生するそうです(※4)。
(3)前庭疾患
前庭疾患は高齢の犬に多い疾患で、平衡感覚を司る前庭神経や内耳の障害です。顔が傾いたり(斜頸)、眼球がチラチラ動く(眼振)症状が見られたり、稀に片側性の斜視が発生します。
(4)目を動かす筋肉の炎症・外傷
目の動きを調整する筋肉の炎症が原因で、斜視が発生します。ラブラドール・レトリバーは、外眼筋炎症による斜視を起こしやすいといわれています(※2)。また外傷による眼筋の障害でも、斜視は発生します。
以上のように、成長後(後天性)の斜視は、重篤な疾患のサインの可能性があります。斜視が見られた場合は、直ちに主治医に相談してくださいね。
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※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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【参考】
※1 Renqstorff , RH. Strabisumus measurements in the Siamese cat. Am J Optom Opt, 53: 643-646(1976)
※2 Williams, D. A sidewa look at strabismus. UK VET13(2) 82-(208)
※3 Blake, R. and Crawford, M. L. J. Development of strabismus in Siamese cats. Brain Reseach 77: 492-496(1974)
※4 日本水頭症協会編『水頭症ガイドブック2002』
【画像】
※ 北森ペット病院
※ TatyanaL,Kalamurzing / Shutterstock
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