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【獣医師執筆】室内犬と室外犬、寒さ対策の違いは?犬の寒さを感じているときの仕草と対策

吉本翔

獣医師
吉本翔

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【獣医師執筆】室内犬と室外犬、寒さ対策の違いは?犬の寒さを感じているときの仕草と対策

暑い夏は過ぎ去り、人間にとっても犬にとっても心地よい秋となりました。ただ、あっという間に冬がやってきます。これからどんどん気温は下がっていくと思いますが、私たち人間は寒ければ自分自身で厚着をしたり、暖房をつけたりするなど、対策ができます。一方、犬の場合は、飼い主の皆さんが、愛犬が寒そうにしているかどうかを判断しなくてはなりません。

今回は、愛犬が寒がっているかどうかを判断するために、犬が寒さを感じる時にする仕草について解説します。

■犬が寒さを感じている時にする仕草

室内犬と室外犬、寒さ対策の違いは?犬の寒さを感じているときの仕草と対策
出典:https://www.shutterstock.com/

・体毛が立つ

犬は寒さを感じると、体毛を立てます。身体と外気との間に層ができるため、身体の熱が奪われにくくなります。私たち人間も寒い時に鳥肌が立ちますが、この鳥肌は私たちの身体の産毛が立つことによって起こっています。

・身体が震える

人も寒いと身体が震えますが、犬も同様に震えます。一見、何も意味が無さそうですが、実は震えることによって熱が産生され、身体が少しだけ温まるのです。この現象を「ふるえ熱産生」と言います。

身体を小さく丸める

必ずしも寒さを感じているときだけにする仕草ではありませんが、寒い時には身体を小さく丸めて寝る傾向があります。これは身体を丸めて小さくなることにより、空気と体が接触する表面積が減り、身体の熱が逃げにくくなるからです。ただし、寝る時の姿勢については、その個体の好みや気分によっても変わってくるので、寒くない時であっても小さく丸まって寝ることはありますので注意してくださいね。

・足先が冷たくなる

確認することはやや難しいかもしれませんが、愛犬の前足・後足の末端が冷えている場合には、寒さを感じている可能性があります。足先が冷えているのは、身体の中心から遠い血管(手先の血管)が収縮し血流が減少しているからです。このように手先の血管を収縮することにより、身体の熱が外に逃げにくくなっています。

・暖かい場所を好むようになる

当然といえば当然ですが、寒さを感じると犬は暖かい場所を好むようになります。ストーブの近くやこたつの中に滞在しているときには、寒さを感じていた可能性があります。

 

■室内犬に向けた寒さ対策と注意点

室内犬と室外犬、寒さ対策の違いは?犬の寒さを感じているときの仕草と対策
出典:https://www.shutterstock.com/

室内で飼育している場合には、基本的には風が入ってこないので、比較的容易に寒さ対策ができるでしょう。犬種によって毛質や量が全く異なりますので、寒さに対する強さや快適な室温は個体ごとにばらつきはあるかと思いますが、冬場であれば大体2022℃くらいの室温であれば快適に過ごせると思います。

暖房をつければちょうど良い室温を設定することは可能ですが、ずっとつけっぱなしにするわけにもいけません。暖房がなくてもある程度防寒対策ができるように、犬用の毛布などがあると用意してあげると良いでしょう。

注意点としては、暖房器具自体が熱くなるタイプのものは、愛犬が接触した時にやけどをする危険性があります。そういったものを使わないか、あるいは犬が接触しないような何かしらの対策をした方がよいでしょう。

 

■室外犬の寒さ対策

室内犬と室外犬、寒さ対策の違いは?犬の寒さを感じているときの仕草と対策
出典:https://www.shutterstock.com/

室外犬は、室内犬と比べると寒さ対策が非常に大変になります。外気温に直接さらされていますし、風にも当たってしまいます。特に、風が吹いていると簡単に身体の熱を奪ってしまうため、風に対する対策がとても重要になります。風から身を守れる犬小屋を用意してあげることや、風があまり当たらない場所に繋いであげることが大事です。また、暖房器具を使うことは難しいと思いますので、毛布などを与えてあげると良いでしょう。

 

今回は、寒さを感じている時の犬の仕草と室内犬と室外犬の寒さ対策について解説しました。体毛で包まれている犬は、一般的に人間よりも寒さには強いですが、それでも冬は犬にとっても寒いです。愛犬が寒さを感じていることを察知し、寒さ対策をしっかりしていきましょう。

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】

※ ジェームズ・G・カニンガム(2000)『獣医生理学 第2版』(高橋迪雄監訳)文永堂出版.

【画像】

※ Gladskikh Tatiana,Tanyastoc,Fotyma,Happy monkey,Lena Ivanova / Shutterstock

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